2010年の上海万博は今から――ようこそ中国へ |
国際的な催し相次ぐ 上海
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原 絢子=文
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東レ杯上海国際マラソン |
今年で12回目となる上海国際マラソン。1996年の第1回大会の参加者は6000人余りだったが、昨年の第十一回大会は一万七千人以上と、規模は年々拡大している。 このマラソン大会は、特別協賛の東レをはじめ、ミズノ、キリン、日本航空、セイコーなど多くの日本企業が協賛し、日中友好協会が後援するなど、日本とのつながりが深い。 昨年は、ハーフマラソンに野口みずき選手、フルマラソンに弘山晴美選手など、日本のトップ選手たちも参加し、大会を盛り上げた。日本の選手たちは試合に出場するだけでなく、中国の子どもたちを指導する活動にも参加。中日友好をスポーツの面から促進している。 世界のトップ選手たちも走るが、市民マラソンでもあるこの大会は、フルマラソンとハーフマラソンのほかに、誰でも気軽に参加できる健康マラソン(4.5キロ)が設けられている。 楊浦区に住む張志発さん(54歳)と馬清印さん(74歳)は第1回大会から欠かさず参加。それだけでなく、楊浦区からの参加申し込み者を増やす努力をしている。昨年の申し込み者は3000人を超えた。特に中高年の申し込みが多い。 馬さんは楊浦区の高齢者体育協会マラソン委員会の主任を務める。毎朝4時半に起床し、毎晩9時に就寝。毎日平均8キロぐらい走っているという。「上海は高齢化が進んでいます。趣味がなければ老後生活は楽しくありません。私はマラソンのおかげで、この歳になっても健康な生活を送っています。この地域では『東レマラソン』の知名度は高い。みんなで声をかけ合って大会に参加しています」と話す。 張さんも、「このマラソン大会のよいところは、その場で成績が分かり、参加者全員に記念品が出ることです。マラソンは特別な施設や用具がなくても、いつでも誰でも始めることができます。精神面も鍛えられます。みんなで参加するようになって、団体意識も芽生えました」と参加に意義を感じている。 また、新旧が入り混じる上海という都市を体感できるコースも魅力の一つだ。アップダウンが少ないので初心者でも走りやすい。昨年のフルマラソンのコースは、「和平飯店」付近をスタート地点とし、南京路を西へ駆け抜け、長寧区、徐匯区、閔行区を通って、新しく建設された現代的な体育館「閔行体育館」がゴールだった。今年のコースも少々の調整はあるものの、基本的に昨年と同じだという。 上海国際マラソン大会組織委員会の貢献・副秘書長は、「マラソンはプロの選手も愛好者も一緒に参加できるスポーツです。プロの選手と同じステージに立てるスポーツは、他にはあまりありません。よい成績を取るだけでなく、参加者にマラソンを楽しんでもらうことがこの大会のねらいです」と語る。 「マラソン大会が開催される11月下旬は、気候が穏やかでよい季節です。毎年日本からの参加者は多いのですが、今年もより多くの方々に参加してほしい。そして上海の人々と交流してください。マラソンと同時に上海という都市の魅力を堪能し、美味しい上海料理も味わってください」 今年の予定 上海観光フェスティバル
上海観光フェスティバルは1990年に始まった。もともとは黄浦区のイベントだったが、徐々に拡大し、国際的なフェスティバルに発展。毎年9月中旬から10月6日まで開催され、上海の魅力を国内外にアピールしている。 まずは、オープニング大パレードからスタート。国内外からやってきた数十台の「花車」(飾り付けられた車)や演芸団が、上海で最もにぎやかな通り、淮海路を巡行する。そしてその後、南京路の歩行者天国で、オープニングカーニバルを開催。人々を熱狂させる歌や踊りのステージが催される。 オープニング大パレードには毎年、日本の団体やチームも参加している。昨年は九州観光推進機構が九州の魅力をアピールする「花車」を出した。また、よさこい踊りのチーム「REDA舞神楽」と沖縄の古武道太鼓集団「風之舞&竜神太鼓」も参加し、日本の伝統文化を披露した。 このほか、音楽と花火のハーモニーを楽しめる上海国際音楽花火祭や観光大使コンテストの決勝戦なども目玉のひとつ。さらに上海の伝統的な文化や遊びを体験できるイベントもある。ほとんどのイベントに無料で参加できるのもうれしい。 今年の予定 上海国際芸術フェスティバル
