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温家宝総理の政府活動報告(2) |
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今年はわが国の改革と発展にとって大きな節目の年である。政府活動の基本的な考え方と主要な課題は、ケ小平理論と「三つの代表」という重要な思想を導きとして、党の第十六回全国代表大会と十六期三中全会の精神を全面的に貫き、重要な戦略的チャンスの時期をとらえ、発展という第一の重要課題をしっかり押さえ、科学的発展観を堅持し、「五つの統一的な企画」(都市と農村の発展、各地域の発展、経済と社会の発展、人と自然のバランスのとれた発展、国内の発展と対外開放をそれぞれ統一的に企画する)という要請に基づき、マクロ規制を立派に遂行することにさらに重きを置き、統一的に企画し、それぞれに配慮することにさらに重点をおき、人を根本とすることをさらに重視し、さらに改革と革新を重んじ、経済と社会の発展における際立った矛盾の解決に力を入れ、人民大衆の切実な利益に関わる際立った問題の解決に力を入れ、改革・発展・安定の関係を正しく処理し、経済と社会の全面的な、バランスのとれた、持続可能な発展を促し、社会主義の物質文明、政治文明と精神文明がともに進歩することを実現することである。 (一)マクロ規制を強化、改善し、安定した比較的速い経済の発展を維持する 今年度の経済活動の基本的な着眼点は、発展を加速させる各方面の積極性を着実に保護し、合理的に導き、十分に発揮させ、経済の安定した比較的速い発展を実現し、経済に大きな起伏が生じることを防ぐことである。今年度の経済成長の目標を七%前後に定めるにあたって、中央はマクロ規制の目標の継続性を配慮するとともに、また資源と環境に対するプレッシャーを軽減するために経済成長の速度とエネルギー資源、重要な原材料、交通運輸など実際条件とのつながりをも考慮に入れた。これは各方面が改革の深化、構造の調整、経済成長の質と効率の向上に主な力を傾け、より多くの財力と物力を社会の発展と脆弱な部分の強化に用いるよう導くことにも役立つ。 マクロ規制を立派に行うには、マクロ経済政策の継続性と安定性を保つ一方、経済情勢の発展と変化に基づき、政策の実施の度合いと重点を適時、適切に調整しなければならないということである。適時というのは、規制措置の実施のタイミングを正しく見計らい、わずかな兆しから、その発展の方向を見極め、リスクを未然に防ぐということである。適切というのは、力加減が適切であるようにし、急にブレーキをかけるようなことがなく、画一的なやり方を取らないようにすることである。 内需拡大の方針を堅持し、引き続き積極的な財政政策と穏健な通貨政策を実施しなければならない。建設国債の発行は需要の不足といった状況の下でとられた段階的政策であり、社会投資の速い伸びにつれて、段取りを追って国債の発行規模の調整、縮小をはかるべきである。今年は一一〇〇億元の建設国債を発行する予定であり、前年度より三〇〇億元減となる。正常な政府投資メカニズムと安定した資金源を作り上げるには、年ごとに国債発行の規模を減らすと同時に、中央の予算枠内の経常的な建設投資を適度に増やさなければならず、今年はまず五〇億元増やす予定である。全般的に考慮して、数年間の努力を通じ、現在の財政赤字の規模をこれ以上ふくらますことなく、中央の予算枠内の経常的な建設投資を一定の規模にまで徐々に拡大すると同時に、建設国債の発行規模をだんだんと小さくする。建設国債の使用方向を調整し、経済構造調整の促進と社会の全面的な発展のために集中的に用いるようにしなければならない。今年の国債投資は農村、社会事業、西部開発、東北地区などの旧工業基地、生態系の整備と環境保全へと傾斜し、国債プロジェクトの継続建設を保証しなければならない。国債資金を着実に管理、運用し、国債プロジェクトの工事の質と資金の運用効率を確保しなければならない。引き続き財政・税務の仕事を立派に行い、収入の増大・支出の節減に大いに力を入れ、厳格に法に依拠して税金を徴収し、重点的な支出を保証する。通貨政策の役割を十分に生かし、貸付の規模を適切に抑え、融資構造を最適化させ、経済成長をサポートするだけでなく、インフレを防止し、金融リスクを防ぎ止めるべきである。国際収支の基本的なバランスを促し、人民元の為替レートを合理的でバランスのとれたレベルで維持する中で基本的に安定させる。 固定資産への投資規模を適切に抑え、一部の業種と地区での盲目的な投資、低いレベルでの重複した建設を断固抑制することは、今年のマクロ規制の重要な課題である。