(二)経済構造の調整を主軸とすることを堅持し、経済成長の質と効率の向上に力を入れた
発展は絶対的な道理であり、わが国の抱えているすべての問題を解決するカギとなるもので、国民経済が比較的速いテンポで成長していくことを保たなければならない。発展には新しい発想がなければならず、市場と効果的なスピードがなければならない。これこそが正真正銘の、健全な発展というべきものであろう。わが国の経済の発展に段階的変化が生じた新たな情勢下で、断固として経済構造に対して戦略的調整を施さなければならない。われわれは各方面の主要なエネルギーを経済構造の調整、経済成長の質と効率の向上へと導くことに気を配り、成長のスピードを構造、品質、効率と統一させることに努めた。
われわれは産業構造、地域間の経済構造、都市農村構造などを全面的に調整することを堅持し、産業構造を調整するというこのカギとなるものにしっかり力を入れて取り組んだ。一、インフラ建設をさらに強めたこと。これは加工工業に生産力の過剰が見られる状況の下での構造調整の必然的選択となり、インフラの「ボトルネック」による制約を解消することも可能であれば、設備製造業など関連業種の発展を牽引することもできる。インフラ建設を進める過程で、統一的に企画し、重点をはっきりさせ、配置を合理化し、質を第一とすることを堅持して、加工工業プロジェクトの新規立件を厳しく抑え、低いレベルでの重複した建設を防ぎ止めた。二、ハイテク産業、特に情報産業の発展に力を入れ、国民経済と社会の情報化を積極的に進めていること。一〇〇〇項目余りのハイテク産業化モデルプロジェクトの実施を組織することによって、独自の知的財産権を有する一群の重要科学技術成果の短期間における産業化を実現させた。ハイテク産業開発区と工業パークの役割を十分に発揮させ、ハイテク産業化サービス・システムを積極的に発展させた。改革開放を推進し、資金の投入を増やすことによって、わが国の情報産業が飛躍的発展を遂げた。三、積極的に在来工業の改造とグレートアップに取り組んだこと。国債の利子補給、技術改良プロジェクトの審査・認可手続きの改善などの方法をとって、重点業種、重点企業、重点製品に対する大がかりな技術改良と構造調整をサポートした。五年間に合わせて全国の技術改良に振り向けられた投資は二兆六六〇〇億元に達し、その前の五年間より六七%伸びた。一群の大手企業は自力で技術水準を向上させ、競争力を増強させる新しい道を切り開いた。同時に、経済、法律と必要な行政手段を総合的に運用し、紡績業を突破口として、徐々に石炭、冶金、建材、石油化学、製糖などの業種へと広げ、品質が粗悪で、資源の無駄遣いになり、汚染もひどければ安全な生産を営む条件も備わっていない一群の企業を閉鎖し、一群の立ち遅れた設備と技術、工程を淘汰し、一部の過剰生産力を圧縮した。四、サービス業の発展に努めたこと。市場参入の基準を緩和し、発展のための環境を改善し、現代的経営方式と技術を推し進めて、在来のサービス業がさらに一歩発展するよう図った。同時にあらゆる手を尽くして、現代サービス業の発展に拍車をかけるよう積極的にサポートし、奨励した。
品質を向上させることは国の振興に通じる道であり、経済効率を高め、競争力を増強するための根本的な方策でもある。われわれは国際スタンダードを採用し、先進技術を普及させ、認証・認可の仕事を強化し、品質管理を強化することによって、各業種の製品品質とサービスの質を絶えず引き上げた。
(三)「三農」問題を際立った位置におき、農業の基礎としての地位を固め、強化した
「三農」、つまり農業、農村、農民の問題はわが国の改革・開放と現代化建設の全局にかかわるものであり、いついかなる時においてもそれをおろそかにし、手を抜いてはならない。ここ数年、農業の総合生産能力が大幅に伸び、国民経済の発展と社会の安定が力強くサポートされることになった。同時に、農産物の供給過剰、価格の下落、農民の収入の上昇のスローダウンなどの問題も現われた。このような状況が改善されなければ、農民の意欲がゆゆしく損なわれ、農業の基礎としての地位を揺るがし、ひいては国民経済の全局に危害を及ぼしかねない。われわれは農業を強化し、農村経済を発展させ、農民の収入を増やすことを経済活動における最重要課題として堅持しつづけ、大いに工夫をこらした。
一、農業の構造調整を推し進めたこと。政策的支援、情報サービスと技術サービスを強化することを通して、農民が市場の需要に照らして作付構造、品種構成を調整するよう導き、牧畜業と水産養殖業を発展させ、農業生産の地域的配置の調整を促した。「公司と農家の提携」、「受注農業」などの方式を大いに普及させ、農業の産業化経営を発展させることによって、幾千万の農家の市場参入を促した。それと同時に、食糧の供給が潤沢であるという有利なタイミングを逃がすことなく、耕地の樹林への復元作業を実施し、これは農業の構造調整を促したばかりでなく、直接農民の収入増をももたらした。農業構造を調整する過程で、その地元に応じて利点を生かし、行政命令に頼らず、農民の自由意思を尊重することを堅持した。
