二〇〇六年度の中央と地方の予算執行状況及び
二〇〇七年度の中央と地方の予算案についての報告

代表のみなさん

国務院の委託を受けて、ここに二〇〇六年度の中央と地方の予算執行状況及び二〇〇七年度の中央と地方の予算案について、第十期全国人民代表大会第五回会議に報告し、審議を願うとともに、全国政治協商会議の委員のみなさんからもご意見を求めたいと思う。

一、二〇〇六年度の中央と地方の予算執行状況

二〇〇六年、党中央、国務院の確固たる指導の下で、各地区、各部門は科学的発展観をもって全局を統轄し、中央の定めた諸般の方針、政策及び第十期全国人民代表大会第四回会議で採択された関連決定、決議を真剣に貫徹した結果、「第十一次五ヵ年計画」は幸先のよいスタートを切り、経済建設と諸般の社会事業は新たに大きな成果をあげ、人民の生活はいっそう改善され、中央と地方の予算執行状況も比較的良好であった。

全国の歳入は三兆九三四三億六二〇〇万元であり(債務収入は含まず、以下同じ)、二〇〇五年度より七六九四億三三〇〇万元増え、二四・三%増となった。予算より三九二〇億二四〇〇万元増収し、その内、中央財政レベルの収入増加分は二五四二億四七〇〇万元であり、地方財政レベルの収入増加分は一三七七億七七〇〇万元である。規定に基き、輸出による租税還付金の歴史的借りの穴埋めに用いた六一三億元を差し引いた結果(帳簿上国庫金と相殺処理した)、全国の歳入は三兆八七三〇億六二〇〇万元となり、二〇〇五年度より七〇八一億三三〇〇万元増え、二二・四%伸び、予算より三三〇七億二四〇〇万元増収し、予算の一〇九・三%を達成した。全国の歳出は四兆二一三億一六〇〇万元で、二〇〇五年度より六二八二億八八〇〇万元増え、一八・五%伸び、予算の一〇四・八%を達成した。

中央と地方を分けてみてみると、中央の歳入は二兆一二三二億三一〇〇万元(輸出における租税環付金の歴史的借りの穴埋めにあてた六一三億元を差し引いた)であり、二〇〇五年度に比べ三九七一億八二〇〇万元増え、二三%増となり、予算より一九六〇億二七〇〇万元増収し、予算の一一〇・二%を達成した。その内、中央レベルの収入は二兆四四九億七七〇〇万元で、二〇〇五年度より三九〇一億二四〇〇万元増え、二三・六%増となり、予算より一九二九億四七〇〇万元増収し、予算の一一〇・四%を達成した。地方からの上納収入は七八二億五四〇〇万元であり、二〇〇五年度比七〇億五八〇〇万元増え、九・九%伸び、予算より三〇億八〇〇〇万元増収し、予算の一〇四・一%を達成した。中央の歳出は二兆三四八二億二六〇〇万元であり、二〇〇五年度より三二二二億二七〇〇万元増え、一五・九%伸び、予算の一〇五・七%を達成した。その内、中央レベルの支出は九九九一億五六〇〇万元で、二〇〇五年度より一二一五億五九〇〇万元増え、一三・九%伸び、予算の一〇四・九%を達成した。地方への租税還付や移転支出は一兆三四九〇億七〇〇〇万元で、二〇〇五年度より二〇〇六億六八〇〇万元増え、一七・五%伸び、予算の一〇六・三%を達成した。中央予算安定調節基金として五〇〇億元を新規設置した。中央財政の赤字は二七四九億九五〇〇万元で、第十期全国人民代表大会第四回会議で承認された二九五〇億元より二〇〇億五〇〇万元減となり、GDPに占めるウェートは一・三%に下った。二〇〇六年末、中央財政の国債残高は三兆五三八一億六八〇〇万元の枠内に押さえた。中央政府管轄の基金の収入は一七〇六億八七〇〇万元で、その支出は一七〇六億八七〇〇万元であった。地方の歳入は三兆一七七一億五五〇〇万元で、二〇〇五年度より五一八六億七七〇〇万元増え、一九・五%伸び、予算の一〇七・三%を達成した。その内、地方レベルの収入は一兆八二八〇億八五〇〇万元で、二〇〇五年度より三一八〇億九〇〇万元増え、二一・一%伸び、予算の一〇八・二%を達成した。地方の歳出は三兆一〇〇四億一四〇〇万元で、二〇〇五年度より五一三七億八七〇〇万元増え、一九・九%伸び、予算の一〇四・七%を達成した。その内、地方レベルの支出は三兆二二一億六〇〇〇万元で、二〇〇五年度より五〇六七億二九〇〇万元増え、二〇・一%増で、予算の一〇四・八%を達成した。中央への上納支出は七八二億五四〇〇万元で、二〇〇五年度より七〇億五八〇〇万元増え、九・九%増で、予算の一〇四・一%を達成した。地方財政は収支を差し引くと、剰余金或いは繰越明許費は七六七億四一〇〇万元である。これらの数字は、決算編成集計後にいくらか変わることもある。

二〇〇六年度中央の予算執行の主な状況は次の通りである。

(一)法による収入の徴収・管理を強化し、財政収入はわりあい速い伸びを保っている。二〇〇六年度、国民経済は成長テンポが比較的速く、パフォーマンスも比較的良好で、物価水準が比較的低いといった勢いを保っていた。それを踏まえて、各級財政、税務、税関などの部門は法に依拠して収入の徴収・管理を強め、管理の科学化を鋭意実施し、租税優遇策の全面的な整理と規範化に取り組み、減免税措置を厳格に規制し、徴収すべきものはことごとく徴収するように努めた結果、中央と地方の歳入はいずれも比較的速い伸びを保っていた。財政収入状況が良好であるのは、主として良好な経済情勢が反映され、尚かつ財政収入メカニズムが逐次充実し、財政の伸びが一定の安定性と均衡性を保っていることを示している。説明しておかなければならないのは、財政収入が比較的速いテンポで伸びた背景には、経済情勢が良く、パフォーマンスが向上したという肝心な要因のほかに、一時的、政策的もしくは変則的な要因も存在している。それは主に次のようなものである。中国銀行、中国建設銀行などの国有商業銀行は株式制改革により利潤が増え、所得税収入も大幅に増えた。石油特別収益金の徴収を始めた。探鉱権と採鉱権代価による収入を集中して国庫に納付した。固定資産投資と工業生産がかなり伸び、さらに資源関連製品価格の上昇などの影響を受け、関連業種の税収は変則的に増加した。これらの要因を取り除くと、財政増収は経済成長状況にほぼ適応している。

党中央、国務院の統一の配置、計画にしたがい、中央財政の収入超過分二五七三億元(輸出による租税還付金における歴史的借りは差し引いていない)を、『予算法』、『中央予算の審査・監督強化に関する全国人民代表大会常務委員会の決定』及び第十期全国人民代表大会第四回会議で採択された関連決議の要請に基づき関連法律、法規及び財政体制の規定に則って、地方への租税還付、移転支出を二三一億元、教育支出一六億元の追加に投入したほか、財政経済の持続可能な発展の強化を目的として、主に経済・社会発展の脆弱な分野の補強や歴史的借りの穴埋め、財政赤字の削減に振り向けた。その具体的な配分は次の通りである。社会保障支出を二四一億元増やした。石油特別収益金特別科目支出を三七二億元追加し、農業、林業、漁業などの業種に対する石油価格の高騰によって増えた支出への補助、さらにエネルギー開発、省エネ、環境保全など重要プロジェクト支出に振り向けた。予算内の経常投資を一〇〇億元増やし、主として社会主義新農村建設の助成に振り向けた。自動車道路の建設、備蓄用石油の購入及び大中型ダム建設による移転住民への後期扶助金として、特別科目支出を一三五億元増やした。「三つの奨励・一つの補助」やチベットの農民、牧畜民への補助金、密輸取締経費への補助及び通関特別移転支出を三五億元増やした。輸出による租税還付指標を六一三億元増加し、輸出による租税還付の歴史的借りの穴埋めに振り向けた。中央の財政赤字を二〇〇億元削減した。二〇〇七年度給与調整及び関連支出に一三〇億元を充てた。予算をさらに科学的かつ合理的に編成し、中央予算の安定性と財政政策の継続性を維持するために、五〇〇億元を計上し、中央予算安定調節資金を新規設置した。中央予算安定調節資金の使途については予算管理下に置かれ、全国人民代表大会とその常務委員会の監督を受ける。二〇〇六年度予期されていた中央財政収入の予算超過分の使途については、国務院がすでに全国人民代表大会常務委員会に報告している。

