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北京オリンピックのエンブレムと印章(撮影・孫鉞) |
本誌の昨年10月号で報道したように、北京オリンピックのエンブレム(シンボルマーク)が「中国の印章 舞い踊る北京」(「中国印」)に決まった。
原作者は郭春寧氏で、彼はこの図案の創作の考え方をこう語っている。
「中国人にとっては、オリンピックはお祭りである。中国の伝統文化の中からどのような要素を取り出してこの祭典を表現するか。私が思いついたのは書道だった。中国文化を代表する漢字を用いて造型することだ。そして文字を載せる媒体は、中国の伝統ある印章でなければならないと」
設計グループの長の張武氏は「この図案は、造型上は他の作品より優れているようには見えないが、中国五千年の文化とオリンピックの精神との結合を体現しており、全世界の人々が中国に来て、いっしょに踊るのを歓迎するという理念が作品に溶け込んでいる」と述べている。
この図案の中に含まれる意味をもっと多く読み取る人たちもいる。
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「中国の印章 舞い踊る北京」を設計した郭春寧氏 |
北京オリンピック組織委員会の劉淇主席は「印章を主体とする表現形式は、中国の伝統的な印章と書道などの芸術形式と動きの特徴を結合し、芸術的な手法で誇張、変形を加え、巧みに、前に向かって走りながら踊って勝利を迎える、動く人の形になり、濃厚に中国の持ち味を内蔵している」と述べた。
印章は、4、5千年前に、中国に出現し、淵源の深い中国の伝統文化の芸術形式である。それは現在も広く社会的に使用され、誠実と信用を表現するものになっている。中国の多くの書家や画家はみな金石の篆刻家でもある。今なお、署名をする場合、依然として印章がよく使われる。
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呉邦国全国人民代表大会常務委員長(中央右)と国際オリンピック委員会の役員が北京オリンピックのエンブレムを掲げた |
印章の主体は、基調の色彩に赤を選択している。鮮やかな赤は、中国文化特有の情熱や喜びの雰囲気を伝えるものだ。寓意に満ちた図形の、たとえば「京」という字のようなものは、祭典が行われる地名を表していると同時に、ゴールに向かう選手のようでもあり、オリンピック精神の追求を体現している。また歌いながら踊る人のようでもあって、こ
れは中国人のオリンピック運動への憧れや、世界から来る賓客を迎える熱情と真心を表現している。
北京オリンピックのエンブレムを見た国際オリンピック委員会のロゲ会長は、「素晴らしい。詩的だ」と賞賛した。彼はこのエンブレムが、中国の歴史と文化遺産を示し、前途の明るい偉大な国家の若々しい、生き生きとした精神を伝えている、と評価している。
(2004年1月号より)
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