中国の最高権力機構――全国人民代表大会の定例会議は北京で開かれていますが、中国政府が会議の審議に付した活動報告は、2004年度の経済成長の予期目標を7%前後に設定しています。この目標は今回会議に出席した一部の代表とこの会議に列席した全国政治協商会議、つまり政協会議の委員たちの注目を浴び、これら人々はこの目標の設定が合理的であるかどうかについて、また中国経済の運行現状などについてそれぞれ見解を発表しています。
7%という経済成長率は世界的に言うと、かなり高いスピードだということは間違いありませんが、これまで二年間の中国の経済成長速度と比べると、確かに非常に高いとは言えません。2002年と2003年、中国の経済成長率は8%と9.1%にそれぞれ達したことから、今年の予期成長率を7%という数字にするということに、一部の人は目標がいくらか低いのではないかと見ています。
もちろん、政府がこのような目標を打ち出したのは、理由があるのです。温家宝首相は5日、会議の開幕式で行った活動報告の中で、これについて解釈しています。「中央政府は今年の経済成長の予期目標を7%前後に定めている。これは、マクロ規制の目標の持つ連続性を考慮しただけではなく、経済の成長速度とエネルギー、重要な原材料、交通輸送など実際の条件とのリンクをも考慮しており、資源と環境に対する圧力を軽減するためのものだ。これは、各分野が改革の深化、構造の調整と経済成長の内容と効果向上に主な力を集中し、より多くの財力と物力を社会の発展と立ち遅れているセクションに投入するよう導くことにプラスとなる。」と強調しました。
政府の打ち出したこの目標とその理由の説明に対し、一部の代表と政協会議の委員は、賛同の意を表明しました。全人代の代表である西南財経大学の紀尽善教授は、「去年、中国経済は割合速いスピードで発展したが、社会と経済の発展過程で、一部の新しい問題も現れた。例えば、セメント、鉄鋼、電解アルミニウムなど業界における低いレベルの重複建設がまたも台頭し、一部地域では開発区建設のために耕地を無計画に占用したり、不動産プロジェクトが急増したりして、各地での電力不足と作業事故などが頻繁に起きている。去年、中国のGDP・国内総生産はわずか世界の4%にしか達していないのに、その実現のために費やされたエネルギーは驚くべき量に達し、社会的コストも非常に高かった」と指摘しました。
政協会議の委員でもある著名な経済学者林毅夫氏も、「7%という目標は確かに低いものの、中国の現在の国情から見て、低く定めたほうが無難である」と強調しました。林毅夫氏はまた、
「一般的に見て、地方政府が定めた目標は中央政府よりやや高いことから、中央政府が目標をより低くすると、地方政府にとっては圧力とはならず、地方政府の職能を経済発展でのスピードのみを求めることから、社会の協調的発展に転換させることにプラスとなる。」と語りました。
人間を本にし、経済と社会の全面的で協調的かつ持続可能な発展を促すことは、中国の新しい指導グループが打ち出した新しい発展理念です。このような発展理念に基づいて、ある国や地域の全般的発展情況を評価する際、GDPの成長という指標は、以前よりも科学的で理性的な意義を持つようになり、環境、資源と社会の進歩情況などの全般的評価システムにおける重要性は、より重要視されるようになるのです。
「CRI」 2004/03/08
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