2002年度の中央と地方予算の執行状況および
2003年度の中央と地方予算案についての報告
財政部部長  項懐誠
(2003年3月6日 第10期全国人民代表大会第一回会議にて


 代表のみなさん

 国務院の委託を受けて、ここに二〇〇二年度の中央と地方の予算執行状況及び二〇〇三年度の中央と地方の予算案について大会に報告し、審議を願うとともに、全国政治協商会議の委員のみなさんからもご意見を求めたいと思う。

 一、二〇〇二年度の中央と地方の予算は円滑に達成され、中央財政の赤字は予算の定めた数値内に押さえることができた

 二〇〇二年度はわが国の発展史上において重要な意義を持つ年であった。中国共産党第十六回全国代表大会が勝利のうちに開かれたことは、全面的に「小康社会」(いくらかゆとりのある社会)の建設をめざす全国各民族人民の並々ならぬ熱意を引き出した。各地区と各部門は「三つの代表」という重要な思想を真剣に実践し、中央経済活動方針および第九期全国人民代表大会第五回会議で採択された財政経済活動に対する諸般の要請を積極的に貫徹、実行し、心を一つにして刻苦奮闘し、世界経済の成長が目に見えて減速している不利な状況にもかかわらず、国民経済は引き続き比較的高い成長率を維持し、社会の諸事業は全面的な進歩をとげ、人民の生活レベルはさらに向上した。中央と地方予算はいずれも円滑に達成された。

 二〇〇二年度全国の歳入は(債務収入は含まず。以下同じ)予算より八九九億元増の一兆八九一四億元で、前年度に比べ二五二八億元増え、一五・四%増である。全国の歳出は予算より八九九億元増の二兆二〇一二億元であり、前年度に比べ三一〇九億元増え、一六・四%増となった。収支を差し引くと、歳出は歳入を三〇九八億元上回った。

 中央の歳入は予算より三七四億元増の一兆一〇二〇億元であり、前年度に比べ一二四八億元増え、一二・八%増となった。そのうち、中央レベルの収入は予算より三四八億元増の一兆三九〇億元で、前年度に比べ一二〇八億元増え、一三・二%増となった。地方財政から中央への上納収入は予算より二六億元増の六三〇億元である。中央の歳出は一兆四一一八億元で、予算より三七四億元増えた。そのうち、中央レベルの支出は予算より三四三億元増の六七五六億元である。地方への租税還付金と助成支出は予算より三一億元増の七三六二億元である。収支を差し引くと、赤字額は三〇九八億元で、第九期全国人民代表大会第五回会議で承認された予算赤字の三〇九八億元と同じである。

 地方の歳入は予算より五八二億元増の一兆五八八六億元であり、前年度に比べ二〇八一億元増え、一五・一%増となった。そのうち、地方レベルの収入は予算より五五一億元増の八五二四億元で、前年度に比べ一三二〇億元増え、一八・三%増となった。中央から地方への租税還付金と補助金は七三六二億元で、予算より三一億元増えた。地方の歳出は一兆五八八六億元で、予算を五八二億元超過した。そのうち、地方レベルの支出は予算より五五六億元増の一兆五二五六億元である。中央への上納支出は予算より二六億元増の六三〇億元である。地方財政の収支は均衡を保っている。

 このほか、中央財政の債務収入は五六七九億元であり、予算と同じである。その内、二五六三億元を国内外債務の元金償還に充て、三〇九八億元を本年度の赤字補填に充て、一八億元を中央財政債務償還基金の補充に充てた。二〇〇二年度中央政府の管轄する基金の収入は九九九億元で、中央政府の管轄する基金の支出は九九九億元であった。

 これらの数字は、中央と地方の決算編成集計後にいくらか変わることもある。

 過去の一年間に、各地区と各部門は党中央、国務院の正しい指導のもと、第九期全国人民代表大会第五回会議で定められた予算と財政活動目標に従って創意性を発揮し、粘り強く取り組み、積極財政を真剣に実行し、財政法制の整備を強化し、財政・経済秩序の整頓に力を入れた結果、諸般の財政活動は順調に進められ、経済と諸般の社会事業の健全な発展を立派に促進することができた。

 財政収入の増加・支出の節減に力を入れることにより、予算の円滑な達成を確保した。第九期全国人民代表大会第五回会議において、私はかつて次のように報告した。二〇〇二年度の予算執行には不確定要素がかなり多い。収入面では、主として収入増をもたらす特別要因が減少する一方、収入減をもたらす要因もかなり多く存在している。例えば、世界貿易機関(WTO)加盟に関連する約束を履行するため、全般的関税率は一五・三%から一二%に引き下げられ、証券取引印紙税率は四‰のA株と三‰のB株が二‰に統一され、金融保険営業税率は七%から六%に引き下げられ、国有株削減政策の実施を中止したこと等である。支出面では、一部重点プロジェクトの資金需要が増え、その分をどうしても保障しなければならない。予算執行の過程において、一部収入項目の執行状況は年頭に見込んだものよりも厳しくなったため、財政収支、とりわけ中央財政収支は一度収入の伸びが予算を大きく下回り、支出の伸びが予算を大きく上回るという厳しい状況に直面した。このような情勢に鑑み、二〇〇二年五月に国務院は収入増加・支出節減活動の全国テレビ電話会議を開き、収入増加・支出節減に関する一連の要求と措置を打ち出した。二〇〇二年九月に、全国財政の収支状況が徐々に好転する趨勢を定着、発展させるため、国務院は再度収入増加・支出節減の全国活動会議を開催し、収入増加・支出節減をよりいっそう強化する措置と新たな要求を打ち出した。財政部は予算の執行状況を綿密に追跡し、いろいろな形態を通して財政担当部門に中央と地方の財政収支の推移を分析、研究させ、状況の交流と情報の交換を強化させ、各地方の収入増加・支出節減活動を督促、検査させた。各地方、各部門もこれを十分に重視し、効果のある措置を速やかに制定し、実行に移し、収支管理面の抜け穴を塞ぎ、一部の収入減少・支出増加の要因の解消に努めたため、全国の財政の収支情勢はいっそう好転した。二〇〇二年第1四半期に、全国財政の収入は三・四%伸び、支出は二三・九%伸びたが、第2、3、4四半期には、同収入の伸び率がそれぞれ一四・四%、一四・三%と二七・三%となり、同支出の伸び率はそれぞれ一三・六%、一七・三%と一四・七%となったため、全年度予算の円滑な達成を保証することができた。

