政協委員の経済学者・呉敬�lさんは中国経済界に名声が高い。彼の一言で株相場が昇降する、ともいわれる。どの期の政協大会でも記者取材の的となる。今期政協大会では呉敬�lさんは記者会見を開き質問に答えた。

　経済発展の現状については「1997年のアジア金融危機以来、中国で内需不足、市場不活発の現象が現われた。政府は一連の措置をとり、1998、1999年には改善の状態が現われ、中国は８％の経済増加を実現した。とはいえ、当時の中国国内の需給は依然弱体だった。

　2000年にこの状態は転機し、2001年に中国はこの状態から抜け出した。これには二つの原因が挙げられる。まず、政府が意欲的な財政政策と貨幣政策を採ったこと。たとえば、国債発行、対企業融資などの手段。次に、中国企業の活力が強まり、若干の私営企業が急発展をとげたこと。とくに沿海地区がそうだ。浙江省を例にあげると、私営企業が浙江省の主要な経済源を占め、今では浙江省の一人平均国民生産総額は中国各省でいちばん高い。1999年、中国では私営企業の製品輸出を許可したので、私営企業の意欲は大いに高まった。近年来、アメリカ経済は低迷だが、中国経済は依然として高速増加を保っている。この調子なら、来年の経済増加目標である７％は必ず突破され、８％に達するかもしれない」

　呉敬�lさんは、中国経済の発展は一路順風というわけにはいかず、潜在的危機も存在する。たとえば、広範な農民の消費水準はまだきわめて低く、八億の農民を擁する中国にとっては、いかにして彼らの購買力を高めるかが最も重要かつ困難な問題となる。次に、中国国有企業の改革はまだ完全には定位置におさまっていない。現代企業の確立からはほど遠い状態にある。

　中国政府が国家経済貿易委員会と対外経済貿易合作部を取り消したことについて呉敬�lさんは、これは中国政府が市場経済適応のためにとった政府職能積極転換のための措置である、と評価した。

（本誌記者　王浩　　2003.3.8）