二、食糧・綿花流通体制の改革を深めたこと。買付販売の市場化をはかることは食糧・綿花流通体制改革の根本的な方向であるが、改革の段取りにおいて、われわれは首尾一貫して実情から出発し、農民の利益と農業生産力を保護することに目を向け、積極的かつ着実に改革をすすめた。一九九七年には保護価額に基づく農民の余剰食糧の無制限買い上げなどの政策を実施した。一九九八年にさらに「三つの政策、一つの改革」を提出した。つまり保護価格で農民の余剰食糧を無制限に買い上げること、国有の食糧買付・販売企業に順ざや価額で食糧を販売すること、食糧買上資金運用の一本化の実現に向けて、国有食糧企業の改革を加速させることである。二〇〇一年に主要な食糧生産地ではひきつづき保護価格で農民の余剰食糧を無制限に買い上げるとともに、食糧主要販売地で食糧の買上市場とその価格を自由化して著しい成果を上げた。国は食糧流通体制の改革支援のために巨額の資金を投入した。綿花の買付販売の市場化をめざす改革も絶えず深化され、飛躍的な進展をとげた。
三、農村で租税・料金の改革テストを行ったこと。農民の過重な負担の問題を解決するため、われわれは一連の政策・措置を講じて、二〇〇〇年より、安徽省などの地域で農村の租税・料金徴収の改革テストを行い、二〇〇二年にテスト地域を二十の省、自治区・直轄市に広げ、テスト地域の農民の負担を平均三〇%軽減した。今年の中央財政予算のうち、この改革サポートの資金は三〇五億元に達する。同時に、郷・鎮の機構、農村教育、県・郷財政体制などに関連した改革も行われた。農村における小・中学校・高校教師の給与支給が県による統一的な財政管理へと改められ、これによって教師の給与が期限通り全額支給されることを保障し、農民の負担も軽減された。農村での租税・料金改革は、わが国農村における家庭請負経営の後に続いて実施されるいま一つの偉大な変革となっており、農民の負担軽減と収入増を保障し、農業の発展を促し、農村の安定を維持する上ですでに重要な役割を果たしており、また今後もその重要な役割を果たしつづければ、数億の農民の心からの擁護を得られるであろう。
四、農業と農村への投入を増やしたこと。これは「三農」問題の解決をはかり、都市と農村のバランスの取れた発展を促す重要な措置である。五年来、国の財政より支出された農村生産助成金と諸般の農村事業費は四〇七七億元に達し、前の五年間の累計額を一八五二億元上回った。われわれは一部の国債資金を農業と農村におけるインフラへの投入に振り当て、大河川・湖沼の整備、農村の送配電網の改造、国の食糧備蓄倉庫などの面の建設を重点的にサポートし、さらに、農業と農村における小型基盤施設の整備を助成した。これらの措置は、農民の生産・生活条件を改善する上で重要な役割を果たした。
五、農村部での貧困扶助のための開発を強化したこと。「八・七」(八年間に七〇〇〇万人を貧困状態から脱却させる)貧困扶助・難関突破計画を真剣に実行するとともにそれを基本的に達成し、新しい世紀に入る前の十年間における農村部貧困扶助開発綱要を制定し、実施した。開発型貧困扶助の方針を堅持し、貧困扶助への投入の度合いを大きくした。この五年間で、貧困扶助への国の財政資金と公共事業請負による救済資金は四八〇億元に達し、利子補給方式を通じて七七〇億元の貧困扶助融資を計上したが、これらはいずれも従来より顕著な伸びを示した。東部と西部地区の協力による貧困扶助の展開を堅持した。長年の模索を経て、中国の国情にふさわしい貧困扶助のための開発の道を探りあてた。
六、農村の労働力が合理的に、秩序だって移動するよう導いたこと。農村における余剰労働力が非農産業と都市・町に移動することは、工業化と現代化に向かううえでの必然的な趨勢である。われわれは都市・町化戦略の実施を堅持し、小都市と町を積極的かつ穏当に発展させてきた。農民が就労や就業のために都市部へ流入することをサポートし、農民就労者に対する差別政策とむやみやたらな料金徴収を整理、是正し、彼らの合法的権益を保護すると同時に、それに対する誘導と管理を強めた。都市の繁栄によって農村の発展を牽引し、都市と農村のバランスのとれた発展を促進することは、新しい情勢のもとで「三農」問題を解決する重要な方途である。
実践が立証しているように、新たな段階における農業と農村の仕事に関する党中央、国務院の政策決定と配置は正しいものである。本期政府は「三農」問題の解決に大いに力を傾けた結果、積極的な成果をあげた。「三農」問題を根本的に解決することは、困難に満ちた長期的な任務であり、たゆむことなく努力することが必要とされるのである。
(「人民網日本語版」より)2003年3月18日
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