北京の夏は、毎年いきなりやって来る。梅雨がなく、春が短い北京では、オーバーを脱いだと思ったら、心の準備も間に合わないまま、半袖のシャツを着て歩くようになる。
日中の気温は40度をかるく超え、午後12時から4時までは、昼寝以外、本当は何もしたくない。決死の覚悟で機材をかついで街に出ると、水分補給のための鉱泉水(ミネラルウォーター)を求めて、売店から売店へと、はうように進むことになる。
でも、私は、北京の夏が好き。
暑さを乗り切るために、体は夏中の太陽エネルギーを吸収し、毎年、夏を越えると、心身ともに一回り強くなっている自分を感じるから。
北京郊外の農村で、太陽の光をたっぷり浴びて育ったひまわりと少女は、そんな炎天下に、凛とした力強さで、その夏の風景に溶け込んでいた。(2003年7月号より)
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note
ひまわりの種は、スイカやカボチャの種と並んで、食用にされる。中国の伝統的な茶うけで、「瓜子(ヅアズ)」と呼ばれている。 |
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profile
佐渡多真子(Tamako Sado )
1990年、フリーカメラマンとして独立し、日本の雑誌などで活躍。95〜97年、北京大学留学。その後、北京を拠点とした撮影活動を続けている。写真集に、『幸福(シンフー)?』(集英社)、『ニーハオ!ふたごのパンダ』(ポプラ社)がある。 |
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