市場を導きとすることをあくまで堅持し、主として経済的、法的手段を運用し、必要な行政手段をも補助として使い、誘導と規制を強めなければならない。一、産業政策と業種別の計画を充実させ、業種における情報開示制度を完備して、民間投資の方向を正しく導かなければならない。二、業種参入基準の制定、整備を急ぎ、市場参入を厳格にしなければならない。環境保全、安全、エネルギー消費、技術、品質などの面で基準に合致しないプロジェクトの中で、まだ建設されていないものは着工してはならず、建設中のものは整理しなければならず、完工したものは期限通りに改造しなければならない。三、法に基づいて土地利用に対する管理を強化しなければならない。国の産業政策と業種参入基準に合致しない建設プロジェクトに対し、いかなる土地の利用も一律に禁じる。引き続き開発区を整理し、土地市場を整頓し、規範化させる。四、貸付の審査・認可と監督・管理を強化しなければならない。市場参入の条件に合致しない新規建設プロジェクトと改造、拡充建設プロジェクトに対しては、金融機関は融資してはならない。五、租税制度を厳格に実行し、租税優遇政策を勝手に制定することを断固禁止し、それを是正しなければならない。これらの措置を通じて、投資構造が調整され、最適化されるよう、総投資規模が合理的なレベルを維持し、投資効果が高まるよう努める。新しいパターンの工業化の道を歩むという要請に従って、国民経済と社会の情報化を推し進め、産業構造の最適化とグレードアップを促進しなければならない。経済成長を大きく押上げ、独自の知的財産権を有するハイテク産業を積極的に発展させる。プラント製造業の振興を加速する。現代的流通、観光、仲介サービス等の第三次産業の発展に大いに力を入れ、国民経済におけるそのウェートを逐次高める。 安定した比較的速い経済発展を維持するには、必ず当面のエネルギー資源、重要な原材料と運輸の需給矛盾を緩和しなければならない。一方では、石炭、電力、石油製品の生産を増やし、経済運行に対する調節を強化し、石炭、電力、石油、輸送と重要な原材料の需給のかみ合わせを促進し、住民の生活、重要な業種と重点企業の需要を保証しなければならない。大型炭鉱、重要な電源・送配電網の建設を加速し、石油などの重要な資源の探査と開発を加速させ、重要な交通輸送幹線やセンターとなる工事の建設を速めなければならない。他方、あくまで増産と節約をともにめざし、節約を優先的地位に置かなければならない。これは当面の需給矛盾を解決するうえでの差し迫った要請であるばかりでなく、わが国の資源と環境のプレッシャーを緩和するうえでの長期的方策でもある。経済成長パターンを着実に転換させ、いかなる業種も浪費をなくし、消耗を少なくし、資源の利用効率を高め、資源の節約に役立つ生産モデルと消費方式を形成し、資源節約型社会を築き上げなければならない。 投資と消費の関係を合理的に調整することは、今年度のマクロ規制を行う上での重要な一環である。わが国の国内総生産に占める消費のウェートが低すぎることは、内需の安定した拡大にマイナスとなるとともに、国民経済の持続的で比較的速い成長と好循環にも役立たない。都市農村住民の収入増に努め、住民の購買力のレベルを向上させなければならず、所得分配に対する調節の度合いを大きくし、中・低所得層の消費能力を高めなければならず、消費者信用を発展させ、消費政策を充実させ、消費環境を改善しなければならず、消費構造の変化に適応し、サービス消費の分野を広げ、生産供給構造を改善しなければならず、改革の諸措置を消費者信頼感の向上、良好な消費期待の形成、即時消費の拡大に役立たせなければならない。たゆまぬ努力を通じて、投資比率が高すぎ、消費比率が低すぎる状況を逐次改めなければならない。 (二)農業の基礎としての地位を打ち固め、強化し、農民の収入増と食糧の増産を実現する 農業、農村と農民の問題を解決することは、われわれのすべての仕事における最も重要な課題である。当面わが国の農業の発展はまたカギとなる時期に置かれている。今年は、都市農村の発展を統一的に企画するという要請に基づき、さらに直接かつより強力な政策や措置を講じて、農業を強化し、バックアップするとともにそれを保護し、農民の収入増に努めなければならない。 一、食糧の総合的生産能力を保護し、向上させる。最も厳格な耕地保護制度を実行し、法に依拠して耕地への管理を強化し、耕地をむやみやたらに占用し、使用することを断固として制止し、基本的な農地を勝手に他の用途に切り換える現象を是正する。土地徴収・収用制度の改革のテンポを速め、土地徴収・収用手続と補償メカニズムを完全なものにし、占用と補償のバランスを確保する。