陶淵明、菊を愛でる
「菊を采る東籬の下、悠然として南山を見る」。人々によく知られているこの詩句は、東晋(317〜420年)の大詩人・陶淵明のもので、それゆえに、彼が、菊を愛でるという伝説が生み出されたともいえる。陶淵明の祖先は官吏で、彼も小さいころから読書家の家柄の影響を受け、広く多くの書物に接した。老子、荘子思想にも親しみ、そこから受けた影響は大きかった。何度か官職に就いたが、官界のかかわり合いに嫌気が差し、自然をとても愛していた陶淵明は、最終的に官吏を辞め故郷に帰り、農業に従事し、隠遁生活を送った。そして彼は、農民の苦しみを思いやり、平等で幸せな生活に思いをはせた。有名な著作『桃花源記』は、1つの理想郷の幻想を託したものである。(2005年11月号より)
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