 『中央予算の審査・監督強化に関する全国人民代表大会常務委員会の決定』の関連規定に基づき、さらに社会経済発展に欠かせない支出を考慮して、二〇〇二年度中央財政の収入超過分三七四億元を自動車道路の建設に追加し、また全国社会保障基金の補充に振り向けた。この件については既に規定に基づき全国人民代表大会常務委員会に書面で報告している。地方財政の収入超過分について、地方に運用させ、主として社会保障支出を増やし、給与遅配問題の解決などに用いた。

 支出構造を調整し、諸般の重点的社会事業の発展に必要な資金を確保した。各地方、各部門は改革・発展・安定の擁護という大局に立脚し、一般的支出を厳しく抑制すると同時に、財力を集中的に重点支出の保障に向けた。第一は、低所得層と生活困難な大衆に傾斜させ、これらの人々の基本的生産と生活問題の解決を助けたこと。引き続き「二つの確保」と「最低生活保障」の仕事をしっかり行った上で、二〇〇二年七月一日から企業の定年退職者の基本養老年金水準を再度引き上げるとともに、早期定年退職者、基本養老年金受給額が比較的低い古参労働者、再就職した退役軍人、元の商工業者への配慮に重点を置き、また農村の古参退役軍人に対する優遇および建国初期に革命に参加して既に定年退職した古参幹部の待遇水準を再度高めた。法律に基づいて閉鎖、破産した八七社の国有企業を支援し、これらの企業で働いていた三八万人の生産と生活を保障するため、補助資金を適時に支給した。二〇〇二年度社会保障面に振り向けた中央財政の支出は一三六二億元に達し、前年度比三八・六%増となった。これと同時に、財政部門は関連部門と力を合わせて、社会保障資金の徴収・管理と監督を強化し、社会保障への特別項目の移転支出方法を改善し、財政の社会保障補助金の特別口座による管理制度を健全化した。税務機関による社会保険料徴収の改革テストケースは一六の省に及んでいる。このほか、都市部の職員・労働者の基本医療保険制度の改革および遼寧省などの都市部の社会保障システムの整備をはかる改革テスト作業に積極的に参与し、支援を与え、改革の円滑化を促した。統計によれば、二〇〇二年末までに全国企業の定年引退・退職者の基本養老年金と再就職サービスセンターに登録された国有企業の一時帰休者の基本生活費は基本的に期日通り全額支給された。都市部住民の最低生活保障の適用対象者が一九九八年年末時点の一八四万人から二〇〇二年年末時点の二〇六〇万人に増え、社会の安定を維持した。第二は、農業、農村、農民に傾斜させ、農村の発展と安定を促進したこと。農村の租税・料金徴収改革のテスト範囲を二〇省(自治区、直轄市)に広げた。これらのテスト地域における農民の負担は平均して三〇%引き下げられ、一部地方の比率はこれよりもっと大きい。この改革は広範な農民に「徳政プロジェクト」と称えられている。二〇〇二年度中央財政がこの改革のためにテスト地域へ振り向けた移転支出補助金は二四五億元に達し、これはテスト地域における末端政権の正常な運営を保証し、農村の義務教育の発展を支援したばかりでなく、農村の安定と農民負担の軽減および農村の経済関係の円滑化にも非常に重要な役割を果たした。二〇〇二年度農村の生産、農業総合開発および農業・林業・水利・気象など諸部門の事業費を支援するために振り向けた全国財政の支出は一〇八八億元に及び、前年度に比べ一八・六%伸びた。これと同時に、農村の貧困扶助、農村送配電網の改造および水利インフラ整備などへの投入を増やした。これらの措置は効果的に農業の発展を促進し、農民の所得水準を向上させ、農村の生活と生態環境を改善し、農村の安定を維持した。第三は、科学技術・教育へ傾斜させ、科学・教育による国家振興戦略の実施を推し進めたこと。二〇〇二年度中央財政は七二億元の資金を拠出し、国の重点基礎研究、知識創出プロジェクトと「八六三計画」(ハイテク研究・発展計画)を重点的に助成して、科学研究成果を数多く生み出し、わが国の科学技術の全般的水準を一段と高めた。中央財政の支出に占める教育経費の比率を毎年一ポイント増やす政策を引き続き実施し、地方財政も教育への投入を相応に増やした。二〇〇二年度全国財政の教育事業費は二六四〇億元に達し、前年度より一九・六%伸びた。国の貧困地区における義務教育プロジェクトを実施し、小・中学校の老朽化した校舎の改築を行い、高等教育と職業教育の発展を促進した。その他の諸項目の重点支出もそれなりに保障することができた。

