『二進宮』は、中国各地の演劇の伝統的な演目。「生(男役)」「旦(女役)」「浄(敵役)」で演じられる。物語の題材は明代(1368〜1644年)の宮廷で起きた権力闘争。
1572年、明の穆宗が崩御したあと、皇太子はまだ幼かったため、穆宗の皇后だった李艶妃が「垂簾の政治」を行った。このとき、李艶妃の父親の太師・李良が帝位を奪おうとたくらんだ。だまされた李艶妃は、帝位を父親に譲ろうとした。
忠臣の定国公・徐延昭と兵部侍郎・楊波はこれを阻止しようと宮殿に入って李艶妃をいさめたが、聞き入れられなかった。定国公が先帝の陵墓で悲嘆にくれていたとき、楊波の一行と偶然出会い、再び明朝を守る相談をした。
李良は行動を開始し、李艶妃の住む朝陽院を封鎖した。李艶妃は父親にだまされていたことを知り、悔悟した。徐延昭と楊波は策を講じて再び宮殿に入り、李艶妃をいさめた。李艶妃もこのときは二人の諫言を聞き入れ、幼い皇太子を二人に頼み、3人で明朝を守るため画策した。最後に楊波は李良を討ち、皇太子を皇帝に即位させた。
明朝が安定したのは、徐延昭と楊波が繰り返し諫言したおかげであり、すぐに悔悟して諫言を聞き入れた李艶妃も後世の人々から賞賛されている。
ちなみに、「二進宮」は現在隠語として、「再犯」や「再入院」という意味でも使われる。 |