ポンフェイ先生の旅アドバイスG
プラスアルファのある旅に

  旅行社の企画したパッケージツアーによく参加しているが、物足りなく感じるようになってきた。今度、ちょっとかわった中国文化理解の旅を企画したいが、アドバイスしていただけるか。

 A プラスアルファのある旅を工夫し、企画するのが私は大好きだ。パックツアーでの故宮博物院見学は通り抜けるだけ。それでは故宮の神髄などわかるはずがない。学芸員のミニ講義を受けるとか、雑技や京劇の鑑賞前後に楽屋を訪問するとか、いろいろと企画したことがある。

 北京で、おすすめは「北京市芸術職業学院」(前北京市戯曲学校)。京劇を習っている学生との交流や京劇のくま取り体験など、何度か企画・実行したが、いつも涙が出るほど強烈な印象を受ける。中国の伝統文化への理解を深めることができる(電話・北京010166036600、孫波さん)。

京劇衣装を身につけて中国の若者たちと記念撮影

 上海の雑技団との交流、あるいは雑技学校の学生の練習風景を見学するなら、上海雑技団の王桂菊さんにご連絡ください(電話・上海021166526822)。

 雲南で「日本と雲南の稲作文化」の話を聞きたいなら、雲南大学の李昆声教授(元雲南博物館館長)にご連絡ください(電話・昆明087115034152)。雲南の芸術家との交流を企画したい方は雲南省舞踊家協会にご連絡ください(電話・昆明087115153724、張亜錦さん)。

 「食は広州にあり」と言われている広州で、家庭料理を満喫する旅行も楽しい。広州にある「広州康輝国際旅行社」が中国家庭料理の研修会を企画している(電話・広州020187555671、徐尚良さん)。

  中国緑茶が日本でブームになっているが、一週間程度での「旅行+お茶の勉強」のツアーはないか。

  「旅行+お茶の研修会」がある。受け入れ先は杭州にある中国国際茶文化研究会。三泊四日の集中講義は、じつに実り豊かである。有名な専門家の講義を受け、ちょっとした中国茶の通になることができる。日本からの受講者も多い(電話・杭州0571187967554、張莉穎さん)。

 お茶の歴史、お茶の入れ方、お茶の礼儀、お茶の成分と健康、お茶の分類と保管法、お湯の温度加減などを指導してもらえる。さらにはお茶の博物館や竜井茶の生産農家に案内してもらって、おいしい家庭料理がいただける。研修が終わってからは、杭州周辺の旅行が待っている。

 Q 中国はいま、マイホームブームと聞いているが、中国のマンションは日本と同じなのか。

 A 旅行社に特別見学を企画してもらってもおもしろい。中国で住宅を販売する場合、内装をしないままで売り、購入者が各自で内装業者に頼む。よって、内装は相当、個性的である。私は知人や親戚の住居を20軒ほどまわったが、いずれも似たような内装はない。三百平方メートルと広い家も珍しくなく、羨ましいかぎりだ。内装だけではなく、家具も相当凝っている。子ども部屋をのぞくのも忘れてはいけない。ギッシリつまった子どもの日程表が貼られているなど、日本との違いが発見できる。

 上海の民間企業の社長の多くは若くて行動力のある3、40代である。このような若手企業家の家を訪問すれば、彼らのパワーとエネルギーを吸収することができる。(2003年8月号より


 彭飛(ポンフェイ) 中国上海生まれ。上海復旦大学卒業。1993年、大阪市立大学文学部で文学博士号を取得。現在、京都外国語大学助教授。旅関係の本に『中国旅行ハンドブック』(DHC)、『海南島をゆく』(PHP)、ほかに『大阪ことばと外国人 例文中国語・英語訳つき』(中央公論新社)など、著書多数。