 積極的に措置を講じて、所得税収入の割合配分改革の円滑化を確保した。「二つの大局」(一九八八年、ケ小平同志により提出された「沿海地区を先に発展させる」大局と、「二十世紀末ごろに、より多くの力を出して中・西部の発展を援助する」大局である)という戦略構想と「三つの代表」という重要な思想の実践によりいっそう力を入れ、引き続き財政・税収体制を充実させ、地域間の財力の格差を狭め、地域間のバランスの取れた発展を促進し、国有企業の改革を推し進めるために国務院は、二〇〇二年一月一日より所得税収入の割合配分の改革を実施することを決定した。このため、財政部は何度も地方の意見を求め、基準数値を点検、確定し、関連措置の充実をはかり、その実施を指導、督促した。各地区特に東部先進地区は政治を重んじ、大局を念頭に置き、さまざまな効果的措置を積極的に取って国務院の決定を真剣に貫徹し、改革の順調な展開を確保することに大きく寄与した。二〇〇二年度、この改革により中央の歳入は約一二四億元増えた。その全額を規定通りに地方へ、とりわけ中・西部地区への移転支出に振り向けた。所得税収入の割合配分の改革に合わせて、中央財政は地方への移転支出を増やした上で、移転支出制度をさらに規範化し、完備させ、地方財政の資金調達能力を増強させた。尚多くの地区は省クラス以下の財政体制を積極的に調整し、規範化させ、県・郷などの末端財政の運用可能な財力を増やした。これらの措置は、県・郷の財政難を緩和し、政府機関・事業体の職員の給与遅配状況を改善させた。二〇〇二年末までに、全国三六の省(自治区、直轄市)と政令指定都市(計画単列市)のうち二五都市がいずれも期日通りに給与を全額支給するようになり、残りの一一都市は当年度国が統一的に定めた給与の遅配問題が依然として見られたが、その遅配額は一七億元に減り、同期の支給すべき給与総額の〇・四%に止まり、前年度同期比四八億元減少した。

 引き続き改革を深化させ、予算管理制度の継続的整備を確保した。財政改革は政策と技術面への要求がかなり強く、利益関係の調整と規範化に直接関わっている。党中央、国務院の正しい指導の下で、各級党委員会や政府は財政改革を高度に重視し、各級人民代表大会も財政改革に対する督促と指導を強め、各級財政部門は絶えずサービスを改善し、着実にその実施を組織したため、予算管理制度の改革のさらなる深化を推し進めた。二〇〇二年、収支を分離し、徴収と上納を切り離すという要請に応えて、公安部、最高人民法院、税関総署など三四の中央部門は率先して「収支二本立て」の管理の改革を深化させるテストを行い、各地区もこぞってこの改革を強力に推し進めた。テスト部門はすすんでこの改革の要請に応えて、積極的に機能の転換を行い、法律をよりどころとした施政のレベルを高めた結果、費用や罰金の不当徴収の現象が目に見えて減少した。二〇〇二年中央政府の各部門および省直属の各部門はいずれも基本的支出予算と項目別の支出予算に基づいてそれぞれの部門の予算を編成し、一部の市(地区)、県(市、区)も積極的にこの改革を急ぎ、予算編成の公平性、公正性と公開性を高めた。二〇〇二年、六つの中央部門のテスト作業を推進し、規範化させた上で、国庫による集中支払制度の改革テストを三八の中央部門に拡大し、テスト地区も二〇〇一年の二ヶ所から九ヶ所に広げた。それと同時に、一五の中央部門において国庫集中受入制度の改革テストを行って、その財政的資金の収支がすべて国庫の単一口座のシステムに組み入れられるようになり、財政資金の安全かつ効果的な運営を保障し、中間プロセスを減らして、収入が国庫に「直行」し、支出が財・労働力提供者まで「直行」するようにし、財政資金の運用効果を高めた。二〇〇二年度全国における政府買付資金の規模は一〇〇〇億元を超え、前年度より三四〇数億元増え、資金の節減率は大体一〇%以上である。『政府買付法』の施行に伴い、政府の買付の法制化と規範化が絶えず強められた。このほか、財政管理情報化整備のテンポは明らかに速められ、財政資金の運用を適時監督・規制可能な「金財プロジェクト」(政府財政管理の情報システム化)が正式に実施される段階に入った。これらの改革は、社会主義市場経済条件下における財政管理の規範化と現代化をよりいっそう推し進めた。

 代表のみなさん!

