選挙を伴わない年一回の定例会議ではあるが、3月の初めに北京で開幕する中国の両大会、つまり、第10期全国人民代表大会(全人代)第5回会議と第10期全国政協第5回会議は世界の注目を浴びている。両大会のプレスセンターの外国記者登録処が発表した統計データによると、2月27日8時までの時点で、今年の両大会の取材を申請した外国の記者は36ヵ国、132社のメディアの482人に達し、昨年のそれを上回った。
新年早々、アメリカのタイムズ誌は「中国:新しい王朝の始まり」という文章を掲載した。テーマは中国に関するものであるが、その内容はアンゴラ、南アフリカ、フランス、タイなどの十余人の記者が世界各地で「中国の要素」を探し、世界に及ぼす中国の影響力を描いたものである。
「中国の要素」が世界に及ぼす影響は全方位で、構造的なものであり、政治、経済、外交、文化などの諸分野に及ぶものである。数日後に開催される両大会はこれを裏付けるものと見られている。今期の政府の任期満了までの最後の全人代、また、中国共産党第17回全国代表大会の前に開催される政治的盛会である今年の両大会について、「中国の世紀」の作者であるマイケル・エリオット氏は「世界が中国に対して何をしても、中国の国内で何かが起こっても、中国と関連があるすべてのことは必ずある分野でわれわれに影響を及ぼすことになっている」と語った。
第10期全国人民代表大会第5回会議は政府活動報告など例年の議題を審議するほか、「物権法」草案および「企業所得税法」草案を審議、可決することになっている。「物権法」の起草作業は13年間をかけてすすめられてきたもので、2002年から今年まで7回も審議された。同草案は国、集団、個人の財産と権利を平等に保護する原則を確立するものである。
中国の立法の歴史で幅広く注目され、準備期間が最も長かった法律として、「物権法」は外国の注目を浴びている。日本の「読売新聞」は2月の初めに「物権法の草案が可決されれば、民営企業や外国資本の中国での経済活動がより自由になる」と評している。
外資企業の利益と関わりのある「企業所得税法」の草案は「いかなる企業の所得税率を25%にする」ことを主張している。これで20余年間実施されてきた「国内企業と外資企業の所得税率が異なる」という政策に終止符が打たれることになろう。
「低い税率は確かに投資者をひきつけることになろうが、税率の向上はわれわれの中国での投資をストップさせることではない」と、上海で会社を運営しているアメリカ人のジョゼフ・コンスタンティさんは語っている。
中国財政部・財政科学研究所の賈康所長は「25%にしても、中国の税率は依然としてOECD(経済協力開発機構)の平均税率より低いもので、世界において投資者を強くひきつける市場である」と語っている。
外国のメディアが両草案に注目する訳について、中国人民大学国際関係学院の殷弘如教授は「中国はより深く世界とつながっているので、いかなる法律の発布も予測することのできない国際的な影響を及ぼすことになろう」と語っている。
国政について討議する両大会は、2007年の中国の外交活動についても触れるものと見られている。かつては、中国の影響力をアジアの一角に限定した国もあるが、現在、アメリカとヨーロッパは戦略的な話し合いを行う際には中国に言及せざるをえなくなっている。中東問題やアフリカ問題を解決する際、国際社会にとっては中国の役割を無視することができなくなっている。2007年の両大会は「調和の取れた世界」の理念をどのように実践するかを討議することになろうが、中国とその他の大国との関係、重要な国際問題における中国の役割は重視されるものとなっている。
また、北京五輪の準備活動がラストスパートの段階に入っていること、WTO加盟の過渡期の後、外国との経済・貿易関係をどのように解決するか、さまざまなグローバル化の議題が諸国のマスコミに注目されている。中国は北京五輪を通じてどのようなイメージを世界に提示するのか、世界で四番目の経済体である中国はWTO加盟時の承諾をどのように履行するのか、世界はその答えを耳にすることを待っている。
「チャイナネット」 2007年3月1日 |