(二)多様な財政租税関連措置を総合的に運用し、経済の安定した比較的速い成長を促進している。二〇〇六年度、経済情勢の発展、変化に即応して、穏健財政を実施する過程で、よりいっそう政策的手段を調整し、充実させ、促進と抑制を使い分け、財政によるコントロールの有効性と対応性の増強をはかった。一つは、関連租税政策を積極的に調整し、充実させた。二〇〇六年四月一日より消費税の税目と税率に対して増減の調整を行ったが、それは一九九四年以来最大規模となった。個人所得税の給与所得課税基準と従業員一人当たりの賃金の源泉所得税課税基準を月八〇〇元から一六〇〇元に引き上げた。資源税政策を調整した。一部製品の輸出による租税還付率を調整し、高エネルギー消費・高汚染型製品について、それらの輸出による租税還付撤廃、還付率引き下げの範囲を拡大し、さらに加工貿易禁止類商品目録を補充し、一部の「高エネルギー消費・高汚染型」製品に対して輸出税を多く徴収する一方、一部の資源関連に対して輸入税を引き下げた。東北地区において付加価値税を消費型へ転換させる改革テストなど税制の改革も穏当に推し進めた。租税政策の調整、充実化は、資源節約と環境保全を促進し、消費を合理的に誘導し、収入配分を間接的に調節する上で積極的な役割を果たした。二つは、中央政府の投資規模をタイムリーに調整し、その使途構造を最適化させた。二〇〇六年度中央政府の投資総額は一二五四億元(予算超過分の一〇〇億元を含む)であり、これを重点的に社会主義新農村の建設や、社会事業、環境生態系、西部大開発など諸方面のプロジェクト、発展の大局に関わり、適切に着工すべき重要プロジェクトに振り向けた。それと同時に、マクロ経済の運営状況に応じて予算の資金投下の進度を合理的に把握し、投資に対して管理を厳格にし、監督を強化し、その運用効果をアップさせた。三つは、住宅用地の収支管理に関わる財政租税政策を調整し、規範化させた。二〇〇五年から実施された、個人住宅の転売により発生する営業税の課税期限を二年間から五年間に延長することとした。住宅積立金管理制度を充実させ、都市部低価格賃貸住宅建設資金源をよりいっそう明確にし、保障した。新規増加した建設用地の有償使用料の徴収基準と使用管理政策をそれぞれ実状に応じて調整し、国有土地使用権譲渡における収支管理の関連政策を制定、規範化したことによって、不動産市場にみられる投機行為を初歩的に抑制し、最も厳格な耕地保護制度をよりいっそう貫徹、実行し、土地の節約と集約化を促した。四つは、省エネと新エネルギーの開発にプラスとなる財政租税政策を検討し、実施した。石油価格高騰という新しい情勢に応じて、石油代替エネルギー開発を促す措置を鋭意検討し、バイオマス開発などへの助成政策を制定した結果、石油代替エネルギーの開発に関わる財政租税政策システムが初歩的に形成された。それとともに、石油価格形成メカニズムの改革を鋭意推進し、石油特別収益金の徴収をスタートさせた。これらの措置をその他の規制措置と組み合わせることによって、経済のマクロ規制の所期目標に向けた発展を大いに促した。

(三)財政の農業助成の度合いを大きくすることによって、社会主義新農村の建設は幸先のよいスタートを切った。二〇〇六年度、財政による「三農」への支援の特徴は大きな投入、堅実な政策、多様な措置及び新メカニズムで、公共財政による恩沢が徐々に農村で享受されるようになってきている。二〇〇六年度中央財政は「三農」への諸科目の支出を三三九七億元(石油特別収益金を用いて穀物作付農家に振り向けた総合的直接補助金一二〇億元は含まない)計上し、前年度比四二二億元増え、一四・二%伸びた。一つに、農業税を全面的に撤廃した。同時に、農業特産物税は廃止され、『葉タバコ税暫定条例』が制定、実施されたことは、国と農民との従来の配分関係に根本的な変革が生じたことを示すもので、これは農民の負担の軽減や収入増加及び安定した生活生産に役立つばかりでなく、農業の長期的発展にもプラスとなった。中央と地方財政は移転支出として七八二億元と二五〇億元をそれぞれ計上した。農民の負担は改革前の一九九九年度と比べて約一二五〇億元軽減され、一人当たり一四〇元減となり、農場で働く労働者の負担も一段と軽減された。農村の租税・費用改革は農村総合改革の新たな階段に入っている。 二つに、補助政策の実施に大いに力を入れた。中央財政は一二〇億元の補助金を新規増加して、農業生産財の価格上昇によって生じた穀物作付農家の支出増加に対し適時総合的な直接補助を与え、七億二八〇〇万人の穀物作付農民が直接恩恵を得た。また石油価格の調整により、漁業などの業種に補助金として八五億九〇〇〇万元を振り向けた。全国食糧生産の直接助成金は一四二億元に上り、前年度に比べ一〇億元増えた。その内、一三の食糧主産省(自治区)は一二六億八〇〇〇万元に上り、いずれも同省(自治区)食糧リスク基金の五〇%以上を占めた。中央財政から優良品種作付へ振り向けた補助金は四一億五〇〇〇万元、農機具購入の補助金は六億元である。その内、農機具購入補助金は前年度より倍増した。食糧最低買付価格に関わる政策を充実化するため、適時に五九億元の補助金を拠出した。「多目的キャッシュカード(預金通帳)」の開設を普及させ、補助金を直接農民のキャッシュカードあるいは通帳口座に振り込み、中国農民補助ネットワークの整備をスタートさせ、補助金の管理を強化した。わが国の国情に合わせて、総合補助金と特別補助金を相互に結び付け、かなり規範化された農業助成金管理政策システムを初歩的に構築し、食糧生産の安全性を保障し、促進した。三つに、農村義務教育経費保障メカニズムの改革は首尾よく実施された。二〇〇六年度春季学期より西部地区で率先して改革を行い、農村義務教育段階にある児童・生徒の学費・雑費を全額免除するとともに、家計困窮の児童・生徒に教科書を無料で提供し、寄宿生活補助を与えた。中央財政は西部地区の農村義務教育段階にある小中学校に公用経費補助金を支給し、全国で農村義務教育段階にある小中学校の校舎の修繕・改築をめざす長期的かつ効果的メカニズムを発動した。中部地区では省ごとに一つの県を選定して秋季学期よりテスト作業を行い、東部地区のほとんどの省も進んで改革を実施した。中央と地方財政はそれぞれ一五〇億元と二一一億元を計上し、一部の特別科目資金に対し国庫集中支払を行い、資金を直接学校に届けたことにより、小学生一人当たり一四〇元、中学生一人当たり一八〇元の負担が学期ごとにそれぞれ軽減された。この改革は、農村義務教育が徐々に公共財政の保障枠に組み込まれ、農村の公共製品の供給方式に深刻な変革が生じつつあることを示している。これを踏まえて、「農村義務教育段階の学校教師職務特設計画」の実施を大いにバックアップし、さらに全国十省で「新農村の衛生的新学園建設プロジェクト」のテストを行い、農村義務教育の発展に新たな活力を注ぎ込んだ。四つに、新しいタイプの農村合作医療制度改革のテスト範囲を拡大した。統計によれば、全国の五〇・七%の県(市、地区)で改革テストを行い、合作医療に加入した農民は四億一〇〇〇万人に上り、中央財政はその補助基準を一〇元から二〇元に引き上げ、省クラスの財政もそれに応じて補助基準を引き上げた。中央財政は補助金として四二億七〇〇〇万元を拠出し、制度やメカニズムの面から農民大衆の「病気による貧困化、病気による再貧困化」の状況を緩和させた。五つに、農業生産と農村の長期的発展を大いにサポートした。農村「六小プロジェクト」などの建設を重点的に助成し、農村の生産・生活条件の改善に力を入れた。農業の総合的開発をつっ込んで推し進め、中・低収穫高の農地を改造し、産業化経営を扶助することなどにより、生産能力はさらに二九一万トン増加される見込みである。中央財政は農民の生産発展の意欲をよりいっそう引き出すために二〇〇六年度より四年間をかけて、農業総合開発による債務を四四億八六〇〇万元査定、解消することを検討、確定した。中央財政は貧困脱却扶助金として一三七億元を計上して、貧困郷・村のインフラ整備、農村の貧困労働力の移転・トレーニングと農業産業化の発展を重点的に援助した。農業技術の普及、農村専業合作経済組織の発展、農村労働力の移転・トレーニング、新しいタイプの農民科学技術研修プロジェクト及び「科学普及による農民受益農村振興プラン」の起動、「科学技術による県民富強特別行動プラン」の推進を強力にバックアップした。六つに、多元化した農業支援投入メカニズムの構築を鋭意サポートした。全国一六二県で農業支援資金統合のテスト作業を繰り広げ、財政の農業助成金のスケールメリットの向上をはかった。「民営・公的援助」等のメカニズムの確立を積極的に模索し、農民の投資の意欲を引き出した。農村金融システムの整備を大いにサポートした。二〇〇六年度、中央財政はテスト地区の農村信用協同組合にインフレプルーフ定期預金(物価スライド制預金)の利息補填金二九億三一〇〇万元を振り向けるとともに、テスト地区における所得税減免政策の実施を三年間延長した。これは農村信用協同組合がこれまでの債務を逐次解消し、発展の底力を増強し、社会主義新農村建設の新鋭軍の役割をよりよく発揮させることに寄与した。これらの措置は農業生産、農民の収入増及び農村の発展を促し、都市と農村のバランスのとれた発展を促した。

