特集 じわりと変わる日本語教育 (インタビュー) |
日本語教育の日本人専門家に聴く
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有馬淳一さんは現在、日本国際交流基金北京事務所で日本語教育アドバイザーを勤めている。彼は日本の筑波大学大学院の地域研究科を卒業し、日本語教育と日本語教師に対する教育が専門である。これまでに米国とフィリピンでも日本語を教えた経験がある。中国の高等教育機関での日本語教育について、意見を聞いた。(文中敬称略) ――中国の大学で、日本語教育ブームが起こっていますが、これをどう見ていますか。 ――日本語を学ぶ人の姿勢に変化がみられますか。 有馬 中国では、日本を非常によく理解している人は少なく、また、とくに日本人が嫌いという人もまた少数です。それ以外の大多数の人は日本について知らないか、あまり関心を持っていないといえるでしょう。日本語を学ぶ学生の中には、自ら進んで日本語専攻を志望して合格したわけではなく、日本語専攻に回された人もいます。しかし、しかたなく勉強を始めた日本語でも今では大好きだという学生も大勢いると聞きます。学習のきっかけが偶然だったとしても、また、最初は日本について興味を持っていなかったとしても、日本語と日本文化の学習を通じて多くの人々が、本当の日本を知り、日本に対し親近感を持ってくれるようになることは大変嬉しいことです。 ――現在、多くの大学生が日本語を第二外国語として選択していますが…… 有馬 中国の全体状況は、進学率がますます高まり、教育改革が実行されています。一つの外国語を学ぶだけではなく、第二の外国語を学ぶことが将来的にますます重要になってきます。このため、日本語を第二外国語として学ぶ人の数が増加している可能性があります。 ――中国の高等教育機関での日本語教育は満足のいくものですか。 有馬 日本語専攻の教育からいえば、中国がこれまで行ってきた日本語教育の歴史は古く、教育運営の経験は豊富で、ここで養成された学生の水準は比較的高く、これは世界的にみて称賛に値するものです。以前は、中国の大学では、日本語と日本文学の専攻が比較的多かったのですが、近年、多くの専門家や学者が日本語教育そのものに注目し始め、教育面でもいかに日本語を教えるかを考え始めるようになりました。これは素晴らしい現象だと私は見ています。 現在、多くの大学が、日本語を第二外国語として開設していますが、私は教師の力不足が教育の質に影響を与えることを心配しています。今後、第二外国語として日本語を学ぶ人が増えていくのにともなって、教師の需要も増えることでしょう。しかし、専攻の日本語教育と第二外国語の日本語教育は、目標とするところも内容も、本質的に異なるものですから、第二外国語の日本語教育のための教育課程の整備、教師の養成・研修を注意深く行う必要があるでしょう。第二外国語としてどのようにその教育内容を確定するか、どのように教育の質を保証するか、これは日中双方の教育者が共同で検討しなければならない問題です。(2004年8月号より)
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