北京の地壇公園の縁日で、ハトと遊ぶ女の子。中国でも白いハトは「平和」を意味するそうだ。
「鴿哨」と呼ばれる笛を尾につけたハトたちが、フートンの上を舞っていたのは、北京の風物詩だったそうだが、街の美化を理由に、今では北京市内で、ハトを飼うのは制限されている。
群れだったハトたちが、芸術的なほどきれいな三角形の隊列を組んで飛んでいる姿は、どうやって位置を伝え合うのか不思議で、いつまでも、いつまでも北京の空を見上げていた。
近代化で、衛生的な便利な生活ができるようになるのはうれしいけれど、それに伴って、消えていく古いものや習慣がある。それが、時代が流れるということなのだろうけれど、新しい何かを得る時には、同時に、別の何かを手放さなければならないのは、やはり悲しい。(2004年11月号より)
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note
「鴿哨」はハトの尾につけて、ハトが飛ぶと鳴り響くようにした笛のこと。竹やアシなどで作ったものがあり、清代のころ、北京の民間で盛んに親しまれていた。
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profile
佐渡多真子(Tamako Sado )
1990年、フリーカメラマンとして独立し、日本の雑誌などで活躍。95〜97年、北京大学留学。その後、北京を拠点とした撮影活動を続けている。写真集に、『幸福(シンフー)?』(集英社)、『ニーハオ!ふたごのパンダ』(ポプラ社)がある。 |
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