(四)重点支出が保障され、社会諸事業は発展を速めている。公共財政の公共性や公益性の本質的特徴を確実に具現させ、財政支出の重点を社会諸事業に傾斜させ、社会発展の脆弱な部分の補強を際立たせ、経済・社会のバランスのとれた発展を促した。一つに、就業・再就業支援事業と社会保障システムの整備を積極的にサポートした。二〇〇六年度、全国財政の就業支援と社会保障支出は四三三七億六五〇〇万元であり、一七・三%伸び、予算の一〇九・一%を達成した。その内、中央財政の社会保障支出は二〇一〇億二〇〇万元であり、二二・九%伸びた。東北三省のテスト作業を踏まえて、八つの省で企業の職員・労働者基本養老保険の個人口座の積立を確実に行うテスト作業を繰り広げた。都市の最低生活保障制度と就業・再就業支援政策を合理的にリンケージすることを推し進めた。中西部地区における農村医療救済制度の整備、財政難の地方における都市の医療救済のテスト作業及び農村の「五つの保障を受ける世帯」(農村において労働力を喪失し、身寄りのない者に衣、食、住、医療と葬儀などを与える五つの保障)の扶助を大いに支援した。積極的な就業支援政策を真剣に実施し、その実施方法を充実させ、経営難の国有企業が懸案となっている問題を適切に処理するよう援助した。企業における退役・除隊軍人幹部と軍隊の退役人員の配置問題の検討、解決に積極的に協力した。とりわけ、かなり深刻な自然災害の発生に際し、中央財政は各種の災害対策・救済資金一一二億元を拠出し、適時交付し、地方財政も積極的に資金を捻出、交付し、災害対策と救援活動を効果的にバックアップした。二つに、教育事業の発展をサポートした。二〇〇六年度、全国財政は教育支出として四七五二億七〇〇〇万元を計上し、一九・六%増となり、予算の一〇三・八%を達成した。その内、中央財政の教育支出は五三六億元であり、三九・四%増であった。農村の義務教育を重点的に支援するとともに、国家高等職業モデル学院・校建設計画の実施をスタートさせ、職業学院・校の実践訓練基地づくりを支援した。引き続き「九八五プロジェクト」などの実施をサポートし、高等教育の質的向上に取り組んだ。学資ローン、学業助成金、奨学金などを主要な援助方法とする国の大学・中等職業教育家計困窮の学生援助政策システムを完備化し、困窮家庭の学生がスムーズに学業を成就するよう取りはからった。三つに、医療衛生事業の発展をサポートした。二〇〇六年度全国財政は医療衛生支出として一三一一億五八〇〇万元を計上し、二六・五%伸び、予算の一一〇・七%を達成した。その内、中央財政の支出は一三八億元であり、六五・四%伸びた。公共衛生特別資金の投入に重点的に力を入れ、エイズ、結核病、住血吸虫病など重大な伝染病と地方病の予防対策、家計の困窮している妊産婦の入院分娩、末端医療衛生機構の設備配置や人員のトレーニング、一万人の医師による農村医療衛生支援プロジェクトなどをサポートした。四つに、科学技術の創造革新を支持した。二〇〇六年度、科学技術への財政投入安定増加メカニズムを確立するため、全国財政は科学技術支出を一二六〇億三八〇〇万元計上し、二六・二%伸び、予算の一一〇・二を%達成した。その内、中央財政の支出は七七四億元であり、二九・二%増であった。資金投入構造を一段と最適化させ、基礎研究、応用研究への投入を増やし、公益性のある科学研究機構のサポートに力を入れた。インセンティブ予算制度を実施し、租税優遇、政府統一調達など財政租税政策と関連措置を定め、企業の自主的創造革新を支持した。五つに、文化事業と産業の発展をサポートした。二〇〇六年度、全国財政は文化・スポーツ・ラジオ事業費の支出を八三四億五三〇〇万元計上し、一八・六%増となり、予算の一〇八・五%を達成した。その内、中央財政の支出は一二三億元であり、二三・九%伸びた。それを主として文化体制改革の鋭意推進、公共文化サービスシステムのいっそうの改善に振り向け、村々にまで通じるラジオ・テレビプロジェクト、農村の映画デジタル化、全国文化情報リソース共有化、農村の一部の計画出産家庭奨励扶助制度、西部地区の「子供を少なく生んで早く豊かになる」計画出産プロジェクトに重点的に取り組んだ。六つに、生態系整備と環境保全をバックアップした。天然林保護プロジェクト関連政策を完備させ、耕地の林地への復元に関する後続政策の調整等を鋭意推進し、森林生態の効益補償基金制度を完備化し、国有林場管理体制と国有林の所有権制度の改革テストをサポートした。年間の耕地の森林への復元面積は二六万六七〇〇ヘクタール、牧場の草地への復元面積は一〇〇〇万ヘクタールであった。石炭資源の有償使用制度の改革を大いに推し進め、二〇〇六年から改革テストがすでに八つの省で全面的に繰り広げられている。これらの措置はわが国の社会諸事業がテンポの速い発展をとげる新たな時期にさしかかっていることをはっきり示すものである。

(五)県・郷の財政難の緩和に力を入れ、基本的公共サービスの均等化を促進した。地域間のバランスの取れた発展につながる諸般の財政租税優遇政策を真剣に実施し、とりわけ移転支出の度合いを引き続き大きくし、末端の財政難の緩和をはかった。第一に、「三つの奨励・一つの補助」政策の実施によりいっそう力を入れた。二〇〇六年度、奨励・補助金の規模は二三五億元に達し、二〇〇五年度より八五億元増やし、さらに奨励・補助メカニズムを完備した。県・郷の財政難を緩和させた成果をうち固め、拡大したことにより、全国範囲で財政難を抱えている県総数が二〇〇五年初頭の七九一県から現時点の二〇〇県前後に大幅に減少し、しかもこの勢いは継続的に望ましい方向へ進展している。省クラス以下の財政管理方式の革新を推し進め、全国の二八の省では県による郷クラス財政管理の改革、一八の省では省による県クラス財政の直接管理の改革を実行したため、県・郷の財政難を緩和させる体制的、メカニズム的な保障が与えられた。食糧主産県の穀物作付意欲をいっそう引き出し、食糧生産の安全性を守った。県・郷政府の行政能力を高め、社会の安定を保った。第二に、一般的移転支出の安定した伸びに資する長期的で効果的なメカニズムを完備した。二〇〇六年度、中央財政が地方に、とりわけ中西部地区に充てた一般的移転支出資金は一五二七億元に上り、二〇〇五年度より四〇七億元増やした。第三に、民族地区への移転支出の方法を備えた。二〇〇六年度民族地区への移転支出は一五五億六三〇〇万元に上り、さらに非民族自治区や自治州内の民族自治県も民族地区への移転支出枠に組み入れた。また、旧革命根拠地や辺境地区、チベット自治区など貧困地区への移転支出の方法を完備させた。第四に、末端政権の整備をサポートし、強化した。二〇〇六年度中央財政は公安・検察・司法特別補助金として五九億三〇〇〇万元を拠出し、地方における末端の公安・検察・司法機関の事件処理や法律執行を取り巻く環境のさらなる整備を支援した。刑務所体制の改革経費を九億二五〇〇万元計上し、この分野の改革を推し進めた。とりわけ社会主義新農村建設の要請に応じ、二〇〇六年から二年間をかけて全国九万八〇八六箇所の村民委員会が活動場所を有していない問題の解決を助成するために、中央財政は二〇〇六年の間にすでに四億九〇〇〇万元を投入している。そのほか、大中型ダム建設による住民転出支援の後期政策の統合が初めて実現し、ダム地区と転出住民の転入地区の経済発展を大いにサポートした。これらの施策を通じて地方、とりわけ末端政府による基本的公共サービス能力が高められた。

