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絹の道の古き調べが……
三彩駱駝載楽俑
 
 魯忠民


唐三彩唐(618〜907年) 駱駝の高さ48.5センチ、俑の高さ11.5センチ

 

 唐三彩は、様々な色のうわぐすりの低温化学反応によってできたもので、唐代の職人が作り出した芸術品である。うわぐすりには、黄、緑、褐色、黒、白などがあり、黄、白、緑の三色が基調となるために、通称で唐三彩と呼ばれる。

 唐三彩には数多くの形があるが、人、馬、ラクダをかたどったものが最もすばらしい。人俑には男性、女性、文官、武将、歌い手、踊り手などの形があり、その他、碗、皿、壺、硯、枕などの日用品、家具、戦車・馬、楼閣などの形も見られる。

 今回紹介した「三彩駱駝載楽俑」は、唐三彩の代表作で、1959年、西安郊外の唐代の墓の副葬品として見つかった。ラクダの全身は白く、背中には長方形のフェルトが敷かれ、人が座れるような台の形になっている。その上に座った7人の男性の楽手が、琵琶、笙、笛などの楽器を演奏し、悠然と音楽に酔いしれている。中央に立っている女性は、唐代の典型的な「ぽっちゃり美人」で、歌いながら踊り、とても生き生きとしている。これらは、古代のシルクロードで、各民族の深い交流と経済文化の交流が盛んだった様子を現している。

 漢代以降、中国と西域各国の往来が始まり、果てしなく続くシルクロードを往き来するラクダや馬のキャラバンは、交易の象徴になった。誇張した容姿、大きく力強いラクダが空を仰いでいななく様子は、陶酔した歌い手や踊り手と対照的で、はるか昔の時代にいざなってくれるかのようだ。(2003年8月号より

 
 

陝西歴史博物館
文・魯忠民
 写真提供・人民画報出版社
 

 古都・西安の大雁塔北西に位置する陝西歴史博物館は、1944年6月に創建された中国初の近代大型博物館である。前身は陝西省歴史博物館で、1991年6月には、新館も完成し、対外開放された。総敷地面積は6万5000平方メートル、建築面積は5万5600平方メートル。中央に主館、周囲に分館がある唐代風の建築群は、古代建築の趣と先進技術を融合させた上品なつくりで、民族的伝統と中国西北地方の特色を兼ね備えている。

 陝西省は、周、秦、唐など、13の王朝が首都を置いた文物の宝庫。同博物館には、陝西地区で出土した貴重な37万点以上の文物が所蔵されている。数が多いだけでなく、種類も豊富で、貴重な品が多いことで知られている。主な所蔵品に、青銅器、唐代の墓から出土した壁画、陶磁俑、建築材料、漢・唐代の銅鏡、金銀玉器、硬貨、陶磁器などがある。また、書画、経典、織物、骨器、木器、漆器、鉄器、石器、印章、封泥(古代中国で、貴重品を収めた箱や竹簡・木簡文書の封緘に用いた粘土塊。しばったひもの結び目などに、柔らかいうちに押印した)などのほか、近現代の文物や民族・民俗文物も少なくない。

 常設陳列は「陝西古代史陳列」、歴史の流れを糸口に各時代の典型的文物3000余点を整理した陳列で、同地区の古代社会文明の発展状況を紹介している。