頤和園の長廊画G 写真・文 魯忠民

 
 

   
 

藍橋で薬を搗く

 中国の神話伝説。唐代に裴航という秀才がいたが、その裴航が漢水で同船した樊夫人は、とても美しい人だった。親しみをこめて裴航が詠んだ詩に対し、樊夫人の返礼の詩は「一飲 瓊漿 百感生じる/玄霜 搗き盡きて雲英を見る/藍橋 便ち是れ神仙の窟/何ぞ必らずしも崎 玉清に上らん」。裴航には、その意味するところがわからなかった。

 ある日、裴航が「藍橋」という橋を渡るとき、一人の老婦人に水を求めた。老婦人が水を頼んで呼んだ娘は、雲英という絶世の美女。裴航が老婦人を通じて求婚をすると「私の娘をもらいたいなら、私のためにこの薬を玉の杵で100日間、搗いておくれ」という。そこで裴航は、休むことなく薬を搗いた。その姿に感動した月のウサギが天上から降りてきて、裴航のつとめを手伝った。そしてついに、この縁談が認められたのである。

 結婚式のその日、漢水の船上で会ったあの樊夫人もやってきた。彼女は雲英の姉であり、姉妹はともに仙女であった。(2005年8月号より)

 
   
   
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北京の頤和園は、中国清代の離宮である。庭園にある長廊は、全長728メートル、世界でも最長のギャラリーと言われている。その梁の上には人物や山水、花鳥、建築など各種の彩色画が8000以上ある。なかでも人物画は中国の古典文学、歴史物語、神話伝説などから材を取って、描かれている。本誌では今月号から長廊の彩色画を1つずつ取り上げて、絵画に描かれた物語をご紹介していきたい。

 

   
 

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