彼らとの出会いで、私の人生は変わったのかもしれない。
北京に来て最初に知り合ったこの二人は、電話番号をメモするのを見たことがないほど記憶力がよく、毎朝六時から勉強を始めるほど勤勉で、そして、いつでも、友達や家族を大切にする、びっくりするほどに優秀な人たちだった。
北京大学の英語学部に通っていた二人は、「一生懸命勉強して、いつか外国に留学するのが夢」とよく話していた。あれから何年たっただろう。公費留学生としてアメリカへ行く彼女、就職した政府機関の派遣でオーストラリアへ旅立つ彼を私は見送った。そして、そんな人たちが育ったこの国を写真に撮ってみたいという思いから、いつのまにか抜けられなくなっていた。(2003年1月号より)
|
note
中国教育部によると、2002年現在の大学進学率は約14%。1999年から徐々に枠は拡大されているが、まだまだ一部のエリートしか入学できない。 |
|
|
profile
佐渡多真子(Tamako Sado )
1990年、フリーカメラマンとして独立し、日本の雑誌などで活躍。95〜97年、北京大学留学。その後、北京を拠点とした撮影活動を続けている。写真集に、『幸福(シンフー)?』(集英社)、『ニーハオ!ふたごのパンダ』(ポプラ社)がある。 |
|
|