 過去の五年間を振り返ってみると、全国の他の活動と同様に、財政活動においても新しい成果が勝ち取られ、国の財政状況は大きく変容した。一つは財政収入を安定的に伸ばしていくメカニズムが健全になり、国の財政力が著しく増強されたこと。二〇〇二年、全国の歳入は一兆八九一四億元で、一九九七年度に比べ一兆二六三億元増の二・一九倍となり、年平均二〇五三億元ずつ増えてきている。全国の歳入が国内総生産(GDP)に占めるウェートは、一九九七年の一一・六%から二〇〇二年の一八・五%まで高められ、年平均一・四ポイントずつ伸びている。二つは移転支出の規模が急速に拡大し、経済・社会のバランスの取れた発展を促進したこと。二〇〇二年度、中央レベルの財政支出は六七五六億元で、全国の歳出の三〇・七%を占めており、国債利払いの支出という比較不可能な要素を経常予算の支出に計上すれば、比較可能な基準では二八・五%となり、一九九四年財政管理体制の改革が行われた際の三〇・三%より一・八ポイント減少した。これは財政管理体制の改革を行った後、中央財政収入の増加分が主に地方に振り向けられたことを表している。二〇〇二年度、租税還付の三〇一四億元と体制的補助三二三億元を除けば、中央から地方への移転支出は四〇二五億元となり、一九九七年の六・一倍、年平均四三・四%ずつ伸びている。移転支出の大部分は中・西部地区に振り向けられ、これにより西部大開発戦略の実施をサポートし、中西部地区の発展に拍車をかけ、民族の団結と国の長期安定化を維持する上で、現在及び将来にわたって重要な役割を果たすことであろう。三つは財政支出の構造がさらに改善され、国民経済と社会の発展という大局にしっかり寄与することができたこと。とりわけ、社会保障、科学技術・教育、農業、インフラなどの社会の公共分野への投入を大幅に増やし、国有企業、社会保障、食糧流通、金融など経済体制の重要な改革の円滑化を保障することができた。二〇〇二年、社会保障、科学技術・教育と農業に振り向けられた全国の財政支出は、それぞれ一九九七年の九・五倍、二・三倍と一・九倍で、年平均五六・九%、一七・七%と一四・二%伸びている。二〇〇二年末の時点で、政府機関・事業体職員一人当たりの基本給のベースは一九九八年の二倍となった。五年来、党中央、国務院の要請に基づき、中央財政の収支が厳しい矛盾に直面しながらも、将来に着眼して全国の社会保障基金を一二四二億元積み立て、不測事態に対応する重要な財力的保障を与えた。四つは財政のマクロ規制力が著しく増強され、国民経済の持続的でテンポの速い健全な発展を促進したこと。断固として中央の内需拡大の方針を貫き、真剣に積極財政を実施し、建設国債を計六六〇〇億元発行した。これと同時に、財政のマクロ規制の方式を改革し、建設国債、税収、利子補給などの様々な財政政策手段を総合的に運用し、通貨政策と結びつけ、投資の拡大と消費の刺激を併置させ、総量の拡大と構造の調整を併置させてきたのである。これによって中央財政の赤字と債務額はそれなりに増大したが、これは不可欠なことであり、受容可能、コントロール可能な範囲内にあり、さらにそれに値するものである。さもなければ、国民経済の安定した成長も、経済構造の不断の改善と人民生活の著しい向上も見られなかったであろう。特に建設国債は諸分野への投入を効果的に牽引し、プロジェクトへの投資総額を三兆二八〇〇万億元に増大させ、我が国の経済社会の長期的発展のために堅固な基盤を打ち固めることができたのである。事実が立証するように、中央の積極財政を実施する政策決定は、非常に必要で、まったく正しいものである。五つは財政管理が日増しに規範化され、法に基づいて財政管理のレベルが絶えず向上したこと。五年来、党中央、国務院の関連決定や決議の精神、ならびに全国人民代表大会及びその関連機構の提出した改革の要請に応えて、一連の財政改革を行い、絶えずその範囲を広げ、措置を充実させ、改革の中味を深化させて、社会主義市場経済の発展の必要に見合う公共財政の枠組が初歩的に構築された。それと同時に、財政法制の整備のテンポが速められ、『予算法』、『会計法』、『登録会計士法』および財政規則などを基礎とした財政法体系の枠組が形成され、『行政再審議法』、『行政訴訟法』などの関連法律の要請に即応した財政運営に関する法律が厳格に執行されるようになった。財政改革と財政法制の整備が互いに促進し合うことにより、公正、公平、公開などの市場経済の原則が徐々に財政活動の各方面に貫徹され、財政管理の規範化が推進され、法による財政管理が新しいレベルに引き上げられた。これは、政府機能の転換、法に基づく執政の推進、社会の全面的な進歩を促進することに対しても重要な影響を与えることであろう。

 財政活動の成果を認めると同時に、われわれは財政運営において早急に解決すべき問題が存在していることも冷静に見て取っている。一つは財政収支の不均衡問題が依然として際立っていること。財政収入ベースの増大に伴い、今後財政収入が引き続き大幅に伸びることは益々困難になり、一方財政支出の面では融通がきかず、債務償還はピークを迎え、経済社会の各方面の発展も財政にさらに高い要求を提起しているので、財政収支への圧力は弱まらない。二つは財政・経済秩序の混乱状況が抜本的な改善に至っていないこと。偽帳簿の作成、脱税、税金のごまかし、税金逃れ及び財政資金の運用における浪費や無駄遣いなどの現象は相変わらず深刻である。三つは財政改革の進度がアンバランスであること。措置の充実、矛盾の解消、改革の深化といった任務はなお並大抵なことではない。四つは一部地区の末端財政がかなり困難であること。中央財政が移転支出の度合いを強めるなど一連の措置を講じてはいるが、一部の地区の末端機構の財政運営はかなり逼迫しており、国の定めた給与が期日通りに全額支給することができない。上述の問題について、われわれは、高度に重視し、改革を間断なく深化させ、管理を規範化させるなどの措置を講じて、解決の方法を着実に検討し、できるだけ早く顕著な成果をあげるように努める。