(六)諸般改革を強力に支援することにより、社会主義市場経済体制は絶えず充実してきている。予算管理制度の改革及び一部の重点分野と肝要な部分の改革の支援は新たに重要な進展を見せている。一つは、公務員給与制度の改革、公務員所得分配秩序の規範化作業が捗っている。公務員や軍人、外国駐在大使館・領事館の職員、大陸部から派遣された香港・マカオ駐在員の給与制度を改革し、政府機関・公営事業体の引退・定年退職者、企業の引退者及び海外援助要員などの給与・待遇に適宜調整を加え、基準を引き上げた。また、企業の定年退職者や、優遇扶助適用者、都市における最低生活保障適用者などの待遇水準と生活補助基準を引き上げ、高級職に就いていた企業の定年退職者や、大分前に定年退職し、基本養老年金受給額が比較的低い者に傾斜した。今回は引上げ幅の面でも、中央財政の補助額の面でも過去最大規模となった。同時に、公務員の手当・補助を全面的に整理整頓するとともに、監督・制約メカニズムを確立し、それを逐次充実させた。二つは、企業の改革と発展の支援に大いに取り組んだ。中央財政は補助金として二五〇億元を計上し、九三社の国有企業の政策的倒産を支援し、その従業員四一万人を適切に再配置した。経費補助金のベース額四八億一〇〇〇万元を査定し、第二陣の中央所轄企業七四社の社会事業運営機能の分離作業を初歩的に完遂した。東北地区の国有企業が運営している集団所有制企業の改革テストも幸先のよいスタートを切った。それと同時に、一連の財政租税政策の策定、実施により、中小企業の発展を助成し、対外貿易の改革と「海外展開」戦略の実施を促した。三つは、金融体制の改革を積極的に推し進めた。金融分野における国有資産の総価値と分布状況を明確に把握するとともに、国有株の利益上納政策や国有株保有削減政策、所得税政策を制定し、中国銀行、中国工商銀行の順調な体制転換と上場をサポートした。四つは、政府収支の類別化を穏健に推進した。これは建国以来、わが国財政収支類別化統計体系についての最も重大な調整であり、わが国の政府予算管理制度のまた一つの深遠な革新でもある。新しい政府収支類別体系は、国際的な慣行と国内の実情を有機的に結び付けることを具現化し、政府収支の全容と機能の運営状況をより明瞭かつ完全に反映させることにも寄与し、政府予算の透明度をいっそう高め、予算の管理と監督を強化し、根本から腐敗を取り締り、社会主義の民主政治づくりなどの面においても、いずれも非常に重要な意義をもっている。五つは、その他の予算管理制度の改革も絶えず深められている。剰余金の管理が強化され、資金運用の効率・効果評価に関するテスト作業が着実に進められ、定員・経費定額のテストケースも不断に整えられ、プロジェクト予算では継続管理を実現した。国庫集中支払制度改革の範囲は中央部門全体及びその所轄の六一〇〇余りの末端予算部門に拡大され、改革に関連する予算資金は四六〇〇億元余りに上る。三六の省、自治区、直轄市、政令指定都市、二七〇余りの地区(市)と一〇〇〇余りの県(区)に及ぶ一六万以上の末端予算部門もこの改革を実施した。租税外収入の徴収・上納管理制度の改革は速やかに進展し、改革の範囲も絶えず広がっている。全国範囲で政府統一調達の規模は三五〇〇億元に上り、これは省エネや環境保全などをかなり後押しし、方向付けの役割を果たしている。政府統一調達分野における贈収賄特別対策は段階的な成果を収めた。中央国庫の現金管理は着実に進められ、国債残高管理も順調に実施され、「金財プロジェクト」(全国財政情報化管理システム)整備のテンポは速められている。これらの措置により、従来の予算管理制度から現代予算管理制度への転換が力強く推し進められ、社会主義市場経済体制の絶え間ない充実化を促した。

(七)法による財政運営を厳格に行ない、財政管理をいっそう規範化させた。法に則り国を治めるという基本方針の徹底化を着実に進め、法による財政運営を財政活動の全過程に貫徹させている。第一に、財政に関わる法律・制度の体系は絶えず完備されている。『企業所得税法(草案)』は今期大会で審議されるが、『葉タバコ税に関する暫定条例』、『車両船舶税に関する暫定条例』、『都市部土地使用税に関する暫定条例』はすでに国務院により公布もしくは改正、公布された。『行政機関の国有資産管理に関する暫定規定』と『公営事業体の国有資産管理に関する暫定規定』は正式に公布され、行政機関・公営事業体の国有資産管理は法制化、規範化の軌道に乗り始めている。また、科学的で規範化した宝くじ公益金配分制度が確立された。財政上の行政審査・許認可制度の改革は絶えず深化され、中央財政の行政許認可事項にかかわる諸般の制度や申請手続きはいずれもインターネットで公示されている。第二に、会計などの基盤整備は引き続き強化されている。経済の発展プロセスに適応させ、国際基準に見合った会計と監査の二大基準体系を構築した。それと同時に、会計のリーダー養成プログラムを実施し、それに関連する継続教育制度の充実化もはかった。わが国の政府会計改革戦略枠組の全般的構想を検討、提出した。公認会計士と資産評価業界に対する監督・管理が強化され、その業務分野はさらに広がりつつある。第三に、財政監督は顕著な効果をあげている。リアルタイム監視や総合的な検査・確認、整頓・改善状況のフィードバック、運用効果の追跡調査を柱とする財政監督メカニズムが初歩的に確立され、人民大衆の身近な利益にかかわる重要支出の運用状況を重点的に監督した結果、不正資金が合わせて九一一億元摘発され、一五〇億元の損失資金を回収した。第四に、整頓・改善活動は絶えず強化されている。国務院は、全国人民代表大会の関連決議と会計検査報告で提出された意見と問題を高度に重視し、自覚をもって会計検査による監督を受け入れ、会計検査の決定を真剣に貫徹し、存在している問題を断固是正するよう要求した。目下、各部門と関連機関は整頓・改善を真剣に進めている。会計検査で見つかった中央予算の執行過程における問題については、そのほとんどが整頓・改善され、関連人員の責任も追及された。整頓・改善にかかわる状況は国務院により全国人民代表大会常務委員会に報告された。

しかしながら、二〇〇六年度中央予算の執行と財政・経済運営の過程には早急に解決すべきいくつかの問題も存在している。一つは、経済の構造的矛盾がかなり際立っており、「三農」や教育、医療衛生など経済・社会発展の脆弱な部分への支援をいっそう強化する必要がある。二つは、国の経済と民生に関わる投入の増大に引き続き力を入れるべきである。例えば、雇用情勢は依然として厳しいものであり、農村の最低生活保障制度は今尚完全に確立されておらず、一部の地域では「就学難や学費高騰」及び「診療難や医療費高騰」の問題が存在している、などがそれである。三つは、経済発展のための代価がかなり大きく、自主的イノベーション能力の向上や経済成長パターンの転換につながる扶助政策・措置が引き続き強化されるべきである。四つは、一部地方の末端機構が財政難に陥っており、末端における公共サービスの財政保障力を引き続き高めるべきである。五つは、財政資金の損失や無駄遣いなどの現象がよく見られ、この先財政収支管理の規範化や科学化、現代化の水準を向上させることが望まれる。われわれは緊迫感、使命感を強め、改革の深化や、支出構造の最適化、関連制度の充実化、財政・経済分野での綱紀粛正、監督・検査の強化に力を入れ、絶えず財政管理とサービスの水準を高めてゆかなければならない。

二、二〇〇七年度中央及び地方予算案

中央の二〇〇七年度活動の全局的な布石に基づき、当面直面する新しい情勢を分析した結果、二〇〇七年度予算の編成と財政活動に関する全般的な構想を次のようにまとめた。ケ小平理論と「三つの代表」の重要思想を指針とし、中国共産党第十六回全国代表大会、第十六期三、四、五、六中全会及び中央経済活動会議の精神を真剣に貫徹し、科学的発展観を全面的に具現させ、社会主義調和社会の構築に拍車をかけるとともに、規制を強化し、措置を充実させ、穏健財政を維持し、経済の良好でテンポの速い成長を促すよう努める。人間本位を旨とし、重点を際立たせ、財政支出の構成を調整、最適化させ、社会発展の促進と民生問題の解決に力を入れる。制度の整備に大いに取り組み、省クラス以下の財政管理体制を規範化させ、地域間の基本的公共サービスの均等化を促進する。模索や創造・革新に果敢に挑み、諸改革を積極的に深化させ、財政租税体制・メカニズムの充実に力を入れ、全国民に改革と発展の成果及び公共財政による利益をよりよく享受させる。

