桃園に義を結ぶ
物語は中国の古典小説『三国演義』の一節である。作者は羅貫中、元代末期から明代初期(14世紀)に著された。
後漢(25〜220年)末期、中国北方で「黄巾の蜂起」と呼ばれる農民暴動が起こり、時の朝廷を震撼させた。
前漢・景帝のやしゃごの劉備(字は玄徳)は、大志を抱いて、天下の豪傑たちとの友情を育んだ。菘県の屠殺業者であった張飛(字は翼徳)は、カッと目を見開いた強面であった。山西省・解州人の関羽(字は雲長)は、仁義を重んじ、勇敢であった。
こうした3人がはからずも出会い、胸中の思いを語りあって意気投合した。翌日、彼らは桃園に酒席をもうけ、天地の神を「証人」として、兄弟の契りを結んだ。一致協力して国を救い、民を助けることを決心したのだ。その後、3人は志を同じくし、天下の大事業――蜀の国の創建をなしとげた。
「桃園に義を結ぶ」の彩色画は、頤和園長廊の「邀月門」を西へ進んだ内側の梁にある。(2005年1月号より)
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