 二、情勢をはっきりと見極め、大局のために奉仕し、二〇〇三年度中央と地方の予算を積極的かつ堅実に編成する

 二〇〇三年は中国共産党第十六回全国代表大会の精神を全面的に貫徹し、中国の特色ある社会主義事業の新たな局面を切り開く重要な年である。現在、わが国の政治は安定し、社会は進歩し、経済発展の体制的環境が目に見えて改善され、対外開放は絶えず拡大され、経済発展の活力がたえず増強され、とりわけ中国共産党第十六回全国代表大会が成功裏に開催されたことにより、党員と人民の凝集力がいちだんと強まり、これは二〇〇三年及び今後の経済と社会発展を促進する強力な推進力となるであろう。その一方、われわれはわが国の経済発展において、なお際立った矛盾と問題に直面していることをも見取らなければならない。国際経済の不確定要素がかなり多く、一部地域の情勢は緊迫しており、このことが国際石油価格と世界経済に与える負の影響を的確に予測することは困難である。国内の有効需要が不足し、供給構造が不合理で、経済が自律的に成長する内部構造が健全さを欠き、輸出の比較的速い伸びを維持していく困難度が高まり、農民の所得は依然として伸び悩み、就業情勢は厳しく、再就業のプレッシャーが増大し、国有企業の改革にからむ深層部の問題もこれから解決していかなければならず、市場経済の秩序も引き続き整頓し、規範化させなければならない。

 このような情勢および、中国共産党第十六回全国代表大会と中央経済活動会議の精神に基づき、二〇〇三年度中央予算編成の基本原則を下記のように提示する。ケ小平理論と「三つの代表」という重要な思想を指針とし、中国共産党第十六回全国代表大会と中央経済活動会議の精神を真剣に貫徹し、「小康社会」を全面的に築き上げるという要請に則り、内需拡大の方針を堅持し、引き続き積極財政を実施し、国民経済の持続的で、テンポの速い健全な発展を促進するために努力すること。収入の徴収・管理を厳しくし、財政収入の安定した成長を確保すること。引き続き支出構造を調整、改善し、農業、科学技術・教育、社会保障、西部開発、人民生活の改善等の重点支出への保障を強化し、一般的支出をゼロ成長におさえる。財政・税制改革を深化させ、財政・経済の秩序を整頓し、法にもとづく財務管理を推進することである。

 上述の原則に基づいて、中央財政の収支に影響を及ぼす主要な要因を総合的に考慮したうえで、国務院は二〇〇三年度の中央予算案を次のように編成した。

 中央の歳入は一兆一九四〇億元で、前年度より五七五億元増やし、五・一%増とする(比べやすくするため、伸び率を計算する際、中央と地方の所得税割合配分を六対四の比例として二〇〇二年度の執行額を調整した。以下同じ)。そのうち、中央レベルの収入は一兆一三三三億元で、五九八億元増やし、五・六%増とし、地方からの上納収入は六〇七億元で、前年度より二三億元減少する。中央の歳出は一兆五一三八億元で、六七五億元増やし、四・七%増とする。そのうち、中央レベルの歳出は七二〇一億元で、四四五億元増やし、六・六%増とする。地方への租税還付金と補助支出は七九三七億元で、二三〇億元増やし、三%増とする。収支を差し引くと、中央財政の赤字額は三一九八億元で、一〇〇億元増大する。その赤字額と満期により償還すべき国内外債務元金の支出二九五六億元を加えると、中央財政の債務収入は六一五四億元で、四七五億元増える。地方に代行して発行する債券二五〇億元を加えると、債務の総規模は六四〇四億元となる。

 二〇〇三年度中央が代行して編成する地方の歳入は一兆七一〇五億元で、前年度より一二一九億元増やし、七・七%増とする。そのうち、地方レベルの収入は九一六八億元で、九八九億元増やし、一二・一%増とする。中央からの租税還付金と補助収入は七九三七億元である。地方の歳出は一兆七一〇五億元で、一二一九億元増やし、七・七%増とする。そのうち、地方レベルの歳出は一兆六四九八億元で、一二四二億元増やし、八・一%増とする。中央への上納支出は六〇七億元で、前年度より二三億元減少する。

 中央と地方の予算案を集計して見ると、二〇〇三年度全国の歳入は二兆五〇一億元で、一五八七億元増やし、八・四%増とする。全国の歳出は二兆三六九九億元で、一六八七億元増やし、七・七%増とする。

 二〇〇三年度中央予算案を編成するに当たって、とくに念頭に置いた要素は下記の通りである。

 「二つの保持(毛沢東同志が中国共産党第七期中央委員会第二回総会で行った報告の中で党の作風にふれた際に、同志たちに謙虚で、慎重な、おごらず、あせらない作風をひきつづき保持させなければならないし、同志たちに刻苦奮闘の作風をひきつづき保持させなければならないと述べたことを指す)」の要請を着実に貫徹し、一般的支出は原則としてゼロ成長におさえる。二〇〇三年度保障、増加すべき支出項目はかなり多く、中央財政における収支の矛盾が増幅する一方で、現在一部の政府機関・事業体において浪費、贅沢三昧・公費無駄遣いの現象がかなり深刻となっており、人民大衆はそれに対して強い反感を示している。刻苦奮闘するという優れた伝統をよりいっそう発揚するため、中央経済活動会議の精神に基づき、二〇〇三年度は重点支出項目を除いて、他の一般的支出(賃金調整による支出増大は含まない)項目を原則としては二〇〇二年度のレベルにとどめ、ゼロ成長を実行する。これは二〇〇三年度中央予算の編成にあたって定めた一つの重要な政策であり、財政活動が是非とも刻苦奮闘の地色を保つべきであるという要請を立ち入って貫徹する具体的な現れでもある。