食糧の作付面積を拡大し、単位面積あたりの収量を高めることに努める。主要な生産地域では食糧生産の発展への助成を重点に据え、良質食糧産業プロジェクトをスタートさせ、安定多収穫の基本的な農地を作る。 二、農業や農村経済構造の戦略的調整を推し進める。良質、高収量、高効率の、環境に優しい安全な農業の発展に力を入れ、農産物の品質や競争力を高める。優位のある農産物の産業ベルト地帯の整備を推進し、農業の産業化経営を促進する。牧畜業を積極的に発展させ、高病原性鳥インフルエンザなどの動物疫病の予防・対策の仕事に力を入れ、それを上手に推し進める。農村における農産物加工などの非農産業を発展させ、県域経済を大きく成長させる。都市化を穏当に推し進め、農民が都市部に赴いて就労、就業するための環境を改善し、農民就労者に対するトレーニングを強め、さまざまなルートを通じて農村労働力の移動に向ける雇用を拡大する。 三、引き続き農村における租税・費用の改革を推し進める。タバコ以外の農業特産物税を撤廃し、毎年四八億元の農民負担の軽減を図る。今年度から農業税の税率を次第に引き下げ、年毎に平均一ポイント以上下げる。五年以内に農業税を撤廃する。今年度農業税率の引き下げによって七〇億元の農民負担を軽減できる。農村における租税・費用の改革をサポートするため、今年度において中央財政は計三九六億元を移転支払に振り当てる。各県・郷機構などの関連改革のプロセスを加速させる。 四、食糧流通体制の改革を深める。食糧買付販売市場を全面的に開放し、国有食糧企業の改革を急ぎ、食糧市場に対する管理と規制を強化し、食糧作付農家に対して直接補助を与える。今年度において国は食糧リスク基金から一〇〇億元を捻出し、主要生産地の農家に直接補助を与えて、農家の食糧作付の意欲を引き出す。農業生産手段の価格に対する監督・管理を強化し、農民の利益を保護する。 五、農業と農村への投入の度合いを大きくする。各クラス政府はいずれも「農業、農村、農民」に対する資金投下を増やさなければならない。今年度中央財政の投入資金を前年度より二〇%以上増やし、三〇〇億元以上増加することとする。国債資金は重点として農村における「六小プロジェクト(節水灌漑、人と家畜の飲用水、村や郷の道路、メタンガス、水力発電所、家畜飼育場の囲い柵などの中小型基盤施設)」と農地水利施設の整備に振り当てて、農民の生産・生活条件を改善する。引き続き農村の貧困扶助の開発を立派に行い、多くのルートを通して貧困扶助への資金投入を増やし、労務提供を引き換えに救済の規模を拡大する。農村における金融サービスを改善し、農村における信用協同組合は農家に対する小口融資と複数農家による共同担保融資を増やして、農民が生産を発展させることをサポートする。 六、農業科学技術の進歩を速める。農業分野における科学研究の難関突破を強化し、農業科学技術の創造・革新、備蓄と転化能力を向上させる。農村における科学技術普及のシステムの整備を強化し、増産・効率向上をはかる先進的な、適用性のある技術の普及を大いに進め、農作物の良種に対する補助枠と規模を拡大する。 (三)地域のバランスの取れた発展を統一的に企画し、西部大開発と東北地区などの旧工業基地の振興を推し進める 地域のバランスの取れた発展を促すことは、わが国の現代化建設において重要な、戦略的問題である。断固として西部大開発を推進し、東北地区などの旧工業基地を振興し、中部地区の台頭を促し、東部地区の速やかな発展を奨励することを堅持し、東・中・西部が協力し合い、それぞれの強みを相互補完しあって、相互に促進し合い、ともに発展する新たな枠組みを形成する。 引き続き西部大開発の戦略を実施し、経験を真剣に総括し、政策の充実化を図り、諸般の措置を着実に実行し、積極的かつ段階を追ってそれを進める。耕地の樹林への復元、放牧の停止による草地の回復、天然林の保護、風砂発生源の防砂および岩石砂漠化対策などの重要な生態系プロジェクトを着実に推し進める。インフラの整備を強化し、全局にかかわる重要プロジェクトに力を入れ、経済成長の後続力を絶えず増強させ、ひきつづき農民・牧畜民の生産・生活条件が改善する小型プロジェクトの整備を立派にやり遂げる。義務教育、公共衛生と末端における文化面の整備に重点を置いて、社会事業の発展を促す。積極的に特色のある経済と優位産業を発展させ、重点区域とベルト地帯の開発を推し進める。 東北地区などの旧工業基地振興の戦略を真剣に実施し、今年は幸先のよいスタートを切るようにしなければならない。中央の諸政策措置を着実に実施し、体制革新とメカニズム・イノベーションを際立たせ、対内、対外の開放を拡大する。