ある夏の日、北京のペット売り場で、生まれて二カ月の子犬がミネラルウォーターのボトルを枕に昼寝をしていた。こんなに小さな子犬でも、水の上が冷たいとわかるなんて、おりこうなんだなーと思う。
そういえば、ちょっとIQ低めの我が家の犬も、季節ごとに、お気に入りの場所があるし、友人の猫も、いつでも陽だまりを見つけ、うらやましいほどに、デーンとくつろいでいる。
動物のかしこさは、どこも同じかもしれないけれど、北京では、人も自然に逆らわない。竹や玉など、自然の素材で作った枕やマットで涼をとり、あるがままにゆったり生きるという中国古代の思想が、今の暮らしにも息づいている。
ふと、無理やりクーラーで外より温度を二十度も下げて風邪をひいている私より、もっと自然の中で、気持ちよく毎日を暮らす方法って、あると思った。(写真/文 佐渡多真子)
北京ではここ数年、クーラーが爆発的に普及したが、自然の素材を使って涼をとる習慣が残っている。ちなみに熱狗は、中国語で、「ホットドッグ」の意味。(2003年8月号より)
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note
北京ではここ数年、クーラーが爆発的に普及したが、自然の素材を使って涼をとる習慣が残っている。ちなみに熱狗は、中国語で、「ホットドッグ」の意味。 |
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profile
佐渡多真子(Tamako Sado )
1990年、フリーカメラマンとして独立し、日本の雑誌などで活躍。95〜97年、北京大学留学。その後、北京を拠点とした撮影活動を続けている。写真集に、『幸福(シンフー)?』(集英社)、『ニーハオ!ふたごのパンダ』(ポプラ社)がある。 |
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