中国には、日本の中華料理に関するこんな笑い話がある。
年を取った中国人夫婦が息子に会いに日本へ行った。二人は、日本料理はおそらく口に合わないだろうと、一軒の中華料理店に入ってギョーザを注文した。中国では、ギョーザといえば、お湯でゆでる水ギョーザを指す。ところが皿に盛られて出されたギョーザは、油で揚げた、焦げて、サクサクしたものだった。
二人はうろたえた。そして店長に聞いた。「これは『鍋貼』(焼きギョーザ)じゃないか。お湯でゆでたギョーザはないのですか」。すると店長は丁寧に答えた。「ございます。ただトマトスープでゆでたものです」。
確かに、日本人がいつも食べている「中華料理」は、本場の中華料理とはかなり違い、「日本風の中華料理」と言っていいだろう。料理人たちは伝統的な中華料理を基礎に、砂糖を多く入れたり、ワサビなどの日本人の好む調味料を使ったりして、自分の想像力を大いに発揮し、さらに日本人の口に合う料理を作り出している。それによって中華料理の内容も、豊かになったのである。 (高原 林崇珍=文)
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