重症急性呼吸器症候群(SARS)流行中の自動車市場の盛況ぶりが注目されている。北京市公安局公安交通管理局の統計によると、北京市では4月に自動車登録台数が3万8千台増加し、これまでの新記録を樹立した。SARSは実際、自動車市場にどの程度の影響を与えたのだろうか。中国機械工業連合会の張小虞副会長に話を聞いた。
――SARS流行中の自動車市場をどう見るか。
4月の市場は生産と販売のバランスが取れていた。各種自動車を合わせた総生産台数は39万台で、前月に比べ5%減少したが、前年同期比では20%の増加。そのうち乗用車が16万5千台を占めた(前月比5%増、前年同期比85%増)。また1〜4月の累計生産台数は141万台で、前年同期より43%増加。うち乗用車は56万台に達し、同113%増加した。また4月には乗用車の新車が次々発売され、それにともなって利益が増加。大手自動車メーカーの利益増加幅は全産業の平均水準を上回った。こうしたことから、4月の自動車市場は安定していたと結論づけることができる。
――SARS流行中の北京地域のカーブームをどう評価するか。
北京は全国の1割を売り上げる国内最大の自動車市場。SARSの市場への影響を考える場合、北京の状況は代表的事例にはなるが普遍的事例にはならない。というのもSARSにより、全国の消費者が非常時にはパーソナルな交通手段が安全ということを強く理解し、その一部が消費スタイルを変化させたからだ。北京は大きな市場ではあるが、しょせん全国の1割を占めるに過ぎない。また活況を呈したのは個人の乗用車購入市場だけで、トラックやバスの生産売上台数は前月より減少し、タクシー業界も影響を受けた。とはいえ相対的にみて、現在の状況は市場全体の安定的な発展を促進するものだと思われる。
――今年の自動車市場について、年初には楽観的予測をしていたが現在はどうか。
年初には、2003年の総生産台数を400万台、うち乗用車は150万台と予測したが、現在はこの数字は控えめすぎたと考えている。昨年の総生産台数は325万台、うち乗用車は109万台。それぞれ13%と37.5%増加すれば、年初の予測台数に到達する。今年1〜4月の成長ペースを見ると、自動車全体は43%、乗用車は113%それぞれ増加しており、13%と37.5%という数字をはるかに上回った。特に乗用車はこのまま倍増し続ければ、2003年には200万台の大台を突破することが予測される。
――市場の来客者が減少する一方で、成約率は上昇し、オンライン販売が登場するなど、一連の変化は販売スタイルにどのような影響を与えるか。またSARSは自動車販売システムに変化をもたらすか。
長期的に見て、自動車市場への電子商取引の導入は時代の趨勢であるといえる。電子商取引と自動車販売サービスシステムが結びつくことで、市場はさらに拡大する。一方、自動車はパーソナルな傾向の強い製品で消費者は外観や性能を自分で確かめたいと思う。そのため売り手と買い手が向き合う従来のスタイルが今後も販売システムの中心になるだろう。人々に知られている車型でも、オンラインで情報をやりとりできたとしても、代金支払いの手段に制約があるため、契約を結ぶ際にはやはりこれまで通り対面式スタイルを取ることになるだろう。(編集KS)
(「人民網日本語版」より)2003年6月10日
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