南京大学・社会学部などはこのほど、重症急性呼吸器症候群(SARS)の感染拡大が社会や市民の心理に与えた影響について調査した。同大学と南京與情調査分析センターは共同で5月23日から25日にかけて、北京、上海、広州、重慶、南京の五大都市に住む1034世帯を対象に電話アンケートを行った。
調査では情報の入手経路について、40%以上が「テレビや新聞などの主なメディア以外の方法を利用した」と答えた。早い時期に感染が拡大した広州では、およそ60%が「テレビや新聞以外の情報源を利用した」としている。内訳は「うわさ話」(56.7%)、「口コミ(電話での会話を含む)」(19.4%)、インターネット(14.2%)。
北京や広州では正式な報道以前に、デマやうわさが飛び交い、人々がパニックに陥った様子が浮き彫りになった。
およそ80%が「SARS発生によって衛生面での習慣が明らかに変化した」と回答。このほか変化が生じた分野として、「旅行」(45%)、「食事」(33%)、「日常生活」(18%)、「消費」(10%)を挙げる人が多かった。また(1)野生動物を食べる(2)地面に痰を吐く――といった好ましくない習慣について、75.5%が「SARSで改善される」と考えていることが分かった。
現地政府と中央政府が取ったSARS対策に関しては、80%以上が「満足」「どちらかというと満足」と答えた。さらに76.4%が「政府への信頼感が増した」と回答しており、「信頼感が弱まった」(1.7%)と答えた人を大きく上回った。
調査では74.1%が「SARS感染拡大の混乱が収まってからも、さまざまな分野で改善が期待できる」と考えていることが分かった。具体的には、「健康を重視した生活スタイルの確立」(68%)、「公共衛生や医学・科学分野の発展などの政策強化」(56%)などの回答が目立った。
「人民網日本語版」より 2003年6月4日
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