胡啓恒委員―――自動車と電動補助自転車の是と非

 朱鎔基総理は第10期全国人民代表大会第1回会議の開幕式で行った政府活動報告で、環境汚染の悪化傾向を総体的に食い止め、重点都市と地区の環境の質をある程度改善させることを提起した。これについて、中国工程院の会員で中国科学技術協会副主席、全国政治協商会議の胡啓恒委員(女性)は「朱鎔基首相が政府活動報告で述べたのは確かに事実だが、我々が重視を呼びかけるべきだと考えるのは、過去存在していた汚染はうまく食い止めたかもしれないが、新たな、現在深刻化しつつある汚染が、より大規模な汚染の嵐を巻き起こすかもしれないということだ」と強調した。

 胡委員はまず、自動車による汚染に言及した。「首都の北京を例にすれば、メディアの報道によると、毎日数千台の自動車が販売されているという。これが経済発展の歓迎すべき表れであることは否定できない。だが、非常に憂慮している。我々は今、先進国が工業化の過程で歩いた昔の道を歩いているのかもしれないからだ」。

 そして「グリーンな製造業」に触れ、「これは異なる層の問題だが、自動車の製造を例に挙げれば、ディーゼルエンジン車の生産では現在、ほとんどゼロに近い汚染が求められており、これは達成できないことはない。例えばトヨタは生産の過程ですでにゼロ汚染に近づいているが、使用の過程では、やはりある程度汚染している。また廃車の対象になった自動車を処理する際に、いかにそれがもたらす汚染を削減するかも、1つの層の問題としてある。つまり、既存の自動車について、製造や使用、廃棄のすべての過程でいかに汚染を低減するかということだ」と指摘した。

 胡委員は「高次元な問題は、新エネルギーを利用した無汚染の自動車を拡大することだ」と強調したうえで、「この点については現在のところ、完全に解決することはできないものの、“迂回する”方法で一時的に汚染を緩和することはできる。例えば、上海市の方策は比較的賢明だ。ディーゼル車のプレートの発行を規制するのに合わせて、電動補助自転車の類の車両プレートの申請・受理を奨励してきたことで、汚染を有効に食い止めている」と説明。

 「だが、北京市のやり方はこれと正反対だ」。胡委員はやや気持ちを高ぶらせながら話を続けた。「現在、北京市はディーゼル車のプレートを無制限に発行し、電動補助自転車にはむしろプレートを与えていない。一般庶民として、これは非常に理解できない。市政府が環境を汚染しない電動補助自転車にプレートを与えないのは、どうしてなのか」。

 胡委員は「もちろん、朱鎔基総理も政府活動報告のなかで、消費需要を拡大することが今、投資需要の拡大よりさらに重要だ、と言及している。自動車購入の規制は消費需要の拡大にマイナスな影響を与えるかもしれない。だが、この点ははっきり分からないのでもっと勉強が必要だと考えているが、消費需要の拡大によって仮に、より多くの家庭がマイカーを所有するようにでもなれば、中国のような人口の密集した大国に、環境面で回復できない重大な結果がもたらされるかもしれない」と指摘した。

 最後に胡委員は、北欧を例にして話を結んだ。「北欧諸国は先進国のなかでも人口が最も少なく、環境も最も汚染されておらず、個人の乗用車購入を奨励しない政策を完全に実施している。主な施策は自動車税と国内のガソリン販売価格を引き上げたことだ。また今ある環境を保護するため、公共交通を発展させている。だが、我々のやり方はどうか。この問題で我々は、方向的に重大な過ちを犯している」と強調した。

(「チャイナネット」より)2003年3月14日