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千年前の繁栄伝える
「清明上河図」
 
 文・魯忠民 写真提供・人民画報出版社


北宋(960〜1127年) 張沢端・作 148×528センチ

 

 「清明上河図」には、北宋の都・開封の東門大街の清明節(西暦4月初旬)での賑やかな光景が描かれている。

 東門大街では、各種の商業や手工業、商いが行われていて、馬上の官吏、カゴに乗った婦人、てんびん棒を担いだ人、荷車を引いている人、船を漕いでいる人など、様々な人が盛んに往来しているのが見える。複雑に入り組んだ絵は、人をうっとりさせる風俗絵巻になっている。

 故宮博物院に所蔵されているのは張沢端の原画で、北宋皇室の収蔵品だった。しかし、北宋が金 (1115〜1234年)に攻めこまれた際、他の書画とともに略奪され、長い間、各地を転々としていた。

 そしていま、保存されてきた中国の文物の中で、庶民の日常生活をそのまま描写した非常に価値ある作品となっている。2003年11月号より

 

 
 

故宮博物院

 

 
故宮博物院(故宮)は1925年10月10日、明・清代の皇宮建築とその収蔵品を主な文物として設立された、中国を代表する総合博物院である。

 明の皇宮は、1406年に建設がはじまり、1420年に落成した。故宮にはすでに580年以上の歴史がある。総面積は7.2平方キロで、中国、ひいては世界に現存する、最大で最も保存状態の良好なレンガと木材で造られた古代宮廷建築群である。現在、93万件の文物――陶磁器、玉器、青銅器、碑石、印章、書画、漆器、琺瑯、金・銀器、宝石、各種彫刻、家具などを所蔵していて、文物の背景によって、「宮廷史跡陳列品」と「歴代芸術陳列品」に分類されている。故宮は1961年、中国の「重要文化財」に認定され、1987年には、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界文化遺産に登録された。