今年八月初め、温家宝総理（中央）は大慶を視察した。宋法棠・黒竜江省の省委書記、張左己同省省長、王志斌・大慶市委書記が随行し、世界記録をつくったことのある1205掘削隊の労働者たちと会った

　中国の東北三省――遼寧、吉林、黒竜江――の経済政策は、昨年開催された中国共産党の第16回全国代表大会ですでに提起された。そして今年初め、新しく選任された温家宝総理は、その政策を実行するため、東北三省への調査研究を開始した。

　温家宝総理はまず遼寧省を視察したが、ＳＡＲＳのため、その他の二省への調査研究は延期せざるを得なかった。

　8月初め、温家宝総理は黒竜江省と吉林省を視察した。その後、吉林省の省都、長春で、東北経済を振興する座談会を招集し、それを自ら主宰し、東北経済を振興する大まかな内容を公表した。温家宝総理は「東北経済の振興は、中国の西部大開発と同様に中国の国策であり、それはちょうど（経済の）車の両輪にもたとえることができる」と述べた。

　東北三省が中国の重工業基地であったことはよく知られている。遼寧の鉄鋼、吉林の自動車、黒竜江のエネルギー、さらに三省の農業は、中国の工業化に、また国民の生活に、大きく貢献してきた。これは衆目の一致するところである。

　しかし、1980年代以来、中国経済は、政府による計画経済から市場調節へ徐々に移行してきた。しかし東北の古い企業は、規模が大きいために問題が多く、市場経済への転換の速度が遅かった。さらに、設備や技術の更新や改造のための資金が不足し、このためにかなり多くの企業の製品が時代遅れになり、経済効果は薄く、赤字がひどい企業さえあった。このため、こうした企業をいかにして整理統合し、改造し、その潜在力を活性化し、その製品の競争力を高め、それを国内外の市場に参入させるかが、当面の急務となった。

　さらに、一部の資源型の企業と都市は、資源が枯渇し、開発のピークはすでに過ぎている。例えば遼寧の撫順の石炭、大慶の石油などである。こうした企業や都市の経済の持続的発展を保障し、事前に準備を整え、その後を引き継ぐ産業を正確に選定することも、当然、東北経済を振興する議題の中に含まれている。

　温家宝総理の演説によれば、東北の古い工業基地を振興する指導思想は、改革・開放を堅持し、市場メカニズムに従うことであり、企業の改造と整理統合は、自力更生を主として国家がこれを補い、積極的かつ穏当で、実際に即したものでなければならない……。

　東北の経済を振興することは、一つの大事業であり、厳格さが求められる。これを簡単に言えば、主要な任務は経済構造の調整と技術改造の強化、持続的発展の保証、国民の社会保障体系の健全化、科学技術と教育事業の発展の加速などにあるということだ。

　メディアや学術界の人々は、東北振興計画に対して、多くは楽観的な態度を示している。東北の各大新聞は、東北三省はおそらく長江デルタ、珠江デルタ、「京津唐」（北京、天津、唐山）の後を継いで、中国の新たな経済成長地点になるのでは、と予測している。

　中国科学院と工程院の遼寧省出身のアカデミー会員たちは、東北の古い企業の技術改造や整理統合に自ら参加したいと共同で提起した。吉林大学経済学院副院長の宋東林博士は「東北振興は大いに期待が持てる。なぜなら、東北には一定の工業と技術の基礎があり、交通が発達していて、資源は豊富であり、さらに農牧畜業からの支援もある」と述べている。（2003年10月号より）