上海国際芸術フェスティバルは1999年に始まり、今年で9回目を迎える。毎年、10月18日から11月18日まで開催。国内外の演芸が数多く披露され、世界的に有名な芸術家も招かれる。また、芸術に関するシンポジウムや交流も活発に行われる。 毎年、ひとつの国家を取り上げて、その国を特別に紹介する「文化ウィーク」を開催している。これまでにフランス、エジプト、メキシコなどの「文化ウィーク」が催された。さらに、国内のひとつの省・自治区・直轄市の「文化ウィーク」も開催。この国内の「文化ウィーク」は、外国人に人気を博しているという。 このフェスティバルは一方向性のものではなく、一般市民の参加も重視している。昨年は大衆的なイベントを109件も催し、初めて全市の19の区と県、216の郷と鎮をカバーした。これらのイベントに参加した市民は130万人を超えた。フェスティバルの開催中は、劇場だけでなく、広場や公園、街角のすべてがステージになる。 今年の予定 上海ゴールデングランプリ
上海体育場で開催される国際的な陸上競技大会。2005年に初めて開催され、今年で3回目を迎える。国際陸上競技連盟に認可されたアジアで最もレベルが高い大会の一つだ。 中国を代表する陸上選手といえば、アテネオリンピックで金メダルを取った110メートル障害の劉翔選手。国際的な陸上競技大会が上海で開催される理由は、劉翔選手が上海出身であることが大きい。昨年の大会でも見事優勝した。 大会の種目数は、男女100メートルや男子走り高跳びなど14種目。参加する選手のうち、少なくとも15人はオリンピック金メダリストや世界チャンピオンが含まれ、レベルの高いゲームを見せてくれる。また、どの種目にも中国人選手が2人以上参加することで、北京オリンピックに向け、陸上競技のレベルアップを図っている。 試合自体は2時間ほどで終わってしまうが、大会2週間前ぐらいから開幕コンサートや陸上カーニバルなど各種イベントが催され、大会に向けて徐々に盛り上がる。 今年の予定 F1中国グランプリ
上海市の北西郊外の嘉定区に位置する上海国際サーキットで2004年から開催されている。3回とも成功を収めており、レース開催中、会場を訪れた観客数はそれぞれ26万人、27万人、24万人にのぼる。 上海国際サーキットのコースは全長5.451キロで、上海の「上」の文字をイメージしてデザイン。この「上」の字には、「日に日に向上する、勢いに乗って上昇する」といった意味も込められているという。世界的に最も難易度が高いコースのひとつだ。
メインスタンドの観客席数は2万8400席。サブスタンドには葉っぱをイメージした屋根が被さり、自然の息吹を感じられるような設計になっている。また、レーシングチームの休憩所は庭園のなかの東屋のような佇まい。世界水準を満たしつつ、中国独特の趣向も取り入れたサーキットだ。 市内からは30キロ離れているが、レース開催中は上海体育場からシャトルバスが出るという。また、地下鉄も建設される予定で、アクセスはますます便利になる。 今年の予定 テニスマスターズカップ・上海
テニスマスターズカップとは男子プロテニスツアーの年間最終戦。年間最終ランキング上位8人(ダブルス八組)しか出場資格を得られない。上海で初めて開催されたのは2002年のこと。その後、05年から08年まで上海で開催されることが決定している。 開催場所は上海市南西部の閔行区にある上海旗忠森林体育城テニスセンター。屋根が開閉でき、その開閉する様は上海の市花「ハクモクレン」を彷彿させる。 中国では現在、テニスの人気が徐々に高まっている。特に上海は他の都市に比べてテニス人口が多く、増加率も高い。1998年の調査では上海のテニス人口は1万人ほどだったが、06年7月の調査では50万人以上に急増。毎年の平均増加率は約20%だ。テニスをする人は10代〜30代が70%を占めており、学生やホワイトカラーに多い。 テニスマスターズカップの開催中は、サイン会など各種イベントでテニス選手と触れ合う機会がある。これを通してさらにテニスを普及させ、レベル向上を図ることが上海で開催するねらいのひとつだ。 今年の予定 |
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