上記の全般的な構想に基づき、二〇〇七年度予算の主要指標の設定を下記のように提示する。中央の歳入は二兆四四二一億八〇〇万元で、二〇〇六年度より三一八八億七七〇〇万元増やし、一五%増とする。その内、中央レベルの収入は二兆三五九〇億三〇〇〇万元で、二〇〇六年度より三一四〇億五三〇〇万元増やし、一五・四%増とする。この伸び幅は税務、税関部門の税収計画の四二〇億元を上回り、執行過程において予算額を達成できない場合、中央予算安定調節基金からまかなう。地方からの上納収入は八三〇億七八〇〇万元で、二〇〇六年度より四八億二四〇〇万元増やし、六・二%増とする。中央予算安定調節基金として調達する収入は四二〇億元である。中央の歳出は二兆六八七一億八〇〇万元で、二〇〇六年度より三三八八億八二〇〇万元増やし、一四・四%増とする。その内、中央レベルの支出は一兆一〇六二億元で、二〇〇六年度より一〇七〇億四四〇〇万元増やし、一〇・七%増とする。地方への租税還付金と移転支出は一兆五八〇九億八〇〇万元で、二〇〇六年度より二三一八億三八〇〇万元増やし、一七・二%増とする。収支を差し引くと、赤字額は二四五〇億元となる。中央財政の国債残高限度額は三兆七八六五億五三〇〇万元であり、二〇〇六年度に比べ二四八三億八五〇〇万元増とする。中央と地方の財政収支計画を集計して見ると、二〇〇七年度全国の歳入は四兆四〇六四億八五〇〇万元で、二〇〇六年度より五三三四億二三〇〇万元増え、一三・八%増となる。全国の歳出は四兆六五一四億八五〇〇万元で、二〇〇六年度より六三〇一億六九〇〇万元増やし、一五・七%増となる。財政収入の伸びを経済成長率より高く設定したのは、わが国の経済と社会の比較的速い成長トレンドとここ数年の歳入増の実状を考慮する一方で、収入減をもたらす諸要因を十分に考え合わせた結果であり、積極的かつ堅実なものである。

説明しておかなければならないのは、大会に審議を求める二〇〇七年度の予算案及び指標は新しい政府収支類別科目に基づいて編成されたものであるということである。審議の便宜を図るため、われわれは別途に新科目に基づいて二〇〇七年度予算案の内訳表の二〇〇六年度予算の執行額に対し適切な調整を加えた。

二○○七年度中央財政の重点支出の構成と主な財政租税政策を下記のように提示する。

(一)引き続き中央財政の赤字を適度に減少し、政府投資の使途と構成を調節し、最適化させる。マクロ規制は経済の安定した比較的速い発展を保つ上での客観的要請である。中央経済活動会議の精神と経済発展の新しい情勢に応じて、二○○七年度中央財政の赤字を初歩的に二四五○億元計上し、二○○六年予算額より五〇〇億元減とし、GDPに占めるウェートは引き続き一・一%に下がる見込みである。中央政府による投資総額を一三○四億元と計上し、二○○六年度の一一五四億元より一五○億元増とする。その内、国債依存プロジェクト資金の規模を五○○億元に調整し、二○○六年度より一○○億元縮小する。予算内の基本建設投資規模を八○四億元に調整し、二○○六年度より二五○億元増となる。国債依存プロジェクト資金及び中央予算内投資の使途と構成を一段と調整、最適化し、経済・社会発展の脆弱な部分に傾斜させ、農村の公共サービスの改善に重点を置く。

(二)農業支援・農民の受益をめざした諸財政租税政策を強化し、社会主義新農村の建設を急ぐ。社会主義新農村の建設は社会主義調和社会を構築するための重要内容であり、都市・農村のバランスのとれた発展と経済発展を促進する重大措置でもある。「多めに与え、少なめに取り立て、農村市場の活性化をはかる」という方針を着実に貫徹し、「三農」問題解決の助成を予算編成と財政活動の最重要課題として位置付けることを堅持する。二〇〇七年度中央財政の「三農」へ振り向ける諸科目の支出の合計を三九一七億元とし、二〇〇六年度より五二○億元増やし、一五・三%増とする。一、資金投下の増加政策を厳格に執行する。政府投資の新規増加分は主として社会主義新農村の建設に振り向け、農村の生産、生活条件の改善に直結する投資が二〇〇六年よりいくらか増加するよう確保する。新規増加させる教育、医療衛生、文化支出を主に農村へ振り向ける政策を引き続き実施し、車両購入税による支出を農村に振り向ける割合を引き上げる。土地譲渡による収入で土地収用や家屋立退き補償金を全額支給することを確保したうえで、その重点を社会主義新農村の建設に傾斜させ、農業の土地開発と農村のインフラ施設整備に振り向ける割合を逐次引き上げる。二、農業助成金の増加の度合を大きくする。中央財政は優良品種作付補助金と農機具購入補助金としてそれぞれ五五億七○○○万元、一二億元を計上し、二○○六年度よりそれぞれ一四億二○○○万元増、六億元増としたうえで、補助関係政策と方式を科学的に改善する。穀物作付直接補助、農業生産財総合的直接補助の方法をさらに完備させ、食糧総合補助制度の確立を模索する。食糧の最低買付価格政策を実施し、健全化させ、農民の穀物作付の収益を安定させる。三、全国範囲での農村最低生活保障制度の整備をバックアップする。中央財政は農村最低生活保障補助支出として三○億元を計上し、すでにこの制度を打ち立てた地区ではその充実化を励まし、まだこの制度を打ち立てていない地区ではこの制度づくりを積極的に探求することをサポートする。各地区は地元の経済発展水準と財力の可能性に応じて最低保障の適用範囲、基準を定め、中央財政は財政難を抱えている地区に適切に補助を与える。四、現代農業の建設を促す。生産の発展をより際立った位置に据える。中央財政は農業技術普及経費として五億元を計上する。テスト補助金として九億元を計上し、土壌の測定を行って化学肥料を調合し、施肥することをサポートする。補助資金として三億元を計上し、農業の産業化と農産物加工業の発展を促進する。農業総合開発支出を一一五億元計上するとともに、地方財政と社会資金の投下を誘導し、農業総合生産能力と農業総合効益の向上に力を入れる。補助資金として一○億元を計上し、「民営・公的扶助」メカニズムの完備化にあて、小型農地水利施設の建設をバックアップする。牧畜業の健全な発展を助成し、農業構造の調整を推し進める。経費一一億元を計上し、農村の労働力移転・職業訓練、新しいタイプの農民科学技術技能訓練の援助にあて、農業経営者の資質を向上させる。五、農村総合改革テストの範囲を拡大する。条件の整った地方は省全域で農村総合改革テストを展開することを奨励し、暫時条件が整っていない地方でも市、県範囲の改革テストを拡大すべきである。農村の債務を真剣に整理、解消し、郷・村の債務解消のテスト範囲を拡大し、インセンティブ・メカニズムと制約メカニズムを打ち立て、農村義務教育など公益事業を立ち上げる際に生まれた債務を優先的に解消する。国有農場向けの租税・費用改革政策を全面的に実施に移す。六、財政による貧困脱却扶助開発メカニズムを刷新する。貧困脱却扶助資金として一四四億元を計上し、前年度より七億元増とする。貧困村の村レベル発展・互助資金テストの経験を総括し、充実化させ、業績志向の貧困扶助資金分配インセンティブ・メカニズム、貧困県動的認定メカニズムを積極的に模索、形成し、貧困扶助開発の成果を向上させる。七、農村文化事業の発展をサポートする。中央財政は文化・スポーツとマスコミへの支出として一七三億元を計上し、二○○六年より四七億一三○○万元増やし、三七・四%増とする。資金二五億元を計上し、ラジオやテレビを各村に普及させるプロジェクトの加速化にあて、中央ラジオ・テレビ番組の無線伝送カバー率を着実に引き上げ、農民大衆が「ラジオやテレビを視聴できない」問題の解決を援助する。農村の末端を重点に、全国の文化情報リソース共有化プロジェクトと農村の映画デジタル化を鋭意推し進める。八、農村金融体制改革の深化を促進する。中央財政はテスト地区における農村信用協同組合のインフレプルーフ定期預金の利息補填金一九億五六○○万元を計上し、農村信用協同組合の改革の深化をサポートする。農業保険費補助金一○億元を計上し、農業保険基盤がかなり整っている一部の農業主産省を選び、政策的農業保険テストの展開をサポートする。それと同時に、農業助成金の統合の度合いを大きくし、政府資金の牽引機能を重点的に発揮させ、農民と社会資金が農村建設に投入されるよう誘導し、社会主義新農村の建設につながる多元化した安定的投入増加メカニズムの構築を急ぐ。

