苗凡卒

　2002年1月、深ﾛﾚの作家、苗凡卒は、『新人類』と題する本を出版し、中国社会の広い関心と注目を集めた。中国の「新人類」を深く研究した苗凡卒氏は、彼自身が都市の観察者という角度からこの作品を書いたと思っている。中国の「新人類」にかかわる問題とはいったい何か、インタビューした。

　――「新人類」という言葉の起源は日本ですが、その「新人類」とはどのような集団なのでしょうか。

　苗凡卒　日本では、1960年代以後に生まれ、70、80年代に成長した世代の若者を「新人類」と言いました。彼らは戦争や飢餓を経験したことがなく、またきちんとした教育を受け、豊かな生活を享受してきました。彼らは両親や兄たちとは異なる生活様式で成長し、自分のやり方で現代に影響を及ぼしています。中国に「新人類」が出現したのは日本より少し遅く、また、出現したのは主に北京や深ﾛﾚ、上海などの大都市でした。一般に、70年代末から80年代初めに生まれた若者たちを主としています。

　「新人類」は、彼らが育った環境に強く依存しているので、彼らが出現するには、モノが相対的に豊かであるだけでなく、さらに発達した文化と開放的な社会が必要です。だから、経済が発達していても文化の蓄積が浅い国家では、「新人類」は生まれることができないのです。

北京電影学院の録音学部を卒業した林雪麟君は、フリーの録音技師だ。音楽を愛する彼は、好きな録音の仕事を職業に選んだ。彼は録音スタジオで仕事もし、休息もする。疲れたらちょっとごろ寝も

　――中国の「新人類」の特徴は？

　苗凡卒　まず、消費に対する考え方を挙げなければなりません。「新人類」は自分の個性を突出させるために、消費を通じて自分と他人の違いを確立します。彼らはブランド品を追い求め、個性を追求します。彼らは自分の持っている物すべてのブランド名やメーカーを言うことができるでしょう。

　通常、彼らは豊富な消費知識をもっています。例えば親たちは、「新人類」が衣服をたくさん買いすぎると思うのですが、彼らにしてみれば、衣服はそれぞれ別々の用途があり、違った場面でそれぞれに適した服を着るべきだと考えているのです。

　また、「新人類」は普通、貯金をしに行きません。彼らはローンを借りて物を買うのが好きで、時には借金しながら、その日その日を生活するということさえあります。彼らは自分で消費することが特に好きです。

　南京の作家、華ゲツゲツが、他人から借金ばかりして暮らしている若い女性を取材したことがあります。その女性は保険会社の職員ですが、「21歳から仕事を始め、4年になりますが、たった一回しか銀行に行ったことがありません。そのとき貯金した2000元は、一週間後に引き出しました。野営のためのテントと装備を買って、友だちといっしょにキャンプに行きたいと思っています」と言っていました。

　――中国の「新人類」は、インターネットとともに生まれてきた世代ですが、彼らの生活に対して、情報はどのくらい影響を与えていますか。

ボディーペインティングが若者の間で流行っている

　苗凡卒　情報に対して「新人類」は、これまでになかったほど熱狂的に反応します。情報はすでに、彼らの生活の中で不可欠な一部になっています。彼らはほとんどすべてが、別の人があまり関心がなく、自分がだけ特別に関心を持つ領域を持っています。しかも、その領域の知識は特に専門的で、重要ではない多くのデータや名前さえ、暗唱できるのです。

　さらに、新しいメディアや情報媒体が出現するたびに、彼らは大いに興味を示します。例えば携帯電話ですが、新しい性能の商品が売り出されると、たちまち彼らはそれに殺到します。

　――欧米の文化が流行している今日、中国の「新人類」たちの世界に対する認識にはどのような変化がありますか。

　苗凡卒　中国の二十数年来の改革・開放や情報の高度の発達は、中国人の世界認識を変えました。「新人類」の目には、外界の世界はすでに具体的なものに変わり、もはや「外国」の事柄に対して抽象的に理解することはなくなりました。こうした状況の下で、彼らは外国のことを自分の身近にあるもののように語り、平常心を保つことができるのです。ある専門家が言っているように、中国の「新人類」はすでに「中国人」から「世界人」に変わったのです。

　――「新人類」は、前の世代の人々に比べ、自分の生活や仕事に対する考え方に何か違いがありますか。

ファッションは、「新人類」が他の人とは違っていることを表現するためのものだ。（撮影・馮進）

　苗凡卒　これまで人々は、仕事を生きる手段とし、より多くの賃金をもらえる仕事こそが良い仕事でした。しかし「新人類」たちは違う。彼らはその仕事が自分にとって楽しいかどうかに関心を持っています。彼らは自分がおもしろいと感じることに従事するのを好み、自分の好きな活動の中で、ついに自分の仕事を発見するのです。

　「新人類」たちは新しい遊びが好きです。もし外国でかなり流行していて国内ではまだ流行していないものがあれば、彼らはもっともそれを歓迎します。彼らは世界とともに歩んでいるという感覚が好きなのです。例えば、バイシクル・モトクロス競技をして遊ぶときも、彼らは自分たちがこの競技の推進者になろうと努力しています。趣味と事業の両立が、仕事に対する「新人類」たちの独特の見方なのです。

　私たちは、「新人類」たちの大多数が、アニメや漫画が好きだということを知っています。もし注意深く見れば、「新人類」の一人一人が、背負っているバッグの飾りや携帯電話の紐などに、アニメのキャラクターを探し出すことができるはずです。

　――どうして「新人類」はアニメが好きなのでしょうか。

李寧君は大学を卒業したばかりだが、現在、仕事がない。それでも「20万元前後の自動車を買いたい」と言っている。

　苗凡卒　活字を読むより映像や漫画を見るのが盛んになり、読書の心理が変わりました。アニメは「新人類」たちにとって、比べることができないほどの豊富な世界を造り出したのです。「新人類」の豊かな想像力が、アニメの世界の中で反応したのです。彼らはアニメの世界に、自分の理想を探し出して楽しむのです。

　「新人類」の中でアニメ大好きの人の多くは、小さいころから好きになり始め、それは一生、続きます。中年の人が手に漫画本を持っているのを見たとしても、決して不思議に思う必要はないのです。

　――「新人類」の考え方や生活方式は、いつも親たちから文句を言われ、理解してもらえない、場合によっては心配の種となっています。世代の考え方の違いをどのように認識すべきでしょうか。

　苗凡卒　二つの世代の考え方の違いを調和させることができないことは明らかです。親たちは「どうして彼らはしょっちゅう仕事を変わるのか、どうして晩婚なのか、どうして結婚後に子どもは要らないというのか、どうして彼らには少しも社会的責任感が感じられないのか……」と疑問を投げかけるのです。

廉康君（19）は旅順から来た。もともとストリート・パフォーマンスを学んだ。

　これに対する「新人類」たちの答えはこうです。「仕事をよく変わるのは、自分と社会に対する責任感の現れなのです。我々は自分と子どもを健康に、また幸福に成長させなければなりません。もしこれが保証できないなら、子どもを持ってはならないのです」

　実際、新しい思想に満ちた「新人類」の誕生が、この社会をさらに多元化させるということを見なければなりません。私たちは、「新人類」とその前の世代の違いに対して、どちらが正しいとか、どちらが間違っているとか、言ってはいけません。二つの世代とも、それぞれに道理があるのです。「新人類」の出現は、社会進歩の一つの表現だというべきでしょう。（2003年11月号より）