経済構造の調整と技術の進歩を加速し、重点業種と重点企業に対する調整や改造に力を入れ、資源型都市の経済パターンの転換と採炭による地盤沈下地域の対策を立派に行う。自力更生、刻苦創業を一貫して堅持し、広範な幹部や大衆の向上心と創造力を十分に発揮させる。 中部地区の発展を速めることはバランスの取れた地域の発展を促す重要な一環である。国は中部地区において区域優位と経済優位の発揮をサポートし、改革開放と発展のテンポを速め、現代的農業と重要な商品化食糧基地の整備を強化し、インフラ整備を強化し、競争力のある製造業とハイテク産業を発展させ、工業化と都市化のレベルを向上させる。 東部地区の発展を加速させることは、国の財力、物力及び科学技術力の増強に寄与するものであり、さらに中・西部地区の発展をよりよくサポートするものである。引き続き優位性を発揮させ、産業構造のグレードアップを速め、輸出志向型経済をさらに発展させ、条件の整った地方で率先して現代化の基本的な実現を達成する。東部、中部、西部地区はさまざまな形の提携を強化し、バランスの取れた発展を保った上で徐々にともに富裕になることをめざす。国は引き続き措置を講じ、かつての革命根拠地であった地区の発展の加速を助成する。 (四)引き続き科学・教育による国家振興の戦略を実施し、持続可能な発展の道を歩むことを堅持する 的確に教育を優先的に発展させる地位に置く。更に大きな力、より多くの財力を投入して教育事業の発展を速める。新規の『教育振興行動計画』を実施し、重点として義務教育、特に農村での教育に力を入れる。今年度において西部地区の「二つの基本」(九年制義務教育の基本的な普及と青・壮年非識字者をほぼ一掃させること)のブレークスルー・プランをスタートさせる。二〇〇七年までに西部地区において九年制義務教育の基本的な普及と青・壮年非識字者の基本的な一掃を達成させ、そのため中央財政は一〇〇億元の資金を投入する。農村における義務教育に対して、「県を主とする」管理体制の完備化を図り、中央と省、市(地区クラス)の財政は貧困県の義務教育に対する移転支払を増やさなければならない。中央財政は六〇億元を投入して、引き続き第二期目の農村における小中高校の老朽化校舎の改築を実施する。中央財政と地方財政は投入資金を増やして、農村における小中学校の現代的遠隔教育を発展させる。教育の構造を最適化し、積極的かつ穏当に高等教育を発展させ、職業教育と継続教育を大いに発展させる。各段階、各種の学校はいずれも共産党の教育方針を全面的に貫徹し、資質を高める教育を強化し、教育の改革を深め、教育の質を高めなければならない。社会の力による教育運営を規範化し、発展させる。教育面でのむやみやたらな費用徴収をあくまで整頓し、家庭の負担を着実に軽減させる。 今年度において、引き続き力を集中して国の中長期科学技術発展計画の編成をやり遂げ、今後十五年間におけるわが国の科学技術発展の戦略、目標、任務及び政策を制定する。科学技術体制の改革とメカニズム・イノベーションを推し進めなければならない。国の創造・革新システムと科学技術の基盤施設の整備を急ぎ、基礎研究を着実に強化する。経済社会の発展の全局にかかわる数多くの重要な科学技術プロジェクトの実施を行い、科学、技術と産業の結合を促し、ハイテク技術の産業化を推し進める。社会科学と自然科学を同様に重んじることを堅持し、哲学・社会科学の経済と社会の発展における重要な役割を十分に発揮させる。 人材による祖国富強戦略を真剣に実施する。人材の育成に力を入れ、積極的に誘致し、さまざまな人材を合理的に活用して、現代化建設のために確固たる人的保証と知的バックアップを提供する。 持続可能な発展戦略を積極的に実施し、人間と自然とのバランスのとれた発展を統一的に推し進める要請に応えて、人口、資源、環境の仕事を立派に行う。低い出産レベルを定着させ、出生人口の質を高める。末端における計画出産のための基盤施設とサービスシステムを完備し、移動人口に対する計画出産の管理を確実に強化する。高齢者向けの仕事を立派に行う。全国的な生態環境の保全と整備の企画を真剣に実施し、生態系整備を主とする林業の発展戦略を実施する。法律執行の度合いを大きくし、生態環境への監督・管理を強化し、主な汚染物の排出を厳格に規制し、人民大衆の健康と安全を脅かす環境汚染の問題の解決を急ぐ。リサイクル経済を大いに発展させ、クリーン生産を推し進める。法に依拠して国土資源を保護し、合理的に利用する。海洋資源の開発と保護を重視する。水資源の保護と節水を強化する。防災・減災の仕事を上手に推し進める。 (五)医療衛生、文化、スポーツなどの事業の発展を速め、精神文明の建設を強化する 医療衛生事業を発展させ、今年度は重点的に以下の三つの仕事に力を入れる。