邱先生の24式太極拳講座 F
邱慧芳=講師 魯忠民=写真


右足で蹴る耳を挟み込む

      頭を上げて顔を正す、肩を沈めて肘を垂らす、
      胸に含みをもたせて背の力を抜く、腰を緩めて背を正す。
      上下の動きを関連させる、円く緩やかに動く、
      一心に感じて悟る、続ければ必ず成果あり。

十三 右トウ脚  右足で蹴る

@左足を引き寄せ、両手を交差

 @(前号に続き「左虚歩」の姿勢で、右手を前に押し出した形から)左足を右足の内側に引き寄せる。左手のひらを上に向けたまま前に持ち上げ、右手と手の甲同士で交差させる。


A左足を前へ踏み出す

 A上体を左にまわし、左足を前方へ踏み出してかかとを地につける。左手を前に返して、両手をそれぞれ左右にかき分ける準備をする。

 左足の付け根を収縮させて左足を持ち上げ、前方に踏み出す。かかとを地につける際、「気」が右足に下がっていくとイメージ。


B「左弓歩」となり両手を開く

 B重心を前に移し、左足はひざを曲げ、右足は自然に伸びて「左弓歩」となる。両手を同時に左右にかき分ける。手のひらは前方に向け、両手の「虎口」(親指と人差し指の間)が相対して動くように。右手を見る。

 左手は肩が「気」を沈めるのにともなって下がり、肩がひじを、ひじが手を動かす。右手は左手のひらの前を突き抜けるように。両手を左右にかき分ける際、勁(力)が腕に伝わる。

C両手を胸の前で交差

 C右手は右回し、左手は左回しに円を描き、一回りしてから胸の前で交差させる。手のひらは自分のほうへ向ける。同時に、右足を左足に近づけ、つま先を地につける。右前方を見る。

 動作が完了すると、両手と背中は環状につながり、膨らむような感じがある。

D右足を前へ蹴り上げる

 D左足をやや曲げて体を支え、右足はひざを曲げたまま持ち上げ、右前方にゆっくりと蹴り上げる。同時に、両手をそれぞれ左右にかき分け、手のひらを前方に向ける。右手を見る。

 右足の付け根の「気」が下がり、右膝は自動的に持ち上がる。右肘と右膝は互いに引きつけ合うように。同時に「気」が肩から手、付け根から足につながっているとイメージ。右足を蹴り上げるときの力点はかかとにある。両手をかき分けるときの力点は腕の付け根にある。



【ポイント】
  ▽身体を安定させ、まっすぐにする。両手をかき分けるときは、腕を肩と同じ高さに置く。

  ▽右足を蹴り上げるとき、左足はやや曲げる。右足のつま先を反り返らせ、かかとを押し出す。両手をかき分ける動きと右足を蹴り上げる動きは一致させる。

十四 双峰貫耳  耳を挟み込む

@右足の膝をまげ、自然にたらす

 @蹴り上げていた右足の膝をまげ、つま先を自然にたらす。左手は上方に弧を描きながら体の前方へ持ってくる。両手のひらをそろえて上に向け、そのまま下に弧を描いて右膝の両側におろす。前方を見る。

 右膝の力を抜き、右すねは自然に垂らす。同時に右足の付け根を収縮させ、体を右にまわして、両肩の「気」が下がるとイメージする。



A右足をおろし両手を腰の両側に

 A右足を右前方におろし、かかとを地につける。同時に、両手を腰の両側に下ろす。

 右足を前方におろすとき、「会陰」(陰部と肛門との間)が下に弧を描いて動き、「気」が右足の足元に下がっていくとイメージ。


B「右弓歩」となり両拳をつきだす

 B重心を少しずつ前に移して「右弓歩」となり、右前方を向く。両手はゆっくりと拳をにぎり、それぞれ上前方に向けて弧を描き、顔の前へつきだす。両腕は半開きのペンチのような形になる。両拳は耳の高さに置き、親指側の側面は斜め下に向ける。両拳の距離は10〜20センチ。右拳を見る。

 左足は力を緩めながら右側にまわす。力は背中を経て、両拳の親指側の側面に伝わる。胸の「気」が「丹田」(ヘソの下)まで下がっていくことをイメージ。全身の力を集中させて、両拳を貫く。「気で背筋が張る」ような感覚があり、膨らんで暖かく感じる。



【ポイント】
  ▽頭と首をまっすぐにし、腰と足の付け根を緩める。

  ▽両拳を緩めて握り、肩を沈めて肘を垂らし、両腕は弧の形を保つ。



  プロフィール】 邱慧芳 1975年生まれ。以前は北京武術隊に在籍、現在は北京理工大学体育部の講師。2003〜04年に3回訪日し、日本武術太極拳連盟で教えた。99年第5回世界武術選手権大会太極拳部門、02年中国全国武術選手権大会太極拳部門、03年同大会太極剣部門など数々の大会で優勝している。

 
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