【田晶さんの一言】
「毎日平凡な仕事と生活の積み重ねだけど、自分の夢を実現するためにがんばるわ」

 田晶さんは勝ち気で向上心が強い女性だ。最近、同僚と一緒に古筝(琴)を買い、自ら習い始めたが、必ず上手になってみせると勢い込んでいる。すでに何曲か演奏できるようになり、始めは半信半疑だった友人たちも彼女のことを笑うことはできなくなった。

 「紫竹」茶芸園に来る前の職場のマスターは、スタッフを大切に扱わず、彼女は理由もない叱咤にあきれ辞職を申し出た。マスターに引き止められたが、「こんなマスター、こちらからお払い箱よ」と決意を変えなかった。

 現在、一番の希望は二〇〇八年北京オリンピック前までに北京に落ち着ける場所――幸せな家庭を作ること。そして可能ならば、自分で茶芸館を持ちたいと彼女の夢は広がる。

.
 

AM8:30 
 同僚と近くの紫竹院公園でバトミントンやフラフープをして汗を流す。茶芸館のウエイトレスはスマートな体形を保たなければならないので、運動は欠かさない。
AM9:30
 洗面を済ませた後、制服に着替え身支度をして、さあ出勤。

 
【AM8:30】      
  AM10:00 
 茶芸園に着き、まずは他のウエイトレスを指揮して清掃をする。
AM10:30
 一つひとつのテーブルの茶具を点検する。
 
【AM10:00】      
  AM11:00 
 朝はあまりお客さんが来ないので、仕事の準備が済んだら古筝の練習をする。空いている時間は無駄にしない。

PM12:00 
 近くの食堂で昼食を取った同僚が、田晶さんの食事を持ち帰ってきてくれるので、時間をみつけて食べる。
 
【AM11:00】      
  PM1:00
 お客さんがまだ来ないので、ウエイトレスみんなを集めて、新しい茶の淹れ方を教える。
 
【PM1:00】      
  PM1:30 
 お客さんが続々とやってきたので、門の前で迎える。常連客には二言三言、言葉をかける。
 
【PM1:30】      
  PM2:30  
個室のお客さんがお茶を飲みながら話に花を咲かせている。田晶さんは頃合をみてお湯を足す。

PM4:00 
 オーナーが出張から戻り、おいしいウーロン茶を持ち帰ってきた。ウエイトレスみんなでいただく。
 
【PM2:30】      
 

PM5:30  
お客さんが少なくなり手が空いたので、茶殻を日に干す。これを中に詰めると体にやさしい枕ができる。

 
【PM5:30】      
 

PM6:00 
遅番のウエイトレスが出勤してきたので、彼女と一緒に茶具を点検して仕事を引き継ぐ。

 
【PM6:00】      
  PM6:30 
 ウエイトレスを集め、終了のあいさつをする。
 
【PM6:30】      
 

PM8:00 
 同僚と一緒に英語を勉強する。今日は発音矯正。
PM11:00 
 街で散歩をしたりおしゃべりをしたりする。
AM0:00
 就寝。

 
【PM8:00】      
 
かばんの中身を
ちょっと拝見!
  夏用の手提げバッグ(約200元)。  
  陸羽著『茶経』と仏教学の漫画  
  夏の装いには欠かせないサングラス(約50元)。  
  紫竹院公園の定期券。朝は体を鍛え、夜は散歩をする。  
  茶芸館ではたくさんのティッシュが必要。
  接客業なので口臭には気をつけ、ガムとティーバッグのお茶を持ち歩く。  
 
長く愛用しているERICSSONの携帯電話。
 
 
日焼け止めクリーム。茶芸館のウエイトレスは美白も要求されるので、日焼けには気をつけている。
 
 
櫛と化粧ポーチ。茶芸館のウエイトレスは薄化粧で清潔感が大切。
 
 
財布(80元)と近くにある社員食堂の食事カード。
 
 
お気に入りのウサギのぬいぐるみ。いつも持ち歩いている。
 
 
勤務日誌。毎日の仕事状況や茶芸の知識を記す。
 
アニメキャラクターのキーホルダー。
 

【茶芸館の一角】
【宿舎の一角】

【取材日:2004年8月5日(金曜日)、取材場所:北京市】


【プロフィール】

河南省泌陽県生まれの27歳。1998年に中学校を卒業して北京へ。はじめは食堂のレジ係だったが、半年後、ある茶芸館で働き始める。その後、いくつかの茶芸館を経て、2002年から「紫竹」茶芸園でウエイトレスのリーダーとなる。両親は故郷で農業に従事、3年前に妹も北京へ来て、別の茶芸館で働いている。(2004年11月号より)