(三)メカニズムと政策の創造革新に大いに力を入れ、「就学難、学費の高騰」という問題の解決へのサポートに力を入れる。教育は人生行路に影響を及ぼし、幾千幾万世帯に関わり、子々孫々にその恵みがもたらされ、国の未来に繋がっている。二○○七年度、中央財政は教育支出として八五八億五四○○万元を計上し、二○○六年度より二五二億四九○○万元増やし、四一・七%増とする。一、全国範囲で農村義務教育経費保障メカニズムの改革を推し進める。西部地区の改革の成果が定着した状況をふまえ、二○○七年度は中部と東部地区でもこの改革を全面的に推し進め、全国の一億五〇○○万人の農村義務教育段階にある児童・生徒全員に、学費・雑費を免除する政策を実行するとともに、農村義務教育段階の小中学校の公用経費の保障水準を引き上げ、同時に家計困窮の児童・生徒に教科書を無料で提供し、寄宿生活補助費を与える。それに応じて、中央財政は資金二七九億八○○○万元を計上する。「農村義務教育段階の学校教師職務特設計画」、「新農村の衛生的新学園建設プロジェクト」のテストの展開を引き続きサポートし、都市部義務教育経費保障メカニズムの実施案をつっこんで検討し、策定する。二、家計困窮学生への学資援助政策メカニズムを全面的に確立し、完備させる。二○○七年度、中央財政は資金九五億一○○○万元を計上し、援助政策による受益範囲の拡大と援助基準の引き上げに用いる。「第十一次五ヵ年計画」期において家計困窮学生向けの系統的、科学的、公平的、効果的な学資援助政策メカニズムを打ち立て、制度の面から、家計困窮児童・生徒が「学費を支払えないため学校に通えない」という問題を基本的に解決し、教育の公平を促進する。それと同時に、政策による方向付けを際立たせ、学資援助の重点を中・西部地区、農村地区、職業教育や国が最も必要としている学科に傾斜させて、教育構造の調整と最適化を促し、社会の必要とする多元的な適格労働者を育成し、就業を誘導、促進し、「狭き門に誰も彼もが殺到する」傾向を回避する。上記の政策を全面的に実施し、メカニズムを完備させることは、わが国がすでに義務教育という基礎段階と家計困窮学生という貧困層から着手し、比較的整った財政保障政策体系枠組の構築をスタートさせ、「就学難、学費高騰」という際立った問題のより効果的な解決に取り込んでいることを示している。さらに中央財政は職業教育の発展と高等教育の質的向上支援にも大きな力を入れることになる。

(四)さまざまな措置と政策を同時に講じて、「診療難と医療費高騰」問題の解決に積極的に支援する。健康は国民自身の幸福に関わるものであり、人間の全面的な発展と経済・社会の持続可能な発展の土台ともなっている。二〇〇七年度、中央財政は医療衛生支出を三一二億七六〇〇万元計上し、二〇〇六年度より一四五億三六〇〇万元増やし、八六・八%増とする。一、重大伝染病の予防・治療の無料化を実行する。予防できるものを予防し、治療できるものを治療し、モニタリングできるもののモニタリングを徹底させるよう努める。ワクチンの接種で効果的に予防できる法定重大伝染病を国の免疫計画の範囲に組み入れるとともに、これまでのエイズ、結核病、住血吸虫病に加え、良い診療効果が現れているハンセン病も医療救済の無料化の範囲に組み入れる。重大伝染病の予防・抑制経費の保障にいっそう力を入れ、伝染病の予防・抑制に関する知識の講習と普及をサポートし、伝染病の予防・抑制のレベルを向上させる。地方財政による拠出を主財源として法定重大伝染病の予防・治療資金をまかなっていた既存のメカニズムを改め、中央財政による拠出を主財源とする新しいメカニズムに転換させる。このような政策の実施により、より多くの患者が直接恩恵を受けるだけでなく、疫病の蔓延がよりよく抑制されるため、社会全体にとっても有益となろう。二、新しいタイプの農村合作医療制度の確立に拍車をかける。二〇〇七年、新しいタイプの農村合作医療制度のテスト範囲を全国八〇%以上の県(市、地区)に拡大し、一年繰り上げて全国範囲で新しいタイプの農村合作医療制度をほぼ打ち立てる。中央財政は引き続き一人当たり二〇元の基準で中西部地区へ補助金を支給するとともに、東部地区に対しても適切な援助を与える。また、地方財政による補助金基準もすべて一人当たり二〇元に引き上げるべきである。さらに、関連規定を絶えず充実させ、管理を規範化し、新しいタイプの農村合作医療への加入が真に農民のためになり、より多くの実益をもたらすよう保障する。三、都市住民の基本医療保険のテスト作業を推し進める。二〇〇七年から都市住民の基本医療保険のテスト作業をスタートさせ、逐次都市部職員・労働者以外の都市住民を基本医療保険のカバー範囲に組み入れる。中央財政から補助金を捻出して中西部都市の貧困層の保険料補助に充てる。また、都市部職員・労働者の基本医療保険のカバーエリアを拡大するとともに、閉鎖・破産した或いは経営難に陥った国有企業の定年退職者の医療保険加入を助成する。これらの支援策を通じて、広範な人民が診療を受け医療費を支払えるようにする。四、都市・農村の医療救済への支援を強化する。二〇〇七年度中央財政は引き続き投入を増やし、中西部地区の農村医療救済制度の整備を助成し、都市部の医療救済テスト作業を着実に推進し、都市・農村部における医療救済活動の規範化と制度化を促進し、医療救済レベルを絶えず高め、医療救済基金の運用に対する管理を強化し、都市・農村における貧困層の医療費の負担を着実に軽減する。五、末端の医療衛生サービス能力の向上を大いにバックアップする。農村と都市コミュニティーの医療衛生人員の育成支援に大いに取り組み、中央財政と地方財政から必要な資金を捻出して、二〇一〇年までに関係者全員が一通り職業訓練を受けられるようバックアップする。それと同時に、都市コミュニティーの公共衛生経費保障メカニズムの確立をはかり、二〇〇七年から、中央財政は中西部都市のコミュニティーサービス施設利用者に一人当たり三、四元の基準で補助金を支給する。これらの政策の実施を通して、都市住民が安全、有効、便利、迅速に健康増進の教育、予防、保健、リハビリ、計画出産関連の技術サービスなど基本的公共衛生サービスを享受しうるようにする。六、中国伝統医薬事業の振興と発展を大いにサポートする。「名望ある医師・科・病院」の整備と中国伝統医薬適用技術の末端における普及及び応用をバックアップし、中国伝統医薬事業の振興と発展を促進し、その特色と優位性をよりよく発揮させる。それと同時に食品、医薬品に対する監督・管理機能の整備の強化を大いにサポートする。

(五)基本的民生問題の解決に手を差し伸べることを優先させ、就業・再就業支援と社会保障などの諸事業を着実に強化する。民生問題の解決に大いに支援を与えることは社会の公平を促進し、社会主義調和社会を構築するための最も基本的な要請である。公共資源を配置する主体としての公共財政の最も重要かつ最も基本的な役割は社会の公平と正義を具現させることである。一、社会保障と就業・再就業支援事業に資金を投入する度合いを大きくする。二〇〇七年、中央財政は社会保障と就業助成支出として二〇一九億二七〇〇万元を計上し、前年度のかなりの増幅をふまえて、一三・九%増の二四六億九九〇〇万元増やした。二、引き続きその他の社会保障事業を促進する。都市住民最低生活保障と企業職員・労働者基本養老保険制度を完備し、基本養老保険個人口座の積立を確実にするテスト範囲の拡大をバックアップする。引き続き就業・再就業を支援する様々な諸財政租税政策を徹底させ、これまでに残されてきた再就業問題の解決に拍車をかける。社会保険基金の財務制度と監督・制約メカニズムの形成と健全化に重点を置き、社会保険基金及びその他のさまざまな社会保障資金の管理をいっそう強化する。農民就労者及び土地が収用された農民の就業支援と社会保障事業を立派に行うようサポートする。社会救済体系の充実化をはかり、災害対策・救助を大いにサポートし、困難を抱える人々の生産・生活問題の解決に積極的に援助の手を差し伸べる。三、引き続き所得分配の秩序を規範化する。公務員給与制度の改革や、公務員の所得分配秩序の規範化にかかわる政策・規定を厳格に執行する。国務院の定めた企業の定年退職者の養老年金調整案にもとづいて、引き続き企業の定年退職者の基本養老年金基準を引き上げる。中央の所得分配制度改革と分配秩序規範化政策を徹底化することを確保し、新たな遅配・未払いを確実に防止する。企業の所得分配政策を完備させ、国有企業の管理者と職員・労働者の所得格差を調節し、独占業種の所得分配に対する監督・管理を強化し、独占企業の所得分配制度を規範化する。四、都市部の低価格賃貸住宅保障制度づくりを支持する。予算の計上や、住宅積立金の運用益及び土地譲渡による収益など都市部の低価格賃貸住宅を保障する資金源を確保し、賃貸料の補助、削減と低所得者用賃貸住宅の配給などの方式を取り、低所得層の住宅難を解決し、困難を抱える人々が住まいをもてるように取り計らう。

