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温家宝総理の政府活動報告 農業支援の強化と負担減


 国務院の温家宝総理は5日、第10期全国人民代表大会(全人代)第2回会議で発表した政府活動報告の中で、「農業の基礎的な地位を強固なものとし、農民の増収と食糧の増産を実現する必要がある」と表明し、5年後をめどに農業税を廃止する考えを示した。

 温総理は、農業問題について、さらに次のように述べた。

 農業、農村と農民の問題を解決することは、あらゆる業務における最も重要な課題である。中国の農業の発展は、再び重要な時期に入った。今年は都市・農村を全体的に発展させる必要性に基づき、さらに直接的かつ強力な政策や措置を講じることで、農業を強化し、バックアップし、保護することで、農民の増収に努めなければならない。

 (1)総合的な穀物生産能力を保護し、向上させる。最大限に厳格な耕地保護制度を実施し、法による耕地管理を強化することで、耕地を無秩序に占用、使用する行為を断固として防ぎ、保護対象となる「基本農田」の使用目的を無断で変更させる行為を阻止する。土地占用に関する制度の改革を急ぎ、土地占用の手続きと、補償体制を整え、占用・補償がつり合うようにする。穀物の作付け面積を増加させ、単位面積あたりの収穫を高める必要がある。主な生産地では、穀物生産の発展の助成に重点を置き、良質穀物の生産プロジェクトをスタートさせ、安定的かつ収穫の多い「基本農田」の整備を進める。

 (2)農業や農村経済の戦略的な構造調整を推進し、良質で生産性や効率の高い、環境に優しい安全な農業をの発展に力を入れ、農産物の品質や競争力を高める。優れた農産品の生産地域を整備し、農業の産業化経営を促進する。牧畜業を積極的に発展させ、高病原性鳥インフルエンザなど、動物の疾患の対策事業に力を入れる。農村における農業以外の産業を発展させ、県レベルの経済を成長させる。都市化を着実に進め、農村人口による都市での就業に向けた環境を改善するとともに、農村人口への職業訓練を進め、さまざまな方向から農村労働力の出稼ぎ労働を拡大する。

 (3)引き続き農村における税など費用の徴収制度を改革する。タバコ以外で「農業特産税」を廃止し、農民の負担を年間48億元引き下げる。今年度から、毎年農業税の税率を段階的に引き下げる。毎年平均1ポイント程度を引き下げ、5年をめどに廃止する。今年度は、農業税による農民の負担を全体で70億元減らすことができる。農村における税など費用の徴収制度の改革を支援するため、中央政府は今年度、396億元を割り当て、地方政府である県・郷などでの関連改革を加速する。

 (4)穀物の流通体制の改革を推進する。穀物の取引市場を全面的に開放し、国有の穀物取扱い企業の改革を加速し、穀物市場への管理や規制を強化し、作付け農家への直接補助を給付する。今年度は、食糧リスク基金から100億元を拠出し、主な生産地の農家への直接手当て金とする。農業生産に必要な物資の価格への監督・管理を強化し、農民の利益を保護する。

 (5)農業・農民・農村への資金投入を増やす。中央政府は今年、前年度より20%多い300億元を出資する。国債発行で得られた資金は、農村の「6小事業」と呼ばれる節水型灌漑施設、住民・家畜向け飲用水施設、農村部の道路、天然ガス事業、水力発電所、牧畜用の柵の設置――の整備事業のほか、水利施設の整備に優先的に充て、農民の生産・生活条件の改善を図る。引き続き農村の貧困層支援に向けた開発事業を適切に進め、貧困層援助への資金を他方向から増加させ、労役に換えて救済を行う事業の規模を拡大する。農村における金融サービスを改善し、農村信用組合による農家向け小口融資や、複数農家の連帯保証による貸付を増やし、農民の生産発展をサポートする。また、農業分野の科学技術普及システムを整備する。

                   「人民網日本語版」 2004年3月6日