 政策上で収入を下方修正し、経済と社会の発展をサポートする。世界貿易機関(WTO)加盟に当たっての約束を確実に履行するため、再び関税率を自主的に引き下げる。金融・保険業の改革と発展を促すため、さらに金融・保険業の営業税率を一ポイント引き下げる。西部大開発をサポートし、再就業を促進するため、さらに関連の財政租税優遇策を実施する。上述の政策は財政の収入増加に影響を及ぼすことになろう。このほか、企業の納税額が納税すべき製品の値下げ等の要因に制約されることを考慮すれば、価格によって徴収する一部の税収は大幅な増大が見込めない。過去数年間増収をもたらしたいくつかの特別要因の役割は明らかに弱まりあるいは消失するであろう。二〇〇二年度中央の歳入における諸項目の増減変化の状況とその原因を分析したうえで、二〇〇三年度の中央歳入の伸びを五・一%と計上した。この比率は予期された二〇〇三年経済成長率より低いが、積極的かつ確実なものである。

 建設国債を引き続き発行し、国民経済の安定的な伸びを促進する。積極財政の安定化と継続性を保ち、財政のマクロ規制の役割を発揮することは、当面の国内外の情勢に対処し、内需をいっそう拡大し、経済と社会の安定的発展を保証し、人民の生活水準を高めるなどの客観的要求から見て欠かせないことである。二〇〇三年度は建設国債一四〇〇億元を発行し、そのうち、一一五〇億元は中央予算に計上し、二五〇億元は地方に代行して発行する予定である。国債資金は主に建設中のプロジェクトの継続と仕上げ作業に充てるとともに、引き続き国債資金の運用方向とその構造を調整、改善し、農村の生産・生活条件の改善、経済構造の調整、生態環境の整備、中・西部地区などの面に重点的に傾斜させる。

 当面、わが国の住民の預貯金は急速に増大しており、国内には運用可能な資金がかなり潤沢である。市場に流通する物資が豊かになり、物価水準も比較的低い。国際収支は数年連続で黒字を保ち、外貨準備高はかなり豊富である。二〇〇三年度の赤字水準と債務総規模はなお受容可能な範囲内にある。従って、一定額の建設国債を再発行しても、短期間内には大きなリスクは伴わないはずである。われわれは、発生しそうな問題については厳密な注意を払い、その発生を積極的に防ぎ止め、さまざまな効果的措置をとって、また発展という手段を通じて財政リスクを抑えるであろう。

 地方への移転支出をさらに増やし、経済・社会の発展において地域間の調整をおこなう。中央財政のマクロ規制の役割を強化し、財力の格差を絶えず縮小し、社会の公共サービスの基本需要を満たすことに努め、地域間のバランスのとれた発展を促すため、二〇〇三年度中央財政は地方に対する移転支出をさらに増やし、租税還付の三四〇四億元と体制的補助三二六億元のほかに、地方への移転支出を四二〇七億元計上し、比較可能な基準で計算すると前年度より一四〇億元増やすことになる。

 重点支出プロジェクトへの投入と保障の度合いを大きくし、改革・発展・安定の大局を擁護する。一つは、農業と農村における経済・社会の発展を大いにサポートすること。農業と農村における経済・社会の発展を速めることは、「小康社会」の全面的建設、国民経済の持続的で、テンポの速い健全な発展の維持、国の長期安定化の確保から見て必然的な要請である。中央は国債資金を農村部へ傾斜させるほか、二〇〇三年度農村における租税・料金改革のテスト作業を全面的に推し広めるという決定を下した。それに応じて中央財政は農村における租税・料金改革のテストケースのために移転支出特別補助金を三〇五億元計上し、二〇〇二年度に比べて六〇億元増やす予定である。また、中央財政は引き続きインフラ建設、生態の整備、農村における貧困扶助、優良品種の普及、農産物の品質標準化体系及び監督・測定体系、農業構造の戦略的調整などの面への予算支出を増やし、農業と農村部への投入をさらに増やしていくことになる。二つは、社会保障への支出を増やすこと。困難を抱えている大衆の基本的生活の問題を確実に解決し、人民大衆の身近な利益を擁護するために、社会保障の支出をそれなり増やす予定である。その内訳は下記の通りである。企業の定年引退・退職者の養老年金基準、建国初期に革命に参加した一部の古参幹部の退職後の待遇基準と帰郷した古参退役軍人の恩給基準などを引き上げるために支出を八四億元増やす。都市部住民の最低生活保障資金を倍増する政策を着実に実行するため、支出を四六億元増やす。再就業を援助する政策を着実に実行するため、支出を四七億元増やす。このほか、引き続き法にもとづいて破産を宣言した企業への補助金を一一〇億元計上する予定である。三つは、教育、科学技術などへの重点支出を保障すること。教育、科学技術は「小康社会」を全面的に建設するうえで先導的かつ全局的な役割を果たすものである。中央財政は教育、科学技術などへの重点支出の比率が財政の経常収入の伸び率を上回るべきであるという関連法律と政策・規定に基づいて計上する(給与の調整により増大した支出を含む)。同時に、公安・検察・司法部門が法律を一層厳格に執行するよう保障し、農村の医療・衛生活動を強化し、刑務所の管理体制を改革するなどの必要を考慮して、中央財政はこれらのために地方への補助支出を適当に増やす予定である。四つは、政府機関・事業体職員の給与を調整すること。一九九九年以来、中央の決定にもとづき、何度も政府機関・事業体職員の給与を調整し、こうすることによって、政府機関・事業体職員の給与ベースが低すぎる状況を効果的に改善し、消費を刺激し、内需を牽引し、経済の成長を促進するうえで重要な役割を果たした。二〇〇二年、都市部低所得層の生活難の問題を優先的に解決し、諸方面の利益関係を調整する必要性を考慮したうえで、中央は当初予定していた二〇〇二年に政府機関・事業体職員の給与調整の措置を二〇〇三年七月一日まで延期させることを決定したため、予算に給与のベースアップの支出を計上した。五つは、国防支出を増やすこと。国際情勢の変化に対応し、国の安全と主権、領土の保全を擁護し、ハイテク条件下におけるわが軍の防衛作戦能力を高めるために、二〇〇三年度、中央財政は国防支出を一八五三億元計上し、九・六%増とする。六つは、債務の利子償還の支出に九六六億元を計上し、二八四億元増となる。