一、公共衛生システムの整備を強化する。三年間をかけて都市農村をカバーする、機能が完備した疾病の予防・抑制と医療救急・治療システムを基本的に構築し、ひどい伝染病等の突発公共衛生事件への対処力を高める。新型肺炎、エイズ、住血吸虫症などのひどい伝染病を高度に重視して、有力な措置を講じてこれらの予防・治療対策・措置を的確に行う。二、農村における医療衛生の条件を改善し、新しいタイプの合作医療制度のテスト作業を立派に行う。着実に医療衛生事業の重点を農村に置き、農村における医療衛生の基盤施設の整備と医療衛生陣の充実化を強め、農村にみられる医師や薬品の不足状況を一歩一歩改善する。地元の実情に応じて、積極的かつ穏当に農村における新しいタイプの合作医療制度のテストを推し進め、政府の企画、指導のもとで、農民が自由意志によって加入するようにし、個人、集団や政府が多ルートを通して資金調達を行い、大病医療共済を中心とする農民向けの医療互助共済制度を逐次構築し、農民大衆がメリットを享受することを確保する。三、積極的に都市部での医療衛生体制の改革テストを推し進める。都市部における職員・労働者の基本医療保険制度、医療衛生と薬品生産・流通体制の改革を続ける。医療機構は種類別に管理し、医療衛生の資源を合理的に配置し、効果的に利用する。コミュニティーにおける医療衛生事業を発展させ、医療衛生サービスを向上させる。これと同時に、都市農村においては、幅広い愛国衛生運動を展開する。 わが国の経済の発展と社会の進歩に伴い、人民大衆の精神・文化面の需要が絶えず高まるので、必ず文化面の建設をさらに重要な位置に置かなければならない。社会主義の先進的文化の発展に大きな力を入れるべきである。愛国主義精神を核心とする民族精神を発揚し、とくに青少年に対する思想・モラルの教育を強化する。積極的に大衆的精神文明の創出・確立の活動を展開させる。農村、コミュニティー及び企業など末端における文化面の建設を強化する。科学知識を普及させ、科学精神を発揚する。科学的かつ文明的で、健康なライフ・スタイルを唱導する。文学・芸術、報道・出版とラジオ・映画・テレビなどの諸事業をよりいっそう発展させ、優秀作品創出戦略を実施することによって、人民大衆に喜ばれる健康で進歩的な精神的、文化的産物をより多く提供する。文化体制の全般的改革案と文化発展綱要の作成を加速させる。積極的に文化体制の改革とメカニズムイノベーションを促し、公益文化事業へのサポートの度合いを大きくし、文化産業政策を健全なものにし、市場メカニズムの役割を発揮させ、文化事業と文化産業がともに発展することを促進する。文化財、公文書・書類保存、自然と文化遺産の保護を立派に行う。ひきつづき文化市場とインターネットの整備と管理を強化し、「ポルノ一掃」、「不法出版物取り締まり」のキャンペーンをゆるむことなく展開する。積極的に対外文化交流を展開する。全人民の健康維持・増進の仕事を広く展開し、競技スポーツのレベルを高めるよう努力する。ひきつづき二〇〇八年北京オリンピックと二〇一〇年上海世界博への準備作業を立派におこなう。 (六)有利な時期をとらえて、経済体制の改革を深化させる 今年は、党の第十六期三中全会の決定で取り決められた配置に従い、重点的かつ段取りを追って改革を推し進め、いくつかの重要な分野で新しい進展を得るよう努力する必要がある。 国有資産管理体制の改革と国有企業の改革を深化させる。国有資産監督・管理に関連する法規と具体策を速やかに充実させ、国有資本経営・予算制度と企業経営業績考課システムの確立を検討し、一歩進んで国有資産の経営責任を確実なものにする。国有企業の規範化をめざす株式制改造を積極的に推進し、財産権構造とコーポレート・ガバナンス構造を健全化し、企業経営メカニズムの転換を推進する。混合所有制経済の発展に力を入れ、逐次株式制が公有制実現の主要形態になるようにする。ひきつづき電信・電話、電力、民間航空などの業種の改革・リストラクチャリングの仕事に取り組み、郵政業種、鉄道業種の改革を着実に推進する。市政公用事業の市場化の進捗を目指す。改革と発展を通して、中核的競争力が強く、自主的知的財産権と著名ブランドを擁する数多くの大手会社・大企業グループを形成する。ひきつづき集団企業の改革を推し進め、多種多様な集団経済を発展させる。 非公有制経済の発展に大きな力を入れ、積極的にそれを導く。非公有制経済の発展を制限する法規と政策について、各クラス政府はその整理と改正を急ぎ、市場参入措置の緩和を的確に行うべきである。