頤和園の長廊画E 写真・文 魯忠民

 
 

   
 

太公望の魚釣り

 商の時代(前17世紀〜前11世紀)末期、隠遁生活を送っていた姜子牙(太公望)は、毎日のように渭水(陝西省中部、黄河最大の支流)の流れに釣り糸を垂れ、賢明な君主にその才がみとめられ、重用される日を待っていた。

 ある日、ある木こりがそこを通りかかり、姜子牙の姿に大笑いした。というのも、姜子牙の魚釣りは、エサがなく、まっすぐな釣り針で、しかもそれが水面から3尺(約1メートル)も離れていたのだ。姜子牙は言った。「私の釣りは魚ではなく、すぐれた天子にその意味がある。自ら好んで、この釣り針にかかるのだ」。中国の成語に「姜太公釣魚、願者上鈎」(姜太公に釣られるものは、自ら進んでかかったものだ)とあるが、それはこの故事からきている。その後、周の文王が商を攻める際、人材が必要になり、渭水のほとりで古希を迎えた姜子牙を見つけだした。そして、姜子牙のすぐれた補佐によって、文王の子・周の武王は商を倒し、周の国をおこしたのである。 (2005年6月号より)

 
   
   
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北京の頤和園は、中国清代の離宮である。庭園にある長廊は、全長728メートル、世界でも最長のギャラリーと言われている。その梁の上には人物や山水、花鳥、建築など各種の彩色画が8000以上ある。なかでも人物画は中国の古典文学、歴史物語、神話伝説などから材を取って、描かれている。本誌では今月号から長廊の彩色画を1つずつ取り上げて、絵画に描かれた物語をご紹介していきたい。

 

   
 

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