北京市、WHOとの全面的な協力を希望


 北京市委員会の劉淇党委書記と王岐山市長代行は4月27日、世界保健機関(WHO)のベケダム駐中国代表と会見した。会見では、重症急性呼吸器症候群(SARS)の感染状況について「積極的かつ率直な態度で、WHOとの全面的な協力を進めていきたい」とする北京市の意向が伝えられた。

 劉書記はベケダム代表に対し、北京市の情報公開について「北京市では27日から、市民に3種類の情報を提供している」と紹介。(1)北京市内の各区、県管轄の医療機関が収容・治療に当たっている感染者の数(2)隔離が行われた病院、マンション(3)SARS感染者や「疑い例」と密接な接触があったとして隔離された人数――について、情報を随時公開することを説明した。

 劉書記はまた、北京市はWHOへの協力強化、情報提供を行っていく考えを示したうえで、「WHOのSARSに関する貴重な経験を重視している」と強調。現在北京市が制定作業を進めている一連のSARS予防・治療計画について、WHOの参加を歓迎する意向を伝えた。その一環として(1)WHOが予防・治療業務の顧問として専門家を北京に派遣する(2)専門家を招いて関連の会議を開催する――ことを提案した。

 王岐山市長代行は「北京市はWHO専門家からの提案を強く期待している、特に感染経路の遮断、伝染病の治療・予防に関する国際基準について知りたい」と強調。WHOと情報を共有し、WHOを通じて情報公開の透明度や実効性を高めたい考えを述べた。

 また、北京市のSARS対策チームの顧問としてWHO専門家を招くことを強く希望。WHOとの間のホットライン設置、北京市によるWHO専門家のための専用事務所開設、協力や意見交換の推進などを提案した。

 ベケダム代表は会見後のインタビューに対し、北京市と密接な協力を進める意向を示すとともに、「現在の感染状況については、市民、メディア、国際社会との間の情報交換が重要だ」と指摘。北京市政府のさらなる情報公開を希望するとともに、WHOとしても役割を担っていく考えを示した。また「WHOは中国側と随時密接な協力を行う準備がある」と強調。中国国民の不安解消に努めるとともに、北京市政府のSARS根絶に対する決心を国際社会に伝えたいと述べた。

                   ( 「人民網日本語版」より)2003年4月30日