 三、積極的に創意性を発揮し、刻苦奮闘し、予算任務の円滑な達成を確保する

 党の第十六回全国代表大会の主旨を貫くために、中央経済活動会議は二〇〇三年度の経済と財政活動に対し、すでに明確な要請を打ち出した。われわれは、党中央、国務院の正しい指導のもとで精神を奮い立たせ、自信を固め、チャンスと有利な条件を逃さず、積極的に困難と挑戦に立ち向かい、諸般の措置についてより周到な考慮を施し、具体的な諸作業をより着実におこない、積極財政を実施させるなどの活動を真剣にすすめていくと同時に、以下のような諸活動にしっかりと取り組み、年度予算の任務の円滑な達成を確保し、国民経済と社会の諸事業の健全な発展を促進しなければならない。

 法に依拠して収入の徴収・管理を強め、財政収入の安定的な伸びを確保する。二〇〇三年度の財政活動の重要な任務の一つは、積極的に資金繰りをおこない、政権の運営、経済の発展と社会の安定に強力な財的支援を提供することである。一つは、租税法の統一性、権威性と厳粛性を断固擁護すること。租税法の規定に厳格に照らして、現行のさまざまな租税優遇政策を引き続き整理し、租税減免の期限を満了した企業に対し租税徴収を適時回復させ、租税優遇政策または形を変えた優遇政策を勝手に制定する行為を断固として阻止し、いかなる地方や部門も越権した租税減免を行うことは絶対に許されない。二つは、絶えず租税徴収制度を規範化、完備化させること。関連する制度の整備を強化し、少数の私営企業のオーナーが個人消費を企業のコストに書き入れたり、外資系企業が収支を偽って欠損を提示するなどの脱税問題の解決に力を入れ、税制の健全化をはかり、抜け穴を塞ぎ、分配の秩序を規範化する。三つは、輸出における租税還付の管理を強化し、輸出による租税還付メカニズムを整備すること。輸出による租税還付を詐取する犯罪行為を厳しく取り締まり、政策執行の実質的な効果を向上させる。四つは、国務院の「租税の徴収・管理を強化し、抜け穴を塞ぎ、腐敗を懲罰し、滞納を整理・追徴する」という方針を真剣に貫くこと。租税の徴収・管理を強化し、個人所得税の徴収方法を完備させ、企業の租税滞納の整理、追徴に力を入れ、さまざまな租税外の収入の徴収・管理を着実に強化し、収入増加の潜在力をさらに発掘し、上納金の不払い行為を厳しく取り締まり、徴収すべきものをすべて徴収することに努める。

 財政機能の働きを強化し、経済社会の調和のとれた発展を促進する。「一般支出を圧縮し、重点支出を保障する」という原則にもとづいて、給与の支給、社会保障、および科学技術・教育、農業、環境保全などの分野については、予算の中で十分な額を計上するばかりでなく、その資金を確実に保障し、それに関する政策を確実に実行し、そのための措置を確実に講じなければならない。第一は「一つには生計、二つには建設」という方針を堅持し、給与の支給を確実に保証すること。中央財政が困難な地区と末端財政への移転支出および増給補助をひきつづき増やす以外に、地方財政も財政体制をよりいっそう充実させ、県・郷の財政への移転支出を増やすべきであり、さらには、給与の統一支給制度を充実させ、給与の支給を保障する効果的なメカニズムを作り上げ、健全なものにし、とりわけ農村における小・中学校・高校教師の給与支給問題の解決に力を入れる必要がある。第二は「二つの確保」と都市部における最低生活の保障を着実に行い、「三つの保障ライン」の接合をしっかり推し進めること。法によって社会保障のカバーする面を拡大する。長期にわたって赤字を抱え、操業停止、半ば操業停止している困難な企業の従業員のうちの、条件に合致する者をすべて「最低保障ライン」の適用対象者枠に組み入れ、保障すべきものは一人も残らず保障するようにする。租税・料金減免の関連政策を全面的に実施し、就業と再就業を促進する。同時に、古参赤軍兵士や古参退役軍人、傷痍軍人、烈士遺族など重点的に優遇、慰撫すべき対象者と労働模範、先進活動家および農村における「五つの保障を受ける世帯」の実質的困難の解決を支援することに力を入れ、義務兵役に就いている兵士家族に対する優遇政策を確実に実施し、ひきつづき退役軍人の転業再配置の仕事に協力を与える。第三は西部開発をサポートするための各項目の財政優遇政策を真剣に実施するとともに、それに対する監督・検査を強化し、西部地区発展の加速を促進する。

