中国の温家宝総理は5日第10期全国人民代表大会第5回会議で政府活動報告を行い、「経済・社会の発展になお少なからぬ矛盾と問題が存在し、政府の活動にも一部欠点や不備な点があることを冷静に見ている」と述べた。
第一に、経済構造の面の矛盾が浮き彫りになってきていること。第一次、第二次、第三次産業のウェートが不合理で、都市と農村の間や地域間の発展にバラツキが見られ、投資と消費の関係のバランスが取れていない。農業については、その基盤の脆弱な状態がまだ改められておらず、食糧の安定した増産と農民の持続的収入増が難しさを増している。固定資産投資の総規模が依然として肥大化しており、銀行資金の流動性過剰問題が目立っているため、投資の過度な伸びや、過大な信用貸付を誘発する要因が今なお存在している。対外貿易の黒字は比較的大きく、国際収支のアンバランスという矛盾が深刻化している。
第二に、経済成長パターンが粗放型であること。それはエネルギーの大量消費と深刻な環境汚染に著しく現れている。「第十一次五ヵ年計画」は省エネルギーの原材料消費と汚染物質排出の削減目標を打ち出し、さらにそれを拘束性を伴う指標として定めた。これは経済成長パターンの転換、省エネ・環境保護事業の強化にとって、非常に重要な意義をもつことである。ここ一年、各地方、各部門は多くの取り組みを行ない、積極的な進展を遂げた。二〇〇六年、GDP単位あたりのエネルギー消費率は、前の三年にはそれぞれ4.9%、5.5%、0.2%と上昇していたにもかかわらず、一転して1.2%に減少した。主要汚染物質排出総量の増加幅は縮小し、化学的酸素要求量(COD)とSO2排出量の上昇率はそれぞれ前年度の5.6%、13.1%から1.2%、1.8%に低下した。にもかかわらず、昨年の初めに打ち出したGDP単位あたりのエネルギー消費率を4%前後、主要汚染物質排出総量を2%削減するという目標は達成できなかった。
その主な原因は次の通りである。つまり、産業構造の調整がなかなか進まず、重工業、とりわけ大量のエネルギーを消費し、汚染も深刻な業種の拡大が依然としてやや速まっており、さらに淘汰されるべき、相当数の立ち遅れた生産能力が市場に留まったままになり、一部の地方と企業は省エネ・環境保護の法規と基準を厳格に実施しておらず、また関連政策・措置が明らかな成果を収めるにはある程度の期間がかかること、が挙げられる。「第十一次五ヵ年計画」でこの二つの拘束性を伴う目標が打ち出されたということは、それが極めて厳粛なものであり、変更してはならず、断固達成しなければならないことを意味している。国務院は今後毎年省エネ・汚染物質排出削減の進捗状況を全国人民代表大会に報告し、さらに「第十一次五ヵ年計画」の期末に、五年間におけるこの二大指標の全般的達成状況について報告しなければならない。
第三に、大衆の利益にかかわる目立った問題の解決が不十分であること。食品・医薬品の安全や医療衛生サービス、教育にかかわる費用徴収、所得分配、社会の治安、安全生産などの諸分野には、大衆が不満を抱えている問題が残っており、土地収用や家屋立退き、企業の体制転換、環境保護などの諸方面にみられる大衆の利益を侵害する問題が依然として抜本的に解決されていない。なお、相当数の低所得者層の生活が比較的困窮している。
第四に、政府自体の建設にいくつかの問題が存在していること。政府の機能転換が遅れ、行政と企業が依然として分離されないままで、一部の部門では職責が明確にされておらず、仕事の効率があがっていない。公務による消費も規範化されておらず、贅沢三昧や浪費に走り、行政のコストが高すぎる。さらに、一部の地方や部門および少数の公務員には官僚主義や形式主義が依然として存在し、大衆から遊離し、汚職や背任行為に走り、ひいては権力を乱用したりして、汚職腐敗に手を染めている。こういった問題の根底には制度の不備やそれに対する監督・管理の不行き届きがある。
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