Sketch of BEIJING

   


工場の女の子

写真・文  佐渡多真子

 北京郊外のアパレル工場で働く女の子たち。

 十畳ほどの宿舎には、二段ベッドが四組あり、8人が暮らしている。テレビも、鏡台も、個人の机もない。ベッド一つ分だけが彼女たちの空間。

 仕事は朝8時から夕方6時まで。1日2時間から四時間の残業がある。週末に写真を撮らせてもらう約束をしていたが、それから3週間、土日の出勤が続き、日程が組めなかった。

 日本の暮らしに比べると、生活はずいぶん過酷なように思う。けれども、彼女たちは、「残業や休日出勤は手当てが出るからうれしいの」と、無邪気にいう。

 貧しい農村から来ている今の彼女たちにとって、それがどんな条件であれ、北京の工場で働けることは、とても幸せなことなのだと知った。(2003年3月号より)

  note
この女性たちの月給は約800元(約1万2000円)。食事と宿舎の費用は、会社が負担している。
 
  profile
佐渡多真子(Tamako Sado )
1990年、フリーカメラマンとして独立し、日本の雑誌などで活躍。95〜97年、北京大学留学。その後、北京を拠点とした撮影活動を続けている。写真集に、『幸福(シンフー)?』(集英社)、『ニーハオ!ふたごのパンダ』(ポプラ社)がある。