特集 世界に広がる中国語学習ブーム

ボーダレス化する中国語

 

外国でも正課に

国家漢弁の企画した外国人向けの中国語教材。北京語言大学出版社など有名な出版社から出版されている(国家漢弁提供

 今世紀に入り、「中国語ブーム」というフレーズが、国内外の新聞・雑誌にますます多く登場するようになった。この「中国語ブーム」とはいったいどれほどのブームなのだろうか。

 中国・教育部の統計によると、2004年に中国が世界178カ国から受け入れた各種の留学生は合計で延べ11万844人。1996年はわずか4万1200だった。

 以前と比べ、最近の留学生は、長期留学生や自費留学生の比率が増加し続けている。その中の半数近くは、中国語を学ぶために中国に来た。

 これと同時に、中国政府公認の、中国語を母国語としない中国語学習者の検定試験である「漢語水平考試」(HSK、中国語能力認定試験)の受験者は急速に増加している。1996年にHSKを受けた外国人受験者は、2万1000人だったが、2000年には4万人となり、2004年には8万9000人に達した。現在、HSKはすでに34カ国、151の試験会場で実施されている。

「世青中学」の中国語補習クラスでは、各国から来た年齢の異なる子どもたちがいっしょに授業を受けている

 ほぼ2人に1人が大学に進学する韓国では、2003年、韓国外国語大学中国語学部の入試倍率は46倍で、その競争の激しさは、すべての学部の中でトップだった。ある統計によると、2004年までに、韓国では、中国語の授業が、120の四年制大学、40以上の大専(三年制の大学)、270以上の高校で開設されている。

タイ人の8歳のジミー君は、中国の小学校に留学している。彼は、唐詩「咏鵞」を朗詠している

 また、HSKの成績は、三星、LG、現代などの韓国企業で、人材の採用、昇格、評価などの重要な参考データとされている。韓国政府は、HSKを、トーフルやアイエルツ(英連邦圏の国際英語検定システム)の試験と同列の、公務員となるための必要条件にしている。だから、多くの韓国青年の眼には、HSKの証書は、英語検定の証書と同様に、重要なものと映っている。

 米国では、中国語はすでに、スペイン語に次ぐ第二の外国語となっている。全米3000の公私立大学の中で、中国語の授業を設けているのは約3分の1、このほかに300以上の小中高校で、中国語の授業が開設されている。2001年には、ユタ州政府が特別立法で、すべての公立学校に中国語の授業を開設するよう求めた。これは米国では初めてのことである。

 欧州でも中国語学習ブームは、無視することのできない一種の社会現象になっている。フランスでは、10年前なら、中国語は一種の異国情緒の言語に過ぎなかったが、いまやこれを学ぶ学生の増加率がもっとも大きい言語となっている。

世界各地に孔子学院

海外で最初に開設された韓国・ソウルの「孔子学院」。オープンセレモニーには、中国教育部の周済部長(左から5人目)が参加した(国家漢弁提供)

 2004年11月、最初の「孔子学院」の看板が、韓国・ソウルで正式に掛けられた。孔子学院とは、ドイツのゲーテ・インスティチュート、スペインのセルバンテスに倣って中国が、孔子という中国文化を代表する人物の名声を借りて、中国語や中国文化を世界に広めるために設立されたものである。

 韓国に続いて米国、スウェーデン、南アフリカ、パキスタンに孔子学院ができ、数年のうちには百カ所に設立されると予想されている。

 また国家対外漢語教学領導小組弁公室(漢弁)は、「中米ネット語学教育プロジェクト」や「国際中国語教師中国ボランティア計画」を立ち上げた。「中米ネット語学教育プロジェクト」は主にアニメを使って中国語と英語をネット上で学ぶ教材で、米中両国の12歳から18歳を対象としている。「国際中国語教師中国ボランティア計画」は、中国語教育の基礎のある中国人が外国に中国語を教えに行く活動で、中国政府は国家として、中国語を世界に広めようとしている。

第3回「漢語橋」中国語コンクールでは、参加した外国人学生がさまざまな才能を発揮した(国家漢弁提供)

 一方、民間の中国語教育はどうか。これまで中国の対外的な中国語教育は、国内の大学や、わずかな民営の語学学校の中に限られていた。しかしこの数年、世界各国で中国語を学習する人数が増加し続けているのにともなって、対外的な中国語教育も一種の産業となり、次第に各方面から重視されるようになってきた。

 民営資本と有名大学が共同で、語学訓練養成機構を開設する一方、大手出版社も次々に、学者に中国語教材を編纂させて、市場の需要に応えている。

 「北京新航道」中国語学習センターの徐ソウ嘉総監の推定によると、中国の中国語訓練養成市場は、毎年、成人教育の収入だけで20億元ある。しかもこの数字は少なく見積もったもので、これからは毎年、倍々の速度で成長するだろうという。(2005年7月号より)


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