中国人、とくに北京人にとって、2003年の春は、実に特別な春となった。突如襲ってきた伝染病が、人々のこれまでの生活方式や習慣を変えてしまった。新型肺炎SARSの影響で、人々は買い物や旅行に割いてきた時間を減らし、多くの時間を家の中で過ごしている。それによってインターネットが、人々の生活の中の不可欠な情報手段となったのである。
これまでは、北京でもっともにぎやかなのは、マーケットやスーパーだった。そこはいつでも人が混み合っていて、買いたいと思う品物も買えないほどだった。しかし、SARSの爆発的流行に伴って、人々は新たな買い物のやり方を始めた。それはインターネットを使う買い物で、それが次第に独特の優位性を発揮し始めている。
対外貿易大学の学生の安さんは、ネットを通じた買い物の便利さを体験した一人だ。SARS発生以来、安さんはできるだけ外出せず、後には図書館さえ行かなくなった。しかし彼女は、ネット上で自分の読みたいと思う本を基本的にみな探し当てることができた。
「いま、ネットでの買い物が便利。サービスも悪くない。しかも値段が安く、自宅まで品物を届けてくれるから自分で本屋に行って押し合いへし合いしなくてすむ」と彼女は言った。そして「多くの書店は特別に計らって、毎日、体温を計って健康を確認した職員が本を届けるので、私たちは安心できるのです」と付け加えた。
多くの人と接触を避けるため、人々は外出を最低限、少なくしている。生活必需品を買う以外はほとんど外出しない。こうした心理に対応して、全国の各コマーシャル・ウェブサイトがみな、ネット購買の道を開き、人々が外出せずに、見本を見ながら品物を買うことができるようにした。とりわけ「ネットでの買い物は安全」というスローガンは、多くの家庭の主婦の目を引きつけ、ネット購買はだんだんと盛んになった。
統計によると、4月下旬から、生活ネットの商品の売れ行きは、昨年同期に比べ170%増加した。以前は主に個人が買っていたが、現在は団体で買う客もかなり増加した。コメや果物からSARS予防の物品の売上げが急速に増加している。
中国最大の個人のオークション・ウェブサイトである「易趣網」の3月の1日取り扱い額は180万元だったが、5月初めの2週間で1日取り扱い額が230万元に急増した。
商店と消費者の間のインターネットを通じた商売が盛んになっただけではなく、商店と商店の間の取引も同様に盛んになっている。「アリババ」というサイトは現在、毎月海外からの「買い」の情報が以前に比べ4倍に伸び、国内の「売り」の情報が2倍になった。「中国第一の見本市」といわれる広州交易会も初めてネット上の商談方式を採用した。
『人民中国』インターネット版 2003/5/16
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