特集 開かれる巨大マーケット WTO加盟四年目の中国出版事情

改革迫られた国有出版業

国有の新華書店。図書市場の大半を占めているが、機能が硬直化するなど、発展に支障が出ていて、改革を迫られている

 外資の流入と民営書店業の急速な勃興は、長い間、国家の財政の飯を食べ慣れてきた国有の単位にとって、かつて経験したことのない圧力を感じさせるものとなった。しかし国有事業単位はその性格から、真に市場競争に参加することはできなかった。そこで1990年代から、中国の出版業は、出版集団(グループ)の編成と、体制改革の模索と実践を始めた。

 1999年2月、中国初の出版集団である上海世紀出版集団が正式に発足した。これは中国出版業の集団化の幕開けとなった。その後、中国科学出版集団や中国出版集団などが前後して設立された。2003年末までに、全国の出版関連の集団は60を超えた。その中には出版集団が15社、販売集団が七社あった。そのほか、多くの地方で、地方政府が許可した出版集団や出版総社が次々に設立された。

 しかし、こうした出版集団の性格は、依然として事業単位であり、真に全国の文化体制改革のテストケースとなった出版単位は七社しかなかった。しかも大多数は、行政がとりもって集団化したもので、優れた点を相互に補完することはまったくできなかった。

 2004年春、中国の出版業の改革は、高速で走り始めた。4月初め、出版体制改革が幕を開けた。規定に基づいて、現有の全国527社の官営出版社は、人民出版社一社を事業単位として残して、その他のすべての出版社はみな経営型の企業単位に転換した。

北京ブックフェアに参加した各出版社は、それぞれ展示に工夫をこらす(写真・馮進)

 商務印書館、中華書局、新華書店本店など13の大型企業事業単位によって組織された中国出版集団が、改革のテストケースとして中国出版集団公司に改編され、資産によって結びついた近代的な企業制度を次第に確立していった。

 出版の領域と比べて、改革の最前線に立っている図書の流通・販売業は、もっと厳しい情勢に直面していたので、改革のペースもさらに速かった。

 新華書店本店の弁公室の張雅山主任によると、現在、新華書店が売っている図書の70〜75%は小、中学校の教材で、新華書店の全利潤の七割を占めている。しかし、教材販売の試験的改革はすでに始まっており、いったんこの陣地を失えば、新華書店の命運は推して知るべしである。

 また、国有の老舗の書店は、体制が硬直化し、奨励メカニズムが働かず、競争意識が希薄などの問題があるため、機構改革は一刻の猶予もできない。

 日増しに激化する競争に対応するため、各地の新華書店は次々に企業の機構改革を行い、人員整理を断行して、株を上場した。資料によると、中央が定めた全国35の文化体制改革のテスト地点のうち、流通・販売業が六つを占めている。それは遼寧、四川、浙江、江蘇、福建、上海の「新華発行(販売)集団」で、2003年から2004年にかけて改革に力を入れた結果、いずれも注目すべき変化が起こった。

 四川の「新華発行集団」は、3500人以上の人員整理を行って年間売上高が1・45倍になり、年間利益は2・14倍の1億6000万元になった。江蘇の「新華発行集団」は、3000人以上を整理し、年間総売上げは70億元を突破した。上海の「新華発行集団」は、49%の株式を売りに出し、外部の資金、3億8400万元を導入した。

新聞や雑誌の小売りの露店は、民営書店商の流通の重要なルートとなっている

 今後の計画では、遼寧、四川、浙江、江蘇、上海の五つの「新華発行集団」は、次々に株式を上場し、全国のその他十数の「新華発行集団」も、今年末までに企業に変わる。

 しかし、今のところ、中国には、多国籍の巨大企業と対抗できるほどの出版、流通・販売集団はまだない。出版業のさまざまな改革も、一挙に実現することはできない。

 中国の出版業の改革は、やっと始まったばかりで、不断の模索と実践の中から、ゆっくりと改革の芽を成長させる必要があると言える。(2005年5月号より)



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