(六)財政租税政策を完備し、経済成長パターンの転換を加速させる。自主的創造革新の能力を高め、省資源と環境への配慮を促すことは経済成長パターン転換の重要な一環もしくは突破口であり、経済の持続可能な発展を実現するために通らなければならない道でもある。一、科学技術への投入の度合いを大きくする。二〇〇七年度、中央財政の科学技術支出は八八一億二一〇〇万元計上し、前年度より二〇・一%増とした。中央財政の科学技術投資構造を最適化し、公益性のある科学研究機構に対するサポートの度合いを引き続き大きくし、科学研究機構の管理体制の改革を突っ込んで推し進める。重大な科学技術特別プロジェクトの実施をバックアップし、それぞれの特色と優位を持つ区域創造革新体系づくりを促進する。二、企業の自主的創造革新の能力を増強させる。租税徴収による扶助政策を十分に活用し、関連資金を統合し、企業が研究開発への投資を増やすよう奨励し、導き、知的財産権の保護を促進する。ベンチャーキャピタルが中小ハイテク企業へ投資することを奨励する。カギとなるコア技術及び重要な技術設備の自主的研究開発と国産化をバックアップする。産・学・研を有機的に結び付けた新メカニズムの形成を促進する。自主的イノベーションに対する政府の統一調達政策の助成機能などを広げる。三、資源、環境の有償使用制度の改革テストを着実に推し進める。石炭資源の有償使用制度改革のテストを充実化させ、電力業種と太湖流域を選択し、汚染物質の排出権の有償使用と汚染物質の排出権の取引テストを行い、省にまたがる流域の生態補償メカニズムを検討し、確立する。生態系整備と環境保全への投入を大きくし、廃棄物のリサイクル利用を奨励し、再生可能なエネルギー資源や、代替エネルギー資源、新エネルギー資源などを開発する関連財税政策を検討し、打ち出し、鉱産物資源補償と汚染物質排出に対する費用徴収政策を完備し、省エネ・省資源と環境保全を奨励する比較的整った財政租税政策体系の整備に拍車をかける。四、輸出における租税還付と関税政策を完備する。輸出による租税の還付メカニズム改革の成果を打ち固め、資源関連生産物と技術革新にプラスになる商品の輸入を奨励し、「高エネルギー消費、高汚染型」製品の輸出を規制する徴税政策を検討し、実施する。企業が国際貿易ルールを有効に活用するようバックアップする。

(七)企業所得税二法(『中華人民共和国外資企業と外国企業所得税法』と『中華人民共和国企業所得税暫定条例』を指す)の一本化などの改革に積極的に呼応して、社会主義市場経済体制をさらに充実させる。財政・税制による国民経済運営の調節、経済構造調整と持続可能な発展の促進という役割をより効果的に発揮させる。第一は、積極的に協力して国内企業と外資系企業の所得税二法の一本化の立法作業に取り組む。企業所得税法実施条例と関連政策・措置を検討し、制定するとともに、『企業所得税法』の順調な施行を保障し、公平競争と企業の強大化を促し、内需を拡大し、経済の持続可能な発展を推し進める。第二は、その他の税制改革を着実に進めていく。付加価値税の消費型への転換改革を全面的に実施する具体案と関連措置の検討と制定を急ぐ。新規の資源税制度を策定、実施する。新規の耕地占用税の整備と実施に力を入れる。不動産課税の実施案を検討する。ガソリン税の改革案の充実化を急ぎ、時機を選んでそれを実施に移す。印紙税条例の改正を検討する。不動産税の規制にかかわる政策・措置を絶えず充実させる。第三は、国有企業、金融体制等の改革の深化を大いにサポートする。国有企業の政策的閉鎖・倒産がうまく行われるよう引き続きサポートし、閉鎖・倒産された企業の従業員を適切に配置し、経済構造の調整を促す。東北地区における国有企業が運営している集団所有制事業体の改革テストのテンポを速める。中小企業の成長をサポートする。政策銀行、中国農業銀行、輸出信用保険会社の改革を積極的に進め、金融資産管理会社の商業化への転換を推し進める。第四は、国有資本経営の予算制度のテストを繰り広げる。国有資本経営の予算を編成することは、政府のマクロ規制能力を増強し、国有企業の発展の途上に見られる体制上の障害を減少ひいては除去し、国有経済の布石と構造の戦略的調整を促すとともに、必要な改革コストの拠出や国と国有企業の分配関係の規範化をはかることにも寄与する。中央財政は中央直轄企業とタバコ企業を選定して、予算編成のテストを行うことになったが、地方財政も積極的にテスト作業を展開し、予期の成果が上げられるよう努力すべきである。

(八)移転支出の度合いを大きくし、地方政府の基本的公共サービス能力を高める。西部大開発、東北地区など旧工業基地の振興、中部地区勃興の促進に関する財政租税政策を引き続き実施し、徹底させ、東部地区の全国に先駆けた発展をサポートし、財政による支援の度合いを絶えず大きくする。これは政府の公共サービス能力の向上に役立つのみならず、経済構造の最適化や調整の加速にもつながる。第一は、一般的移転支出の度合いを大きくする。二〇〇七年度、地方、主として中西部地区へ振り向ける中央財政の一般的移転支出資金は一九二四億元、民族地区への移転支出資金は二一〇億元となり、二〇〇六年度よりそれぞれ三九七億元、五四億元増やした。第二は、県・郷の財政難を緩和させる成果を発展させ、さらにそれを拡大する。二〇〇七年度、中央財政は三三五億元の奨励・補助金を計上し、二〇〇六年度と比べ一〇〇億元増やした。「三つの奨励・一つの補助」政策を充実させるとともに、各地の活動状況について検査・考課を行うことによって、政策が真に実行に移され、資金が合理的に利用されるよう確保する。省クラス以下の財政管理体制の完備化に取り組み、省による県財政の直接管理と県による郷財政の管理などの改革を積極的に推し進める。第三は、司法関係経費の保障政策を真剣に実施する。中央財政は、貧困地区への公安・検察・司法補助支出として六四億九〇〇〇万元を計上し、二〇〇六年度より五億六〇〇〇万元増やし、さらに管理制度を完備させ、インセンティブ・メカニズムを構築する。訴訟費関連規定を改革した後、裁判所経費をいかに保障するかという問題の検討や解決に取り組む。地方財政も司法関係経費の保障政策を立派に実施し、司法機関の職能履行に必要な経費を同クラス予算に早期に組み入れて、その全額を保証する。二〇〇七年度、公共安全支出として中央財政は五九四億八三〇〇万元を計上し、二〇〇六年度より一三一億二五〇〇万元増やし、二八・三%増とする。

その他、ハイテク条件下におけるわが軍の防衛作戦能力と突発事件への対応能力を向上させ、国家主権と領土保全を擁護し、軍人の待遇を適切に引き上げるために、国防支出を三四七二億三二〇〇万元計上して、二〇〇六年度より五二四億九八〇〇万元増やし、一七・八%増とする。さらに国際間の交流と提携を強めるため、外交支出として二三〇億六六〇〇万元を計上し、二〇〇六年度より六二億七一〇〇万元増やし、三七・三%増とする。中央政権整備を強化し、国債利子を支給するために、一般的公共サービス支出として二一六〇億五三〇〇万元計上し、二〇〇六年度より六七億九五〇〇万元増やし、三・二%増とする。中央財政はまた改革、発展、安定という大局に奉仕するためのその他の重点支出の需要を積極的に保障する。

