朱鎔基総理、農業の強化と農民の収入増を強調

 国務院の朱鎔基総理は5日午前の政府活動報告で、農業と農民の収入増の問題について次のように述べた。

 農業の生産力を発展させ、農民の購買力を高めることは、内需を拡大し、培うための重要な側面であり、国民経済の発展と社会の安定といった全局に関わるものである。農業の強化と農民の収入増を経済活動全般に関わる際立った任務とし、農民の収入増とその負担の軽減を達成したかどうかを、農業と農村の活動を点検、評価するための重要な基準としなければならない。

 根本的に言えば、農民の収入増をはかるためには、必ず農業と農村の経済構造の調整を加速し、農業の産業化経営に大いに取り組み、積極的に在来の農業の現代的農業への転換を推し進めなければならない。優良品種と実用的な先進技術の普及に大いに力を入れ、良質、専用、無公害の農産物の開発を速める。ひきつづき農業の内的構造を調整し、積極的に牧畜業と水産養殖業を発展させる。区域的比較優位性を発揮させて、農業配置の調整と最適化を速める。沿海地区と大・中都市の郊外においては高効率の農業の発展に大いに力を入れる。中部の主要食糧生産地においては、食糧主要販売地が部分的な食糧市場を開放するチャンスを逃がすことなく、良質食糧の生産を拡大し、食糧の総合的収益と市場競争力を向上させる。西部地区においては特色のある農業、畑作農業及び生態農業を発展させる。農産物の輸出を意欲的に拡大する。「会社プラス農家」、「受注農業」などのやり方を普及させ、逐次農産物の生産、加工、販売の一体化経営を形作る。波及面が広く、牽引力のある一群のリーディング企業の育成を急ぐ。農業科学研究とその普及体制の改革を深め、生産者・科学研究機構・学校の連携を推進し、ひきつづき「火花計画」(科学技術計画)を実施し、農業科学技術成果の転化、応用普及を速める。農業の構造調整をはかるには、市場ニーズを導きとすることをあくまで貫き、実際から出発し、農民の願望を十分に尊重しなければならず、絶対に強制命令をしてはならない。各級政府は計画を立派に立て、農業に対する科学技術的投入を増やし、サービスを強化し、農産物の品質基準と認証体系、検査・測定体系、市場情報体系の確立に力を入れ、良好な市場環境を作り出さなければならない。

 農民の収入をできるだけ早く増加させるためには、下記のような仕事も上手に進めなければならない。

 一つは耕地を樹林に復元する規模を拡大する。二年間あまりのテストで立証されているように、中・西部の一部地方においては、耕地を樹林(草地、湖沼にもどすことも含む)に復元することは、生態環境を改善し、農業構造の調整を促進するための重要措置であるほか、農民の収入増に直接つながる効果的な方途でもある。当面、食糧など農産物の供給が十分であるので、耕地を樹林に復元するテンポを速める良いタイミングである。今年は耕地の樹林復元の規模をさらに拡大し、放牧を休めてもとの草地にもどし、造林に適したはげ山、荒地の造林テンポを速める。地元に即してことを運ぶことを堅持し、種類別に指導することをつよめ、耕地を樹林に復元させるための諸政策を真剣に実行し、一連の措置を充実させ、優良な種子苗木の育成と供給を速め、耕地を樹林に復元させる質を保証する。耕地の樹林への復元プロジェクトと天然林保護プロジェクトを実施するためには、いずれも後続産業の開発をりっぱにおしすすめることを重視しなければならず、それによって大衆の生活物資の長期的供給と関係地方の必要な財政収入を保障しなければならない。耕地の樹林への復元に関する法規の策定を急ぐべきである。

 二つは農村の租税・費用徴収の改革と食糧・綿花流通体制の改革を深化する。農村において租税・費用徴収の改革をすすめることは、農民の負担を軽減する根本的な方策である。今年はそのテストの範囲をよりいっそう拡大し、主として中部地区における食糧主要生産省及び農業の占めるウェートの大きな省でおしすすめ、その他の省、自治区、直轄市については、一部の県・市でテストを続けていく。中央財政は予算の枠内で相応の資金を計上して、それを助成する。テストを実施する地方の財政も資金を適宜計上して改革をサポートしなければならない。同時に、郷・鎮機構、農村における教育及び県・郷財政体制などの関連の改革を上手に行うべきである。農村において租税・費用徴収の改革を進める場合、農民の負担を著しく軽減させる一方で、郷・村の仕事の正常な運営と発展に必要とされる経費、特に農村の義務教育経費を保障すべきである。まだ租税・費用徴収の改革を行っていない農村では、中央の関連規定を厳格に執行し、農民の負担を軽減するさまざまな仕事をひきつづきおしすすめなければならない。各地は農村における教育、電気料金、住宅建設などの面に見られるむやみやたらな費用徴収に対し、よりいっそう特別の整理を強化すべきである。食糧流通体制改革の深化をめざす措置を全面的に実施し、食糧買付・販売に関与する国有企業の改革に大きな力を入れ、食糧市場管理の改善と強化をはかり、食糧の主要販売地と主要産地が長期的に安定した買付・販売パートナーシップを構築するよう促す。綿花の買付販売の市場化改革にかかわる諸般の仕事を引き続き立派に推し進め、綿花の生産と市場の安定を保持する。

 三つは農民の収入を増やすルートの拡充に努める。農産物加工業、農村サービス業を重点として農村の第二次、第三次産業の発展を加速する。郷鎮企業が構造調整、技術進歩、体制革新のテンポを速め、発展水準の向上に取り組むよう指導する。都市・農村間の経済的往来を拡大させることは農民の収入を目に見えて増加させることに役立つ。各地方においては不合理な規制やむやみやたらな費用徴収を整理し、取り消し、就労や商売のために都市へ流れ込む農民のために便宜をはかり、かれらの合法的な権益を確実に保障しなければならないが、それと同時に管理と誘導を強化すべきである。都市化を積極的かつ穏当に推し進め、農村の労働力が非農産業へ移転するのを促す。

 四つは農業に対する助成をいっそう強化する。世界貿易機関(WTO)のルールに合致した措置をとって農民の利益を擁護するよう努める。農業や農村におけるインフラ建設への投資を増や生産・生活条件および生態環境の改善に取り組む。重点として節水灌漑、人間・家畜の飲み水、農村のメタンガスや農村における水力発電、農村の道路および牧草地の柵などの施設の整備を助成する。農業関連の科学研究や技術普及、病虫害対策、情報コンサルタント、農民の養成トレーニングなどの面で農業に対する助成を強めなければならない。農業に対する金融面のサービスを改善する。農村での貧困扶助開発をいっそう繰り広げ、多ルートを通じて貧困扶助資金の増加をはかり、公共事業受け負いによる救済の規模を拡大する。被災地区と特別貧困地区に対しては支援を拡大し、農業、牧畜業関連の租税を減免し、しかもそれが真に実行されるように確保する。農村の特別貧困世帯や優遇・扶助対象の実際的な困難の解決のために積極的に手助けする。(「人民網日本語版」より)