ポンフェイ先生の旅アドバイス@
ビルからながめる春節の世界

 

 この20年、私は中国各地の主な観光地をまわり、いろいろ調査をしてきた。近年、中国を旅行する日本人観光客が急増し、私の講演会でも中国旅行の質問が飛び交う。

 このコラムはこれからQ&A形式で中国旅行の最新の話題、プラスアルファの楽しみ方、読者の関心を呼ぶ旅のあれこれなどを紹介してゆこうと思う。皆さんも聞きたい質問をご遠慮なく、どしどしお寄せください。お待ちしております。
 
 Q 初めて中国を旅するが、まずどこを回るとよいか。

 A このような質問をよく受ける。私はまず北京か上海を勧める。北京と西安のセット、または上海と桂林のセットがよい。中国は広いので飛行機の移動が大変である。三泊か四泊旅行なら、一つの都市にしぼってゆっくりと旅するのが上策である。

 Q 冬はどこを回るのがよいか。

 A 穴場をひとつ紹介しよう。「旧正月の旅」だ。冬季は旅行のシーズンオフなので飛行機代もホテル代も安い。何よりも日本では味わえない庶民の旧正月パワーを吸収でき、元気が出てくる。

 Q 旧正月といってもどこに行けばいいか。

 A ここ数年、私は上海の旧正月の旅を企画してきた。次に旅行プランを参考に記す。特に初めて中国を旅する方々にお勧めだ。ちなみに2003年の旧正月は2月1日である。

 1日目(大みそかの日、今年は1月31日)、上海に着く。上海の高層ビル「金茂大厦」(高さ468メートル)の展望台へ。夕食は「海鮮料理」か「杭州料理」が日本人の口に合う。ホテルはできるだけ、周囲に住宅街がある市内のホテルを選ぶ。なぜなら夜12時に始まる花火と爆竹の世界を楽しめるからだ。ホテルの上階から見下ろすと、その迫力、美しさにだれもが驚く。

 2日目(旧正月、2月1日)、午前は上海の知人がいれば、知人の家を訪問して旧正月のごちそう、過ごし方を楽しむのが面白い。知人がいない方は「龍華寺」へ初詣に行き、そこで精進料理をいただく。

 午後は上海雑技。毎年、旧正月の特別公演がある。問い合わせは、上海雑技団チケット販売部(携帯電話・中国13501638398)。見る価値は大いにある。終わったら、上海の"浅草"「豫園」へ。まず「内園」(明、清時代の庭園と建築物)を見学し、そして買い物。食べ物から陶磁器まで何でもある。

 夕食は豫園の「老飯店」か「緑波廊」レストランで上海料理を楽しむ。夜7時から、豫園で「灯会」(民間の灯篭祭り)が始まる。

 3日目(2月2日)は上海市内観光(上海博物館、新天地など)でもよいし、蘇州や周荘など、古い町へ日帰り観光をしてもよい。

 夜は上海の外灘(バンド)あたりを散策し、夜景を楽しむ。とっておきの場所を二つ紹介しよう。一つは「上海国際会議場」の前の沿岸公園。対岸の52棟のクラシック建築がライトアップされている。もう一つは広東路20号7階のカクテルバー「M ON THE BUND」。事前に電話(上海021― 63509988)で休みかどうかご確認ください。バルコニーから超高層ビルが林立する浦東と外灘の両方の夜景が眺められる。最高のロケーションだ。ビールのジョッキを片手に、最高の気分になる。(2003年1月号より)

【ご質問あて先】
京都市右京区西院 京都外国語大学 彭飛
メール JZS01152@nifty.ne.jp
ホームページ http://member.nifty.ne.jp/ponfei


 彭飛(ポンフェイ) 中国上海生まれ。上海復旦大学卒業。1993年、大阪市立大学文学部で文学博士号を取得。現在、京都外国語大学助教授。旅関係の本に『中国旅行ハンドブック』(DHC)、『海南島をゆく』(PHP)、ほかに『大阪ことばと外国人 例文中国語・英語訳つき』(中央公論新社)など、著書多数。