 節約を励行し、派手好みや資金の無駄遣いを断固食い止める。「小康社会」を全面的に建設し、社会主義現代化建設の推進に拍車をかける偉大なプロセスにおいて、必ず刻苦奮闘と勤倹を旨とした建国方針を絶えず堅持し、支出を綿密に算定し、節約に励み、出入りする財政資金のいずれに対してもよく管理し、うまく運用しなければならない。一つは予算管理を強化し、支出予算を厳格に執行すること。二〇〇三年度に国の法律・法規と政策・規定に定められた重点支出の増額を除き、その他の一般支出項目については、ゼロ成長を実行し、地方財政も中央の要請に照らして、効果のある措置を講じ、一般的支出を厳しくおさえ、とりわけ会議や海外視察、企業誘致および様々な実質的効果のないフォーラム、シンポジウムなどを圧縮することに大きな力を入れなければならない。二つはひきつづき党と政府機関のオフィス・ビルと研修センターの建設を厳重に規制し、国がその起工を厳しく禁止した様々な「イメージプロジェクト」、「執政業績プロジェクト」については、財政によるいかなる形の援助も行わない。三つは各部門は財務管理制度のさらなる充実と厳格な執行に積極的な支持をあたえ、政府機関・事業体における省エネ、設備装置などの面の支出節減の潜在力を掘りおこし、政府機関の運営コストを下げるよう努める。四つは財政部門は率先して財政・経済規律を執行するとともに、怯むことなく管理をおこない、規律検査、監査、会計検査などの部門に積極的な支持と協力を与え、財政資金を浪費し、無駄遣いする様々な行為を厳しく取り締まらなければならない。

 ひきつづき財政改革の深化をはかり、財政管理制度の改新を効果的に推し進める。改革の方法を用いて、財政機能の役割をよりよく発揮させ、財政活動における様々な困難と問題をよりうまく解決しなければならない。一つはさらに進めて経験を総括し、政策を充実させ、農村における租税・料金改革のテスト作業を全面的に展開させること。積極的に特産農産物課税制度の改革を推し進め、農業と農民に補助金を与える様々な効果的な方法を探究する。二つはひきつづき「収支二本立て」の管理の改革を深化させ、政策外の補助と銀行の口座管理を逐次規範化し、租税外収入の徴収・上納の管理制度を改革し、健全化することである。三つは部門別予算の実施範囲を広げ、国庫集中受払制度の改革をひきつづき深化させ、『政府買付法』を真剣に実施し、政府による買付の範囲と規模を徐々に拡大していくことである。四つはひきつづき所得税収入の割合配分についての改革を推し進めること。二〇〇三年度に中央と地方の所得税収入の配分を六対四の割合で実行することとする。五つは移転支出制度をさらに規範化し、省クラス以下の財政体制を充実させることに重点をおき、県・郷の財政力の強化をはかり、末端の財政難を緩和させることである。六つは「金財プロジェクト」の構築を加速し、財政管理の情報化を推し進めることである。七つは国有資産管理、農村経済、金融および行政管理などにおける重要な体制改革に強力な支持と協力を与えること。改革を推し進める過程において、各クラスの財政部門はサービス意識をしっかりと打ち立て、改革をサービスの中に具現化させるべきである。

 財政・経済の秩序を整頓し、規範化させ、法による財務管理と誠実信義を重んじるモラルの樹立を積極的に推し進める。法によって財政・経済の秩序を整頓し、規範化させることは、市場経済の秩序整頓の構成部分であり、財政部門が法にもとづく行政をおこなう重要な内容でもあり、また、国民経済の健全な発展と大衆利益の保護にかかわることであり、全社会における法制意識の確立とその向上および誠実信義を重んじるモラルの樹立を強化する上でもたいへん重要な意義をもっている。一つは財政収支の秩序を整頓すること。ひきつづき租税徴収・管理の検査と行政の事業的運営による収入、政府基金の徴収・上納などの状況についての検査を繰り広げ、収入の秩序を整頓し、収入の抜け穴を塞ぐ。中央財政による移転支出、特別補助資金および政府管轄の基金の運用状況に対する監督を強め、その運用効果の追跡調査をしっかりと行い、流用のような規律違反行為を厳しく取り締まり、資金が規定通りに運用されることを確実に保証する。二つは『会計法』と『登録会計士法』をさらに突っ込んで貫徹し、「誠実信義を根本とし、節操を重んじ、準則を守り抜き、偽帳簿を作成しない」という要請に基づいて、会計業務の秩序を整頓し、規範化させることに大いに力を入れ、会計情報の質について抽出調査をおこない、会計の基礎管理活動を強化し、登録会計士など社会的仲介業者をさらに整頓し、規範化させ、登録会計士の信用情報記録保管制度を徐々に作り上げ、全業種と全社会における誠実信義を重んじるモラルの樹立を推し進める。三つは財政監督メカニズムを健全化し、財政監督レベルを高めること。四つは財政法規体系の整備を強化し、財政部門の法による行政執行の水準を向上させることである。
代表のみなさん!

 二〇〇三年度の予算を達成する任務はかなり重く、並大抵なものではない。われわれは胡錦涛同志を総書記とする党中央の指導の下で、ケ小平理論の偉大な旗印を高く掲げ、全面的に「三つの代表」という重要な思想をつらぬき、中国共産党第十六回大会の精神および中央経済活動会議と第十期全国人民代表大会において提起された各項の要請に則って、思想を統一し、自信を固め、鋭意改革し、着実に仕事をし、「小康社会」を全面的に築き上げるという偉大な目標の実現に向かって努力、奮闘しよう。

(この報告については、今会議で最終的に審議、採択され、新華社から発表されるものが基準となる)

2003年3月7日