非公有制企業が国有企業のリストラクチャリング・改造に参与し、インフラ、公共事業及びその他の業種と分野に入るよう奨励するための具体的な方法をさらに検討し、制定する。投融資、税収、土地の使用及び対外貿易などの面での待遇について、非公有制企業はその他の企業と同等の待遇が享受できるような措置を講じる。非公有制企業の合法的権益を保護し、サービスと監督・管理を改善し、条件の備わっている企業が大手企業に成長するようサポートし、奨励する。現代的財産権制度の整備の推し進めを加速させる。 金融体制の改革を推進する。国有単独資本の商業銀行の改革を速め、重点として中国銀行と中国建設銀行の株式制改造のテスト作業を立派に行う。その他の商業銀行と政策的銀行も改革の深化を図るべきである。ひきつづき農村信用協同組合の改革テストを立派に行ない、その経験を総括し、逐次テストの範囲を拡大する。資本市場の改革開放と安定成長を推し進め、企業債券の発行規模を拡大し、企業の直接融資のウエートを高める。ひきつづき保険業の改革を推し進め、保険市場の発展に力を入れる。銀行、証券、保険の監督・管理体制を健全化し、相互間の協力を強化し、金融に対する監督・管理を強め、金融の穏健な運営を維持する。 財政・租税体制の改革を推し進める。増値税について、生産型から消費型への転換を逐次実行し、設備投資を増値税の控除範囲に組み入れることに重点を置き、企業の技術進歩を促進し、その自主的成長能力を向上させる。今年は、東北地区の一部の業種で先ずテストを試みる。関連措置の制定を速め、輸出による租税還付メカニズムの改革案を真剣に実施する。 投資体制の改革を推進する。その改革の主要な目標は下記のとおりである。企業に対する政府投資の管理制度を改革し、「投資するものが意志決定をおこない、その収益を得ると同時にリスクも引き受ける」という原則に照らして、企業の投資自主権を拡大し、それを確実なものにすること。政府の投資機能を合理的に確定し、政府投資の管理を強め、政府投資責任追及制度を打ち立てること。投資のマクロ規制体系を充実させ、規制パターンを改善し、規制手段を健全化すること。それによって最終的に、市場による投資誘導、企業による自主的政策決定、銀行による独自の貸付審査、融資パターンの多様化、仲介サービスの規範化をめざすマクロ規制の効果的な新しい投資体制を打ち立てることが可能となる。 社会信用システムの構築を速める。企業と個人向けの信用情報収集システム、信用市場の監督・管理システムと信用喪失に対する懲罰・戒告制度の確立を急ぐ。市場秩序を整理し、規範化させる度合いを大きくし、人民大衆の健康と生命に直接係わる食品、薬品などの面の特別対策を重点とする。ニセモノや粗悪品の製造・販売、不法なネズミ講式販売と不正商法をきびしく取り締まる。知的財産権を保護する度合いを大きくし、法にもとづいて海賊版による知的財産権の侵害行為を取り締まる。脱税、輸出増値税還付金のだまし取り、マネー・ロンダリングや密輸などの違法犯罪活動をきびしく取り締まる。 (七)新しい情勢に順応し、対外開放のレベルを高める われわれは必ず国内の発展と対外開放を統一的に企画し、国内及び国外の二つの市場、二種類の資源を利用し、発展の空間を広げ、積極的かつ主体的に対外開放関係の諸活動に取り組み、国際協力への参加と競争の能力を増強しなければならない。 対外貿易の適度な成長を維持するよう努める。ひきつづき市場の多元化戦略を実施し、科学技術により貿易を興し品質で勝負することを堅持し、輸出商品の構成を最適化し、加工貿易パターンの転換・グレードアップを促進すべきである。対外貿易の協調を強め、貿易の障壁を打ち破り、貿易摩擦を減少し、企業のために公平貿易の環境を勝ち取るよう努力する。渉外経済体制の改革を深化させ、各種所有制の企業の輸出入に関する経営自主権を確実なものにする。国内で欠如している原材料、コア技術、及び重要設備の輸入を増やし、重要物資の輸入源の多元化を推進する。外国投資を積極的かつ合理的に利用し、外資運用の質を向上させるよう力を入れるべきである。ひきつづき外商による投資を奨励するための政策・措置を実施し、投資環境のさらなる改善をはかる。「海外進出」戦略の実施を速め、外国向けの投資に対する協調と指導を強化し、各種所有制企業が様々な形で外国で投資し、事業を興し、国際市場を開拓するよう奨励する。多国間、二国間及び区域間の経済協力を積極的に展開させる。ひきつづき世界貿易機関(WTO)加盟の際の各項目の承諾を真剣に履行する。 (八)就業と社会保障の仕事に大いに力を入れ、人民の生活をさらに改善する あらゆる方策を講じて就業機会を増やすことは政府の重要な職責である。