邱先生の24式太極拳講座 H
邱慧芳=講師 魯忠民=写真


右足一本立ち はたおりの姿勢

      頭を上げて顔を正す、肩を沈めて肘を垂らす、
      胸に含みをもたせて背の力を抜く、腰を緩めて背を正す。
      上下の動きを関連させる、円く緩やかに動く、
      一心に感じて悟る、続ければ必ず成果あり。

十七 右下勢独立 右足一本立ち

@右足を下ろし左手を「鉤手」にする

 @(前号に続き、左足だけで立ち、左手は左腰の脇、右手は目の高さに置いた形から)右足を左足の前へ下ろし、左足はつま先を軸に左へまわしながら、体も左へまわす。同時に、左手を左後方に腕が水平になるまで引き上げ、「鉤手」(手首を下に折り曲げ、指先をそろえて物をつまむような形)にする。右手は、左側に弧を描きながら左肩の前まで持っていき、手のひらを左側に向けて立てる。左手を見る。


A上体を右にまわし「右僕歩」になる

 A右足をわずかに上げて左足の内側に引きつけたあと、つま先を地につけて地面に沿って右側に伸ばし、足の裏すべてを地につける(右足はまっすぐに伸びる)。同時に、右手は左の肋骨の脇に下ろす。

 その後、左足の膝を曲げて完全に腰を落とし、上体を右にまわして「右僕歩」となる。同時に、右手は腹の前を通って右足の内側に沿って右側に突き出す(手のひらは外側、指先は右に向く)。右手を見る。

B右足だけで立ち左膝を持ち上げる

 B右足のつま先を外側に開き、重心を右足に移しながら膝を曲げ、上体を起こす。左足はつま先を内側にまわし、自然に伸ばす。同時に、右手は引き続き前方上に突き出し、左手は「鉤手」のまま体の後ろでよじり、指先を上に向ける。

 その後、上体を右にまわしながら重心を完全に右足に移す。左足を引きつけ、膝を曲げながら前に持ち上げ、つま先を自然にたらす。右足だけで立ち、「右独立歩」(右足の膝をやや曲げて体の重心を安定させ、左膝を曲げて体の前で上げる)になる。同時に、右手は右腰の脇へ下ろす。左手は「鉤手」を開きながら体の側面にそって前へ上げ、目の高さに置く(手のひらは右側に向け、指先は上に向ける)。左ひじはやや曲げて、左膝と上下の位置で相対する。左手を見る。 



【ポイント】
▽前号で紹介した「左足一本立ち」と同様で左右逆。


十八  左右穿梭 はたおりの姿勢


@左足を左前方に下ろす

 @左足を左前方に下ろし、かかとを地につけてつま先を外側に開きながら上体を左にまわす。同時に、左手は内側に弧を描きながら手のひらを下に向ける。左手を見る。

A右足を引き寄せ球を抱える

 A引き続き上体を左にまわし、右足を左足の内側に引き寄せる。同時に、右手のひらを上に返し、両手は左の肋骨の前で球を抱えているような感じに。左手を見る。


B体をまわし右足を踏み出す

 B上体を右にまわし、右足を右前方へ踏み出し、かかとを地につける。同時に、右手は下から前方上へ弧を描き、左手は上から下へ弧を描き、両手の上下が逆になる。


C「右弓歩」となり左手を押し出す

 C引き続き上体を右にまわし、重心を前に移す。右足は足の裏すべてを地につけて膝を曲げ、左足が伸びて「右弓歩」となる。同時に、右手を右の額の前まで持ち上げる(手のひらは斜め上に向ける)。左手は前方に押し出し、鼻の高さに置く(手のひらは前に向ける)。左手を見る。

 「気」が右の足もとに下がっていくとイメージ。左足の付け根の力を緩め、左足の太もも、すね、そして右足を動かし「右弓歩」となる。右手を持ち上げ、左手を前に押し出すとき、その勁(力)は左足から右腕と左手のひらに伝わる。


D重心を後ろに移し右手を顔の前に

 D重心をやや後ろに移し、右足のつま先をやや外側に開いて、上体を右にまわす。同時に、右手を顔の前まで下ろす。右手を見る。



EAと同様で左右逆。

FBと同様で左右逆。

GCと同様で左右逆。



【ポイント】
 ▽決めのポーズは中軸線より約30度右(左)斜め。

 ▽手を前に押し出したあと、上体が前に傾かないようにする。

 ▽手を額の前に上げるとき、つられて肩まで上がらないようにする。

 ▽片手を持ち上げ、片手を前に押し出す動きは、「弓歩」となって腰を緩める動きと調和させる。


  プロフィール】 邱慧芳 1975年生まれ。以前は北京武術隊に在籍、現在は北京理工大学体育部の講師。2003〜04年に3回訪日し、日本武術太極拳連盟で教えた。99年第5回世界武術選手権大会太極拳部門、02年中国全国武術選手権大会太極拳部門、03年同大会太極剣部門など数々の大会で優勝している。

 
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