全人代・全国政協展望:注目の10大問題

開催を目前に控えた今年の「両会」(第10期全国人民代表大会第5回会議、第10期全国政治協商会議第5回会議)には、国内外から高い関心が寄せられている。調査によると今年の焦点は、物権法案や企業所得税法案など民主法治に関わる重大議題、発展の大局に関わる省エネ・排出削減目標の達成、教育・医療・住宅など民生問題の適切な解決などとなっている。新華社のウェブサイト「新華網」が報じた。

焦点1:物権法案の審議、中国の物権制度の確立

全人代常務委員会に7回提出された物権法案の審議は、今年の全人代の重要議題である。

どのようにして社会主義の基本的な経済制度を堅持し、国家・集団・個人の物権を平等に保護するか。物権法は国家の基本的な経済制度と共に、無数の家庭の切実な利益に関係することから、社会の関心度は極めて高い。この点を踏まえると、物権法案の修正と完成、中国の特色ある社会主義物権制度の確立が、今年の両会議の焦点の1つになることは間違いない。

焦点2:税制は統一へ向かい、内外企業の「公平競争時代」に

1980年代の改革開放以来、中国は外資導入と経済成長のため、外資企業に内資企業とは異なる優遇政策を適用してきた。市場経済の発展、とりわけ世界貿易機関(WTO)加盟による過渡期の終了に伴い、内資・外資企業に二元的な法人税制が適用される状態の早急な終焉と、全企業に適用される統一税制の確立が、必須の課題となっていた。

今年の全人代で法案を可決し、内資企業と外資企業を税負担面で同一のスタート地点に立たせ、本当の意味での「公平競争」を実現することが、両会議の重要な視点となるだろう。

焦点3:政府を試す、厳しい省エネ・排出削減目標の実現

第11次五カ年計画(2006〜10年)綱要は、同期間内に、単位GDP当たりのエネルギー消費を約20%引き下げ、主要汚染物質の排出総量を10%削減するという拘束的な目標を提示している。初年度の目標達成度合が、両会議の焦点となるのは間違いない。

焦点4:一部都市で続く住宅価格の高騰、庶民の生活をどう守るか

国は昨年、不動産業に対し強力なマクロコントロールを実施した。5月17日には「住宅供給の調整と住宅価格安定に関する意見」を打ち出し、住宅構造・住宅保障・土地政策などの面から、不動産市場の根深い問題に対する整理に着手した。一部門の対策から多部門の連携へ、銀行の金利引き上げから徴税へ、外資による転売への制限から不動産業界の腐敗への厳しい捜査へと、不動産市場に対する政府の調整手段は日増しに洗練されている。

しかし、少なからぬ地方でなお不動産市場の過熱が続いており、北京を含む多くの都市で住宅価格の高騰が続いている。こうした状況の下、住宅価格が引き続き両会議の重要議題となることは必定といえる。

焦点5:就業・再就業難は、なお解決が待たれる問題

中国の労働力供給の増加は昨年ピークに達し、供給総量は急速な増加を見せたが、経済成長による就業の柔軟性は低く、労働力需要は大幅な増加が見込めず、労働力総量は依然として深刻な供給過多にある。多くの求職者にとって、昨年の求職活動は容易でなかった。

就業問題において、政府と社会各界の前には、実際に多くの難題が立ちはだかっている。困窮地区、困窮業種、困窮層の就業問題は、一層顕著だ。農村労働力の移動就業規模拡大と、就業サービスの強化が急がれる。大卒者は依然として構造的な就職難に直面している。生産能力の過剰、経済の動揺、貿易摩擦によって引き起こされる就業リスクも増加している。

就業・再就業は多くの代表委員が長年関心を寄せている問題だ。各委員は過去1年間に膨大な調査を進めており、今年の両会議では異なる角度から議案や提案が示される見込み。

焦点6:教育資源で際立つ不均衡、不公平問題の一層の解決は

中国は昨年、西部地区の農村に対し、義務教育の授業料と雑費を全額免除した。小中学生4900万人が対象となり、小学生は1人当たり140元、中学生は同180元の負担減となった。これにより、多くの中途退学児童・生徒が復学した。しかし教育資源の不均衡は、なお多くの保護者にあきらめを感じさせている。教育の多くの問題は、社会各界から長年非難を浴びているが、いまだに根本的な解決を得ていない。教育の不公平問題は、今年の両会議でも重点的に審議される議題となる。

焦点7:新たな医療改革案

庶民の受診困難は解決策を得られるのか。受診困難と高額な診療費は長年来、社会各界の強い反響を呼んでいる問題だ。この問題を根本的に解決するため、国の関係部門は昨年、行政手段により薬価を引き下げたと同時に、多くの関連文書を制定し、都市コミュニティーの衛生サービスの推進を加速し、新型農村協力医療制度を推進して、一定の成果を上げた。しかし、庶民の受診困難と高額な診療費は、なお政府機関と無数の庶民を悩ませる難題として残っている。

問題の徹底的な解決には、根本的な視点が必要だ。このため、現在準備中の新たな医療改革案は、今後の中国の医療おける一大着目点となり、各代表委員は庶民の受診困難、診療費問題の解決に向けた、新たな「処方箋」を今年の両会議で示すことだろう。

焦点8:後を絶たない食品の安全問題 庶民の安心を確保するには

昨年は食品の安全上の問題が後を絶たず、メディアにも度々大きく取り上げられ、食品の安全が一刻の猶予もならない問題であることを政府関係部門に悟らせた。現在最も手を焼く問題は、数が多く、生産の様子が目に見えない小企業に対し、どのようにして効果的な監督を行うかだ。近年来、各地共に「闇業者」の摘発を食品安全の取りかかりの1つとしているが、一部の監督者が不法業者と結託し、劣悪・偽物商品を共同で生産し販売する現象が、今も時折発生している。今年の両会議でも食品の安全面の監督の強化、庶民の安心の確保をめぐり、各委員が意見を発表する予定だ。

焦点9:反腐敗闘争の貫徹実施、権力の腐敗を根絶

鄭筱萸・元国家食品薬品監督管理局長が深刻な汚職に手を染め、職権で私利を謀っていた事件が暴露されたことで、人々は権力腐敗の根絶策を再び考えることとなった。反腐敗は例年、両会議の焦点となっており、今年もその例外ではない。今年は、政府機能の転換、制度整備の強化、権力行使の監督、商業賄賂の厳しい捜査、権力と金銭の取引の禁止、予算の透明性の向上、公金消費の制限、人民の生活難、医療と教育の腐敗の解決などをめぐり、各代表委員が各自の正確で透徹した見解を示す予定だ。

焦点10:「台湾独立」分裂活動の断固阻止、平和統一の推進

例年の両会議では常に、両岸(大陸部と台湾)の平和統一の実現、中華民族の偉大な復興の促進が、各代表委員の強い願いとされてきた。今年は「台湾独立」に反対し、台湾海峡の平和を守る正念場だ。台湾当局による、いわゆる「憲法改正」を通じて「台湾の法理上の独立」を謀る活動は実質的な段階に入り、両岸関係は厳しい試練に直面することになる。双方の住民にとって「台湾独立」分裂活動を断固として抑え込み、台湾海峡の平和を守ることは、今なお最も重要で最も緊迫した任務である。

今年の両会議で各代表委員は、これまでと同様に、国家の主権と領土保全を守り、「台湾独立」分裂勢力が、いかなる名目、いかなるやり方によって台湾を祖国から分裂させることも断じて許さないという、全中華民族共通の意思と断固たる決意を存分に表現すると見られる。

「人民網日本語版」2007年3月3日


 

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