今年の予期目標は都市部の就業人数を九〇〇万人新規増加させ、一時帰休者・失業者五〇〇万人を再就業させる。積極的な就業政策を引き続き実施し、わけても財政、貸付によるサポートと租税減免などの政策が真に実行されるようにする。今年度の中央財政予算では再就業補助資金八三億元を計上し、前年度比三六億元増となっている。就業のルートを幅広く開拓し、労働集約型産業、中小企業や非公有制経済の発展を重視すべきであり、フレキシブルで多様な就業形態を推し進め、自主的創業と自助努力による就職を奨励する。再就業支援制度を健全化させ、政府の出資によって開拓した公益性の職場に就職難の人たちを優先的に配置する。国有大・中型企業における主要業務と補助業務の分離や補助業務の体制転換による余剰人員の再配置をサポートする。旧工業基地、資源が枯渇した都市や独立した工鉱業区及び軍需工業、石炭、林業などの業種の一時帰休者・失業者の再就職の仕事に重点的に取り組む。就業サービスシステムを充実させ、就業技能育成トレーニングや就業あっせん、就業指導を強化する。今年は依然として大卒者の就職ピークに当たり、退役軍人の再配置の任務もかなり重く、就職指導やサービス活動を真剣に行わなければならない。 わが国の国情に適合し、経済発展レベルにふさわしい社会保障システムを確立することは、重要かつ困難な課題である。引き続き「二つの確保」の仕事を行ない、「三本の保障ライン」のドッキングを立派に行なわなければならない。国有企業の一時帰休者の基本生活保障を失業保険に一本化させる仕事を着実に推し進める。社会的な統一調達と個人口座と結び付けることを堅持し、職員・労働者の基本養老保険制度を充実させる。法に照らして社会保険のカバーするエリアを拡大し、各種の保険加入企業の社会保険料納入を強化する。各クラス政府は法律執行検査に全力を上げて取り組む。都市の「最低生活保障」の仕事をさらに立派に行ない、「最低生活保障」の基準と範囲を規範化させる。社会保障基金については引き続き多くのルートを通じて調達するとともにその管理を上手におこなう。遼寧省の都市部社会保障システム整備に関するテスト作業の総括をふまえて、テストケースの範囲を黒竜江と吉林の両省にまで広げる。今年、中央財政は「二つの確保」と都市「最低生活保障」の補助資金として七七九億元を計上し、前年度比一一・三%増となっている。地方財政もこの方面の投入を増やさなければならない。 都市農村の特別困窮者に対して、より一層関心を寄せなければならない。引き続き社会救済制度を健全化させる。特別困窮世帯を確実に援助してその医療、子女の就学、住宅、冬季の暖房問題などの実際的困難を解決する。農村の「五保戸(生活保護対象世帯)」の生活保障制度を完備させ、扶養資金を確保する。農村の被災地域の税収減免と被災者の生産・生活救済などの仕事を確実に行う。身障者事業に関心を寄せ、それをサポートする。 都市部の家屋立退きと農村の土地収用にみられる問題の解決を急ぐ。都市部の家屋立退きにおいては都市のトータルな建設計画と最近の建設計画に従って厳しく行ない、合理的に立退きの規模を確定し、審査・認可手続きを規範化させ、補償・再配置の政策を完備させ、監督・検査を強化する。農村の土地収用を行うに当たっては、収用規模を厳格に抑制し、法に依って計画や手続きをふまえて収用し、適時に農民に合理的な補償を与え、農民の合法的権益を確実に保護する。 農民就労者の給与を期日どおり全額支給することを確実に保障しなければならない。当面は農民就労者の給与をくすねたり遅配したりする問題の根本的解決に力を入れなければならない。国務院は、三年の期間を費して建設分野における工事建設費遅配や農民就労者の給与遅配問題を基本的に解決することを決めている。遅配金の償還は政府が投資したプロジェクトから着手し、それとともに諸企業の遅配金償還の加速を督促する。農民就労者の給与を遅配して支払おうとしない企業や管理者に対しては、断固として法に依拠してそれを調べ、処理する。農民就労者の給与を期日どおりに支給するメカニズムを確立し、健全化させ、根源から新たな遅配問題を防き止めなければならない。諸企業はいずれも期日どおりに給与を支給し、最低賃金制度を厳格に実行しなければならない。事業体の給与と年金を期日どおりに全額給付することを保証し、いかなるところでも新たな遅配を出現させてはならない。賃金の特別口座管理を厳しくし、財政資金は賃金支給を優先的に保証しなければならない。 (九)民主法制建設を強化し、国の安全と社会の安定を維持する 政治体制の改革を積極的かつ着実に推し進め、社会主義の民主を発展させ、社会主義の法制を健全化させる。末端における民主をさらに拡大し、村民の自治と都市住民の自治を充実させ、末端と大衆の民主的権利を尊重する。