頤和園の長廊画K 写真・文 魯忠民

 
 

   
 

伯牙絶弦

 春秋時代、伯牙は古琴を弾く名手であった。船で遠出した彼は中秋の夜、偶然きこりの鍾子期に出会う。伯牙が弾く一曲ごとに、鍾子期はその曲の内容と、そこに込めた伯牙の気持ちを言い当てた。2人は船上で、お互い胸の内を打ち明け、兄弟の契りを結び、1年後、再びこの場所で出会うことを約束した。

 翌年の中秋、伯牙は約束の場所で演奏していたが、鍾子期の姿は見えなかった。鍾子期はすでにこの世を去っていたのだ。鍾子期は亡くなる前、自分の魂が伯牙と約束した場所で会えるように、岸辺に埋葬させたことを、伯牙は後に知った。

 伯牙は鍾子期の墓前に来て、泣きながら琴を弾いた。周りを取り囲んだ観衆は、手をたたき笑いさざめいた。伯牙は天を仰ぎ、大きくため息をついて、「鍾子期がいなくなった今、誰が私の琴の音を理解してくれるだろうか」と、古琴の弦を切り、たたき壊してしまった。(2005年12月号より)

 
   
   
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北京の頤和園は、中国清代の離宮である。庭園にある長廊は、全長728メートル、世界でも最長のギャラリーと言われている。その梁の上には人物や山水、花鳥、建築など各種の彩色画が8000以上ある。なかでも人物画は中国の古典文学、歴史物語、神話伝説などから材を取って、描かれている。本誌では今月号から長廊の彩色画を1つずつ取り上げて、絵画に描かれた物語をご紹介していきたい。

 

   
 

 
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