上海市、観光事業が蘇る

 閑古鳥の鳴き声がこだまするぐらい、ひっくりとしていた上海観光集散センターの窓口の前にはチケットを購入しようとする長蛇の列ができ、旅行会社のドアはあらためて開かれ、ホテルの予約電話が相次いで鳴り、観光客からの問い合わせ電話に女性職員は以前のように辛抱強く応対したりするようになり、上海の観光事業は緩やかながらよみがえる兆しが見え始めている。

 上海の各旅行会社は持ち直しに備えるためあらゆる準備作業をととのえた。最も厳しい時においても多くの旅行会社は閉業せず、ヒマを利用して観光商品の戦略作りをあらためて行い、企業の規約制度を整備し、今後の発展パターンを企画、職員の養成トレーニングを強化してきた。

 そして、上海の人たちの観光理念も変化しており、健康やレジャー、自然に親しむ観光方式がますます注目されるようになっている。こうしたマーケットの流れに応え、上海市観光委員会はこれまでに市・区と郊外の観光コースを改善し、グリーンと健康をアピールする8シリーズのコースを打ち出した。一部のマーケット感覚の強い旅行会社は市の郊外地域で調査を行い、新たな観光地域やコースを探し、観光客を引き付けようとしている。

 上海の出国観光業務の回復の日時はまだ明らかになっていないものの、国外観光機構の上海での観光促進戦略がすでに実施されている。シンガポールの観光担当官はわざわざ上海を視察し、「獅城(シンガポールの別称)爆発販売」と言われる促進案を持ってきたほか、韓国観光公社は上海のマスコミに対し電子メールやショートメッセージを送信し続けている。今後、上海の出国観光市場に変化が現われうるという判断をふまえ、上海の旅行会社は積極的な対応策作りに取り組んでいる。

 SARS(新型ウイルス性肺炎)をきっかけに、上海の観光業界は江蘇省、浙江省とタイアップして区域的観光事業を発展させる重要性を読み取っている。「観光事業は自分たちの力だけでは足りないということが事実によって裏付けられた」と上海市観光委員会の道書明副主任はそう考え、上海市の都市の景観、浙江省の山水と江蘇省の庭園観光資源はが相互補完性を持ち、SARSのあとには、互いの観光協力が実質的な段階へと引き上げられるだろうと期待している。

                      (「新華社」より)2003年6月10日