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高 原=文 楊振生=写真 |
中国の若者たちは今、フラッシュアニメに魅了されている。 フラッシュアニメとは、絵や音声、文字などを組み合わせてウェブコンテンツを作成する「Flash」というソフトで作られたアニメーションのこと。普通のアニメはテレビや映画館で公開されるが、フラッシュアニメは個人制作の作品が多く、通常はウェブサイト上で発表される。 日本では一部の愛好者の間や商業的な目的で用いられているだけのフラッシュアニメに、なぜ多くの若者たちがハマっているのか。フラッシュアニメを大衆の娯楽へと押し上げた中国の現状を探る。 |
特集1
北京に住む高校2年生の胡茵夢さん(17歳)は大のアニメ好き。日本アニメについて語りだすと、話は尽きることがない。宮崎駿の最新作『ハウルの動く城』についてはもちろん、日本で放送されているテレビアニメのことまでよく知っている。しかし中国アニメについて尋ねると、急に黙ってしまった。そしてしばらく考えたあと、「テレビで『閃天下』(フラッシュ天下)はよく見ますが……」と答えた。
『閃天下』は、北京テレビ局のアニメ専門チャンネルの番組で、ネット上で流行しているフラッシュアニメを放送している。 中国のフラッシュアニメは、表面は伝統的なアニメとあまり変わらない。作りが比較的単純で、短編であるというだけだ。十分を超える作品は少ない。しかし内容はまったく異なる。 例えば、香港のフラッシュアニメ制作会社「Show Good」が作った『大話三国』(ほらふき三国志)の中の『桃園結義』(桃園の契り)という作品は、劉備、関羽、張飛が義兄弟の契りを結ぶという、大人から子どもまでがよく知っている物語を大胆に脚色したもの。劉備は政府の機関へ行って公務員になろうと考えるが、張飛はインターネット会社を立ち上げようと劉備と関羽を誘う。そして3人は桃園で義兄弟の契りを結び、最後は飲み屋でカラオケをして祝うというストーリーである。 このような内容は、中国の伝統的なアニメの中には見られない。中国の伝統的なアニメは市場化の程度がかなり低く、題材も単調だ。制作サイクルが長いため、社会や生活をタイムリーに映し出すことは難しい。そこに、フラッシュアニメが入り込む余地があったのだ。
1997年、海外のサイト上で初めてフラッシュアニメを見た中国のネット技術者が、その技術を国内に紹介した。続いて、芸術を専攻した学生たちが、フラッシュ技術を使った実験的なアニメの短編を制作した。その後、誰も思いもしなかったことだが、多くのアニメファンたちがフラッシュアニメの制作に参入した。彼らはフラッシュを使って、自分の喜怒哀楽を表現したり、身の回りの出来事を伝えたりするようになった。こうしてフラッシュは、「民間文学」の精神を受け継ぎ、大衆的な娯楽として流行し始めた。 この流行は当初、大学生の間だけに限られていた。しかしその後、口コミで伝わり、若いサラリーマンやホワイトカラー層もフラッシュアニメを見始めた。そして今では、定年退職して家にいる高齢者たちまでも、息子や孫から影響を受け、慣れない英語を使って「フラッシュ」というこの流行語を口にしている。フラッシュアニメは、一般の人々の生活の中に入り込んだと言えよう。(2006年4月号より)
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