三、着実に仕事をこなし、二〇〇七年度予算の円滑な達成を確保する

二〇〇七年度政府活動の全般的要請に従い、二〇〇七年度予算の円滑な達成を確保するために、全局的に配慮したうえで、重点的に下記の諸方面の活動に取り組む。

(一)税収、租税外収入の徴収・管理に大いに力を入れ、財政収入の安定した伸びを促進する。経済の発展を大いにサポートし、経済の「パイ」を大きくした上で、法に依拠して財政収入の徴収管理を強める。税収秩序の整頓と規範化に力を入れ、様々な脱税や還付金の騙取など違法活動を厳しく取り締まり、減免税を厳格に規制し、期限満了になる租税優遇政策の整理を急ぎ、無断で行われている「先徴収、後還付」など形を変えた減免税措置について、それを断固食い止め、是正しなければならない。全国で財政、税務部門、国庫、商業銀行の税収関連業務横断的管理のオンライン化を穏当に推し進め、付加価値税、企業の所得税、個人所得税など様々な租税の徴収や管理をさらに強化する。租税支出制度の改革テストを穏当に進めていく。租税外収入を全面的に整理し、それを規範化させ、不合理または不法な租税外収入科目を断固取り消し、租税外収入管理の政策と制度を充実させ、重点的に『政府基金の管理方法』、『政府租税外収入徴収・管理方法』などの策定を検討する。すべての土地譲渡による収支を地方政府基金の予算に組み入れ、土地譲渡の収支に対する監督・管理を強化し、土地、海域、鉱産などの資源関連収入に対する徴収・管理をさらに強化する。行政機関の国有資産による収益の管理を強化し、行政機関・公営事業体の国有資産の有償使用による収入と処分による収入、また公営事業体の国有資産の処分による収入などを財政の租税外収入の管理枠に組み入れ、「収支二本立て」を実施し、個人所得と所属部門の行政権力やその管理下にある国有資産とを徹底的に分離するテスト作業にしっかり取り組み、さらにそれを絶えずくり広げ、根本から収入配分秩序の規範化を促す。徴収すべきものはすべて徴収することに努め、これにより財政収入の安定した伸びを確保する。

(二)予算管理制度の改革に取り組み、財政管理の科学化、現代化をさらにレベルアップさせる。政府収支の類別化改革の経験を適時総括し、発生した新しい状況や問題に応じて、科目の設置を完備させ、新規科目体系における予算の管理モデルを検討する。支出基準システムなどを確立し、健全化した上で、農業部をはじめとする十四の中央部門(企業)において、経済分類に基づく科目支出の予算編成のテストを行い、予算編成をさらに細分化する。これと同時に、政府の予算内訳表の充実化を突っ込んで検討することによって、政府予算が真にすべてを反映し、公開による透明性を有し、監督されやすいものになるようにする。引き続き剰余金の管理を強化し、資金の運用効果に対する業績評価テスト作業を積極的に進め、支出基準システムの確立と健全化に取り組み、公務員法に準じて管理された公営事業体を定員・定額テストの範囲に組み入れ、実物費用の定額化と定員経費の定額化との間に効果的なつながりをもたせ、資産管理と予算管理を有機的に結びつけたメカニズムの構築を検討する。中央と省クラスの国庫集中支払制度の改革はすべての末端予算部門へと拡大しなければならず、中央レベルの政府の基金、定年引退・退職者向けの経費と省クラス政府の基金を改革枠に組み入れなければならない。また、すべての地区や市においてもこの改革を実施し、県クラス政府もそれを鋭意推進しなければならない。中央部門と徴収を行う行政執行部門はいずれも租税外収入の徴収・上納改革を行わなければならず、省クラスの改革についてはその資金範囲をあらゆる租税外収入に広げ、省クラス以下もそれを積極的に推し進めなければならない。政府統一調達については、制度体系をさらに完備させ、統一調達の規模を拡大し、特別資金による調達の度合いを大きくし、関係政策の機能を着実に発揮させ、統一調達行為を規範化させる。行政機関・公営事業体における国有資産の管理を強化する。行政機関・公営事業体の国有資産について会計検査を繰り広げ、管理の規則・制度を策定し、動態的監督・管理情報システムを初歩的に打ち立てる。金財プロジェクトの整備を速め、財政管理に先進的な情報技術をうまく取り入れ、予算の編成と管理のレベルを引き上げる。

(三)重点支出の保障に力を入れ、特別資金の管理を確実に規範化する。中央財政と地方各レベルの財政はいずれも厳格に科学的発展観と社会主義調和社会構築の要求に照らして、支出構造の調整に力を入れ、中央と地方がともに努力し、党中央、国務院が定めた諸科目の重点支出の需要を的確に保障することを、着実に予算の編成と執行の過程に具現させるべきである。特別資金の規範的管理を急ぎ、できるだけ早く著しい進歩を勝ち取る。新規特別資金科目の開設を厳格に規制し、国の法律、法規及び国務院の公文書に明確に規定されたものを除き、中央財政で特別資金科目を新設する場合は、国務院の認可を経なければならない。特別科目の移転支出配分を規範化し、資金管理の規定を充実させ、それを公開、透明、規範化させるように努める。特別移転支出科目を整理、統合し、できる限りその支出の交差、重複を減らし、特別移転支出の特定の目標を真に体現させる。特別移転支出の予算編成を改善し、逐次それを各レベルの地方予算に組み入れ、同時に、特別移転支出資金の国庫による集中支払テストを推し進める。

(四)法による財政管理に力を入れ、財政の監督・管理を強化する。法治財政の整備を全面的に推し進め、国務院の『適法行政全面的推進実施要綱』を踏み込んで貫き、積極的に企業所得税法実施条例、政府統一調達法実施条例、資産評価業種管理条例、企業国有資本経営予算管理条例、宝くじ管理条例など財政租税関係の立法作業をうまく行なう。真剣に会計準則、監査準則、財務通則の実施に取り組み、会計、監査、資産評価など基礎作業を強化、改善し、企業内部統制基準体系の整備に大いに取り組む。政府の会計改革の検討を急ぎ、引き続き会計人材養成事業を推し進め、その登録と監督・管理を強め、公認会計士と資産評価業種の健全な発展を促す。財政監督メカニズムを健全化し、重大な財政政策の執行過程に対する監督の度合いを大きくし、大衆の身近な利益にかかわる財政資金の運用状況に対する監督に力を入れる。全国人民代表大会、会計検査部門、規律検査部門による監督及び社会団体と世論による監督を意識的に受け入れる。法による財政管理と人民のための財政管理という自覚をしっかりともち、財政・経済関連法規に違反する様々な問題の発生を予防する。

(五)勤倹節約に努め、奢侈や浪費に断固反対する。ここ数年来、経済の総量がますます大きくなり、財政収入の伸びも速まってきているが、これまで通りに冷静さを失わず、治に居りて乱を忘れず、憂患意識を強めなければならない。わが国は依然として世界最大の発展途上国であり、これからも長期にわたって社会主義の初級段階に位置し、発展にもかなりの不均衡が見られ、生活難を抱える人もかなりの数に達し、人民大衆の生活にゆとりがあるとは言えず、国の建設でやらなければならないことは多い。このため、財政収入の状況が相対的によくなっているからといって、大盤振る舞いをしてはならない。確実に節約型社会の構築や「二つの保持(毛沢東同志が中国共産党第七期中央委員会第二回総会で行った報告の中で党の作風にふれた際に、同志たちに謙虚で、慎重な、おごらず、あせらない作風をひきつづき保持させなければならないし、刻苦奮闘の作風をひきつづき保持させなければならないと述べたことを指す)」の要求にしたがい、厳格に予算に照らして支出、とくに一般的支出の増加を抑える。さらに公務接待制度の改革と充実化をはかり、出張旅費と会議経費の管理を厳格にし、中央国家機関における関係者の出張や、会議主催については場所指定の管理方法を実行する。財政・経済規律を厳しくし、監督・管理の度合いを大きくする。節約を励行し、勤倹を旨としてすべての事業を運営し、奢侈や浪費に断固として反対し、金がまさに肝心なところに用いられるようにし、財政資金運用の規範性や安全性、効率性を的確に向上させる。

二〇〇七年は科学的発展観を踏み込んで貫き、社会主義調和社会の構築事業を積極的に推し進める上で重要な年である。予算と諸財政活動の任務を円満に完遂することは重要かつ大きな意味を持っている。われわれは胡錦濤同志を総書記とする党中央の指導のもとに、ケ小平理論及び「三つの代表」の重要思想という偉大な旗じるしを掲げ、科学的発展観を真剣に貫徹し、具現させ、第十期全国人民代表大会第五回会議で採択された経済・財政活動に関する諸般の要求に基づき、自ら進んで財政活動に対する人民代表大会の監督と指導を受け入れ、真剣に人民政治協商会議の意見と提案に耳を傾けなければならない。そして確信を固め、心を一つにして協力し、奮い立って進取し、着実に仕事をこなし、小康社会の全面的な建設と社会主義調和社会の早期構築に向け更なる貢献を果たすとともに、新しい成績を持って党の第十七回大会の開催を勝利のうちに迎えよう。

(この報告については、今会議で最終的に審議、採択され、新華社から発表されるものが基準となる。)


 

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