中国新聞社は13日、「重症急性呼吸器症候群(SARS)が官界の悪弊を駆逐した」と題する論評を発表した。内容は次の通り。
「公共衛生事件突発の応急措置に関する条例」の20日足らずでの制定、千床ものベッド数の野戦病院「小湯山医院」の10日足らずでの建設、食品や薬品などの買占め騒ぎの2日足らずでの収束。SARSの流行は、これまでの官界の悪弊を取り払い、スピード対応を生み出した。
これまでは国家の大事に際して、中央がひとたび指示を出すと、各地方で大会が招集され、指導者たちは順繰りに態度表明、紋切り型のあいさつをし、それぞれが独り善がりに演説をぶつのが常だった。だが、SARSに見舞われて以来、こうした状況は、実務の追求、即効性の重視、着実な業務遂行に取って代わった。
中央は、人々の生命の安全を第一に、SARS発生状況をありのままに報告し、毎日1回発表を行うよう指示し、遅滞、遺漏、虚偽の報告をした者は職を解くと通達。国務院は、SARS対策を現下の最優先課題とし、呉儀副総理を総指揮兼衛生部長に任命し、20億元の基金を設立。農民の患者が無料で治療を受けられる措置を設けた。衛生部は、毎日ありのままのSARS発生状況を発表し、10億人の民衆の心に届けている。財政部は、50億元の対策資金を拠出し、4項目の優遇税制措置を取った。教育部は、大学での授業法を調整し、学生らが学校や北京を離れないようにさせた。税関はSARS対策物資が届けばそのつど検査を行うスピード通関の措置を取った。交通部は、国道の封鎖や、消毒を口実にした通行制限、通行料の違法徴収を規制。観光局は、地域にまたがる旅行、ファームインなどを利用した農村観光を制限。国家発展改革委員会は、偽物や劣悪品、国難に乗じた悪徳商法や、便乗値上げを厳罰に処している。商務部、民航局、工商局、食品薬品監督局、鉄道部などの各部、委員会の通達からは決り文句や空論が明らかに少なくなり、具体的な内容となった。法令がひとたび発令されれば、厳格かつ迅速に実行に移されている。
SARSに見舞われたこのときに、役人同士の責任のなすりあいや水掛け論、公文書のたらいまわし、形式だけの会議は少なくなった。
SARSが過ぎ去った後、こうした官界の悪弊はまた戻ってくるのだろうか。
(「人民網日本語版」より)2003年5月15日
|