ケン・バトゥア代表――遊牧民の将軍の子として


 内蒙古自治区ホンシャンダク砂漠の北部、サルヤトゥアのガチャ(村)に、共和国将軍の息子として、青春と心血、知恵を当地の草原と遊牧民に捧げた人物がいる。その人が、ケン・バトゥア氏だ。

 ケン・バトゥア氏は1955年の生まれ。その年、父親のケン・マオ氏は中央軍事委員会によって同自治区で初めて4人の少将の1人に任官された。1974年、バトゥア氏はフフホトを離れてガチャの生産隊に入隊。その後、草原を出るチャンスは何度もあったが、第2の故郷を熱愛した氏はここに留まる決心をした。

 2003年1月、バトゥア氏は内蒙古自治区の第10期人民代表大会第1回会議で代表に選出された。これはごく普通の遊牧民に対する選挙民の信任、称賛を示すものだ。

 過去28年間、バトゥア氏はガチャ長(村委員会主任に相当)やガチャ党支部書記を歴任。学識を十分に発揮し、ガチャの全遊牧民を率いて貧困を脱し豊かになり、また草原を緑化する道を歩んできた。氏が講じたのは、家畜群を流動化させて貧困を支援する措置だ。集団の家畜を貧困家庭に3年間飼育させ、生まれた子どもの70%はその家庭の所有とし、これでガチャの21の貧困家庭はすべて貧困から抜け出すことができた。また遊牧民の先頭に立って草木を植え、区画を切って順番に放牧させることで、草原の生態環境は著しく改善された。健全な文化活動も組織し、多くの伝統的な悪習が改められた。

 「全国人民代表大会はこれまでに出席した会議の中で最も重要なものだ。それは栄誉であり、より重要なのは責任であり、遊牧民の心の声をきちっと大会に反映させたいと思っている」。ケン・バトゥア氏はインタビューでこう強調した。

 バトゥア氏は提起する問題として、遊牧民のいくらかゆとりのある生活と生態の整備を挙げた。「この10余年来、内蒙古の遊牧民の収入は農民よりはるかに多くなったが、いくらかゆとりのある生活を送るにはまだ数々の障害がある。例えば、遊牧地区の教育や交通、文化生活などは農業地帯よりずっと遅れており、国はこれに関心を寄せるべきだ」と強調する。草原の生態整備について、バトゥア氏は「遊牧民がいくらかゆとりのある生活を送れるようにしながら、草原の生態を改善していく必要がある。だが、遊牧民の生活レベルを落としてはならず、科学技術を駆使して整備の効率を高め、有限な整備資金を無駄なく使用し、浪費してはならない」と指摘した。

(「チャイナネット」より)2003年3月6日