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北京・天津、生態系保護のための移民50万人に
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北京で開催中の第10期全国人民代表大会(全人代)第3回会議と中国人民政治協商会議第10期全国委員会(全国政協)第3回会議に関連して、国務院西部開発弁公室の王志宝副主任はマスコミの取材に応え、生態系保護のための移民「生態移民」の実施状況を説明した。人民日報系の北京紙「京華時報」が伝えた。 王副主任の主な発言は次の通り。 北京市と天津市の黄砂発生源対策活動は2000年9月に始まった。私は01年春から国務院西部開発弁公室に移り、西部地方の生態系の整備を統轄している。生態系に関する対策活動の進展状況を把握するために、李子彬副主任とともにチームを率いて各地を調査した。数回にわたる調査・研究の結果、一部の地方では、生態系のぜい弱な土地に人口が集中し、生態系を著しく損なっていることがわかった。西南地方山岳地域の急斜面では、劣悪な生活条件にかかわらず、勾配30〜40度の傾斜地に多数の人が暮らしている。こうした住民らによる開墾で、水土流失が深刻化している一方、穀物の生育状況も劣悪で、住民が貧しい生活を余儀なくされている。また北京・天津地域の黄砂発生源とされる沙漠地・渾善達克(フンサンダック)にも村落が点在する。住民は牧畜で生計を立てているが、草原や樹木が少なく、数千平方メートルの土地で羊1頭も十分に養えない状況で、生態系の悪化が深刻だ。調査結果を受けて、われわれは「黄砂発生源地域に暮らす住民の移転は可能か。移転により、貧困の脱出と生態系の保護が可能になるのではないか」と考えさせられた。 これまでの移民実施状況をみると、住民らは移住後、以前より好条件の耕地を獲得したり、野菜のハウス栽培を営んだりしている。移転前の居住地には学校がなかったが、移転先の地方政府は移民のために小学校を用意し、子女の教育問題の解決、次世代の人材育成に役立てている。また、移転前の村落ではテレビ、ラジオの視聴ができず、情報源に乏しかったが、移転後はテレビやラジオのほか、電気といったインフラが使えるようになった。「生態移民」は、本来の生態系の整備という利点はもちろん、環境移住者の生活レベル向上にも役立ったと言える。移転前の地域では、土地を囲い込んでの緑化事業を進めたため、緑地が急速に回復している。これは北京市にとってよりよい黄砂対策となる。 北京・天津地区では50万人の移住を計画しており、内蒙古自治区、河北省の張家口市と承徳市、北京市の門頭溝区や延慶県など6区県の一部の山地などから移住する。現在、20万人の第1期移民事業が完了しつつある。 「人民網日本語版」2005年3月11日
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