従業員代表大会とその他の形態の企業・事業体の民主管理制度を堅持し、充実させ、従業員の合法的権益を保障する。 引き続き民族、宗教、華僑事務の仕事を立派に行う。党の民族政策を全面的に貫徹し、平等、団結、互助の社会主義の民族関係を強固にし、発展させる。民族地域における経済・社会発展の支援に力を入れ、各分野における少数民族人材の育成を強化し、各民族がともに繁栄し、発展することを促す。党の宗教信仰自由の政策を全面的に貫徹し、法に依って宗教事務を管理し、宗教事務を自主管理するという原則を堅持し、宗教が社会主義社会に適応するよう積極的に導く。海外華僑と帰国華僑及びその国内にいる家族を対象とした仕事をより上手に行ない、祖国の統一と民族振興を促進する過程で彼らの独特な役割を十分に発揮させるようにする。 政府の立法の仕事を強化する。社会諸方面の管理と公共サービス面における立法をさらに重視しなければならない。さまざまな突発事件への対応や農民の権益保障、労働・就職や社会保障、及び社会事業発展の面における立法を重点的に行う。政府の立法活動の質的向上に努める。大衆の切実な利益にかかわる重要な法律草案の検討、制定及び行政法規の制定にあたっては、社会の各方面の意見を広く求めなければならない。弁護士や公証等の法律サービスを強化し、法律援助の活動を立派に行う。法に依拠して女性・未成年者や身障者の合法的権益を保障する。法律知識普及の広報教育を強め、社会全体で法を学び、法を理解し、法を遵守する良好な環境を創り出す。 人民大衆の安定した生活・生産を保障することは、政府が当然担うべき責任である。社会治安総合対策における諸般の措置をよりいっそう着実に実行し、社会治安の防犯・抑制システムの整備を推進しなければならない。マフィア的性格を持つ、邪悪な勢力による犯罪やゆゆしい暴力犯罪、多発する財産侵害犯罪および麻薬関係の犯罪などを厳しく取り締まる。突出した治安問題の根治や治安の混乱している地域の対策にいっそう力を注ぐ。公安・検察・司法の諸経費を保障するメカニズムを完備させ、公安・検察・司法機関の正常な執法活動のために必要な条件を作りだす。反テロ闘争を重視し、強化する。邪教組織に対するたたかいを深くくりひろげる。新たな情勢下の人民内部の矛盾を正しく処理し、さまざまな矛盾や紛争を防ぎ止め、解消するメカニズムを健全化させ、民衆からの投書受理や苦情受付の仕事を重視し、正常な社会秩序と社会の安定を維持する。 国および人民に対する高い責任意識をもって安全関係の仕事を確実に強化しなければならない。安全な生産に対する監督管理を強化し、安全特別対策を強化し、安全防犯措置を確実に実施し、安全責任制を健全化させる。さまざまな安全にかかわる事故を断固取り調べ、法によって関係者の責任を追及し、法制と規律の厳粛性を維持する。 国防と軍隊の現代化建設を強化することは、国の安全を守り、小康社会を全面的に建設する上での重要な保障となる。「政治面で合格し、軍事面でしっかりし、作風が立派で、規律が厳しく、保障が有力である」ことをめざす全般的要請に基づいて、軍隊の建設を全面的に強化する。中国の特色のある軍事の変革を積極的に推進し、国防と軍隊の現代化建設が飛躍的発展を遂げるよう努力する。科学技術による軍事力の強化戦略を実施し、重点としてハイテク武器・装備の研究・開発を強め、高資質の新しいタイプの軍事人材を育成し、情報化を主導とし、機械化を基盤とする軍隊の現代化建設を推進し、ハイテク条件下におけるトータルな防衛戦闘能力を強化する。法に基づいて軍隊を治める方針を堅持し、正規化の建設を強化する。国防建設と経済建設のバランスのとれた発展を堅持し、国防建設の全般的効率を引き上げる。軍需産業と民間産業を結びつけ、民需工業においても軍需品の研究・開発をおこなう方針を堅持し、積極的に国防科学技術工業の改革、調整と発展を推進し、自主的な創造・革新能力を向上させる。軍隊の体制・編制の調整、改革に丹念に取り組み、二〇〇五年までに二十万人の軍隊の削減などの諸任務を完成することを確保する。後方支援の建設と改革を強化し、後方支援の保障能力を高める。人民武装警察部隊の執務能力および突発事件への対処能力をよりいっそう増強させる。国防教育を大いに強化し、全人民の国防意識の強化をはからなければならない。積極的に国防と軍隊の建設をバックアップし、予備役部隊と民兵の建設を立派に行い、迅速かつ高効率の国防動員体制を確立し、充実させる。軍隊擁護・軍人遺族・家族優遇、政府擁護・人民愛護、共に精神文明を建設する活動の展開によりいっそう力を入れ、軍隊と政府、軍隊と人民の団結を強化する。 |