教育事業の優先的発展。中央の財政は農村義務教育経費を1840億元計上し、西部地区と中部の一部地区において義務教育段階の児童・生徒5200万人の学費・雑費をすべて免除し、貧困家庭の児童・生徒3730万人に教科書を無料で提供し、780万人分の寄宿生活補助金を支給した。「二つの基本」(九年制義務教育の基本的な普及と青・壮年非識字者をほぼ一掃すること)のブレークスルー・プランにリストアップされている410県のうちすでに三一七県が所期の目標を達成し、西部地区における「二つの基本」のブレークスルー・プランの人口カバー率は2003年の77%から96%に引き上げられた。中央財政が三年連続農村の寄宿制学校整備プログラムへの資金投入額は累計90億元にのぼり、その結果7651校が受益した。農村小中学校の現代遠隔教育プロジェクトにすでに80億元を投下し、中西部地区の80%以上の農村小中学校がカバーされ、1億余りの児童・生徒が良質の教育資源を共有することが可能となった。
医療衛生面の活動の強化。都市・農村をカバーする、比較的に機能が充実した疾病予防抑制システム及び突発性公共衛生事件医療救助体系は、整備作業をほぼ完了した。農村部における医療衛生サービス体系の整備作業がスタートし、中央財政は県、郷、村の三段階の医療衛生関連基盤施設の建設に国債資金27億元をあてた。新しいタイプの農村合作医療のテスト範囲は、全国総数の50.7%を占める1451の県(市、地区)まで広がり、農民の加入者数は4億1000万人に上った。また、中央財政は42億7000万元を拠出した上で、地方財政も相応の支出を増やし、これにより、合作医療に加入した農民への補助基準はかなり大幅に高められた。コミュニティーをベースとした都市部医療衛生サービス体系整備の進捗は、加速されている。都市、農村を問わず、医療救助の仕事がいくらか強化された。中央財政はまた、地方公共医療衛生サービスの強化に向けて支援金51億元を拠出することにより、エイズなど重大疫病の予防・抑制の面で著しい進展が見られた。
文化・スポーツ事業の積極的推進。報道・出版、ラジオ・映画・テレビ、文学芸術、哲学・社会科学など諸般の事業は、これまで以上に繁栄している。文化関連の基盤施設、わけても農村部末端における文化施設の整備が強化されており、村々までラジオ・テレビを普及させるプロジェクトは行政村から自然村へと広がり、コミュニティーや郷鎮の総合文化センター整備プロジェクト、全国文化情報リソースの共有プロジェクトも引き続き進められている。
(六)就業と社会保障の仕事に取り組んだ。就業、再就業向けの支援策を一段と充実させ、実行に移すため、中央財政は234億元の資金を計上した。多ルートで雇用を創出し、職業技能養成訓練を強化し、さらには「ゼロ就業家庭」(就業年齢に達した家族構成員がいずれも失業状態にある家庭のことを指す)や就業困難者に支援を与え、505万人の一時帰休・失業者が再就業を果たした。
2004年、われわれは建設分野で未払いとなっていた工費や農民就労者賃金の遅配問題を三年間で解決することをうち出したが、この仕事は現在ほぼ完了し、各地方が弁済した履行遅滞の工賃は1834億元にのぼり、この額は歴年の遅滞総額の98.6%を占め、その内農民就労者の未払い賃金330億元を完済した。
社会保障システムの整備の強化。東北三省でのモデル事業をふまえ、企業の職員・労働者基本養老保険個人口座を確実に積み立てるというテスト作業の適用範囲を拡大し、さらに八つの省で実施した。多年にわたって努力した結果、国有企業一時帰休者向けの基本生活保障制度を失業保険制度へ一本化させる作業はほぼ完了した。企業の定年退職・退職者の基本養老年金基準が引き上げられた。社会保険はより広い範囲まで行きわたり、社会保険基金の収入は増加を続け、社会保険基金の運用に対する監督・管理も強化された。都市、農村の社会救済システムの枠組みは基本的に確立し、慈善事業が絶えず発展している。中央財政から都市最低生活保障への補助支出は136億元で、前年度より24億元増え、各地方も程度の差こそあれ都市最低生活保障の補助基準を引き上げた。
25の省(自治区、直轄市)、2133の県(市、地区)は、農村最低生活保障制度を初歩的に確立し、1509万人の農民が農村最低生活保障を享受することになった。農村の「五つの保障」(農村における労働力を喪失し、身寄りのない者に衣、食、住、医療と葬儀など五つの保障を与える)は集団の互助共済から主として財政で賄う方向にほぼ転換された。孤児救済、未成年浮浪者保護などの仕事も強化された。各種類の優遇扶助対象者向けの扶助手当基準が大幅に引き上げられ、中央財政による扶助金支出は通年で112億元に上り、前年比47%増となった。大・中型ダム建設用地の収用に伴う補償や住民の移転を支援するための政策が充実化され、支援対象者数は2288万人に及んだ。長い間懸案となっていたこの問題は逐次解決されつつある。
(七)民主法制の建設は引き続き強化されている。末端における民主政治の建設が絶えず推し進められている。政府の立法作業はさらに強化された。国務院は、『企業所得税法(草案)』、『独占禁止法(草案)』、『突発性事件対処法(草案)』『義務教育法改正案(草案)』など七つの法律議案を全国人民代表大会常務委員会に上程し、その審議を求めたほか、『エイズ予防・治療条例』、『外資系銀行管理条例』など29の行政法規を公布した。
政府は法制化のペースを速め、『行政許認可法』、『公務員法』、『法に基づく行政実施の全面的推進要綱』の貫徹を着実に進めてきた。監察や会計検査、監督の仕事にいっそう力を入れた。司法の行政体制およびその活動メカニズムの改革が着実に推し進められている。投書・陳情受理の仕事が強化された。社会の治安防犯・抑制システムは絶えず充実化し、安心・安定・安全を創出する活動が広範囲にわたって進められている。治安の乱れた地域と特に際立った治安問題に対する集中的取締りは、顕著な成果をあげた。廉潔政治づくりと反腐敗闘争を掘り下げて推進し、商業贈収賄の撲滅を狙った特別作業を繰り広げ、政府機関及びその公務員に関わる相当数の重大案件をきびしく摘発した上で、法に則り一群の腐敗分子を懲罰した。
民族、宗教、香港・マカオ、台湾とかかわりのある仕事や華僑事務がさらに強化された。国防と軍隊の現代化建設に新たな進展がみられた。外交活動では著しい成果をあげた。
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