▼特集 開かれる巨大マーケット WTO加盟四年目の中国出版事情 |
出版界の改革・開放はどう進むのか 2004年は、中国の出版業の改革が全面的に進められた一年だった。それは外資と民営書店業に発展の広い舞台を提供しただけでなく、国内市場の競争もさらに激化させた。新たな歴史的時期に立つ中国の出版業が、更なる対外開放をどのように進め、国際基準と市場のルールに軌道を合わせる進行過程をいかに速めるか、これは国内外の共通の関心事になっている。そこで、出版業を管轄する国務院の新聞出版総署の柳斌傑副署長に話を聞いた。 チャンスであり挑戦でもある
――現在、国内外ともに、中国出版業の対外開放を注目しています。出版業の対外開放はいつから始まったのですか。 柳斌傑副署長(以下柳と略称) 中国の改革・開放が始まった初期の段階で、出版業はすでに対外開放を始めてはいましたが、それは企業の性格をもつ単位に限られていました。例えば『電脳報(コンピューター新聞)』や『電脳世界』などの専門的で、科学技術分野の出版物は、早くから外資を導入していました。外資との合作は主に、資本合作、版権合作、版権貿易などでした。 中国の出版業の開放は、中国の 加盟後にやっと始まったという人がいますが、これは誤解です。いくつかの分野が開放されなかった理由は、それが事業単位に属していたからです。国の法規に照らせば、事業単位は経営に参与することはできません。ただ企業に転換することによって、はじめて企業法や会社法に基づいて融資をすることができます。 ――現在進められている対外開放は、主としてどの面に現れていますか。 柳 現在は主に、WTO加盟の際の約束を実現することで、それは小売りサービス分野の開放、即ち販売業の開放です。 WTOとの約束に基づいて、我々は秩序ある開放を実行しています。最初の年は、経済特区と一部の都市を開放し、八都市で外資が小売業に参入するのを許しました。2年目は、全国のすべての都市で、小売業がすべて対外開放されました。2004年12月1日には、取次ぎ(卸売り)の分野も対外開放を始め、外資は中国の取次ぎ企業に投資し、出版物の販売市場で投資を発展させることができるようになりました。 現在、すでに百社以上の外資系企業が、中国の図書小売市場に参入しています。2006年には、取次ぎの分野では、外資が投資する地域や経営形態、資本構成になんら制限はなくなり、中国の企業と平等に競争するようになるでしょう。 ――出版分野は全面的に開放するのですか。 柳 WTOに加盟する際に、我々は全面的に出版分野を開放するとは約束していません。世界でも多くの国がこうした約束をしていません。 ――外資が出版や取次ぎ市場に参入するのに、なにか制限がありますか。 柳 主に資本の面での制限があります。国有企業は、国が株で支配し、中国と外資の合資企業の場合は、中国側が多数の株を持ち、企業をコントロールします。 ――外資が中国の出版市場に参入することで、どのような影響が出るのですか。 柳 積極的な面からいうと、外資の中国出版市場への参入によって、出版業の長期的な資金不足を補うことができます。同時に、市場経済の管理思想をもたらし、計画経済の伝統的な観念を変えて、市場化された経営の道を進むのを促すことができます。かつまた、外資がもたらす新たな技術と専門的な設備は、我々の出版業の技術や設備の水準を大いに向上させることになるでしょう。 同時に、外国文化の流入は、中国文化の伝統的な観念に対する大きな挑戦となるでしょう。我々は、民族的伝統文化を高揚するのみならず、文化の多様性の受け入れをいかに保証するか、これが必ず直面する課題となるでしょう。 我々が市場に参入したのは、かなり遅かったので、競争の過程で、一時、劣勢になり、受身の立場に立たされるかもしれません。だから、かなり徹底的に市場化の改革を行い、外資導入後に現れる新たな変化に対応しなければならないのです。 また、法律や法規をさらに健全なものにし、市場の秩序をルール化し、公平な競争ができる政策や市場を創造しなければなりません。
――どのようにしてこうした挑戦に対応するのですか。 柳 まず、集団化を通じて、我々の市場を再編、育成して、競争を行うことです。次に、法律制度をさらに改正し、整備します。特に、新聞出版法の法規は、法によって行政を行い、法によって監督管理するようにします。このほか、集中配送、チェーン経営、市場のネットワーク化を拡大し、将来の市場競争に備えなければなりません。 ――現在、集団化の改革はどのような状況でしょうか。 柳 集団化の改革とは、中国がWTO加盟に際して、政府がこれに対応するために提起した集団化建設の問題です。しかし、当時、この問題の認識が浅く、大多数は、行政的にくっつけてつくった事業集団で、名称は変わっても、実質的にはなんら変化はありませんでした。 2003年6月、新たな文化体制改革が始まり、この問題の解決にすでに着手しています。現在の集団化は、真の企業集団が、資産によって結びつき、親会社と子会社という二つのクラスの法人を作り、近代的な企業制度によってルールのある管理を行うことです。 ――今後の集団化改革はどのような考えで進むのでしょうか。 柳 今後、さらに一歩、集団化を進める過程で、我々は地域間の境界をだんだんと打破し、地域を跨ぐ、大型の出版販売集団をつくり上げます。同時に、エレクトロニクス関連や女性関連のような専門的な出版集団、高等教育出版集団、科学技術出版集団など、特色ある出版集団をつくります。 また特色ある小型の出版社群が、大きな集団と集団の間の市場を補充することになります。こうすれば、大きな出版集団が牽引し、専門の出版集団が基礎となり、大中小の企業がともに発展することができます。我々の目標は、中国出版界の航空母艦を建造することです。
――民営書店業に対する国の政策は? 柳 政策全般では、国は民営企業の発展を奨励する政策を採っています。民営書店業が流通、出版業に参入することができるというのが政策ですが、合法的に、法に基づいてはやらなければなりません。民営書店業が出版社を興すことはできない状況下では、プロジェクトごとの合作、投資、共同開発を行うことが許されています。 当然、合作の中で、書籍の出版コード番号を売買したり、海賊版を印刷・販売したりする違法行為も一部には出現し、ある程度、市場の秩序を混乱させています。我々はこれに対する政策を研究中です。それは、十分な資質があり、確かな企画・出版の能力をもつ民営機構に、出版社との正式な合作関係を樹立させ、正常なルートによって企画、投資させるというものです。 ――書籍の出版コード番号の売買問題は、どのような方法で解決できるのでしょうか。 しかし、これに伴って、出版コード番号を売買する行為も生まれた。この面ではすでに改革に着手しました。その改革では、優秀で良好な出版社に対しては出版コード番号を傾斜配分する政策をとり、出版コード番号の売買行為がなかった出版社に対しては、必要に応じて出版コード番号を与えているというものです。現在、出版コード番号が足りないという状態はすでになくなりました。 ――出版業の改革・開放の前途は? 柳 試験的な改革は非常に順調に進んでいて、体制やメカニズム、運用のモデルの面で大きな前進があり、次の更なる改革のために、良い経験を蓄積しました。今後、改革はさらに加速し、その前途は明るい。長くとも3年から5年で、局面は根本的に変わるでしょう。 (2005年5月号より) |
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