頤和園の長廊画O 写真・文 魯忠民

 
 

   
 

漁師の復讐を描く京劇の名作

 中国伝統劇に『打漁殺家』の物語がある。北宋(960〜1127年)の晩期、梁山泊の英雄・阮小七は蕭恩と名を変え、娘の桂英と助け合って生活していた。

 ある日、川で魚を捕っていた蕭恩は、友人の李俊と倪栄に会い、2人を舟に招いて、魚を振舞い、酒を酌み交わしていた。その時、網元である丁子燮の下僕が現れ、漁業税を厳しく催促するが、李俊たち2人の好漢に追い払われてしまった。

 次の日、再び現れた丁家の下僕は、税を取り立てようとするだけに止まらず、手まで出してきた。これ以上我慢できなくなった蕭恩は、悪党を追い払い、民を苦しめている丁家の悪行を役所に訴えに行くのだった。

 しかし、役所はすでに丁子燮と通じていた。40叩きの刑を受けた蕭恩は、皮膚が破れ肉が裂けるほどの痛手を負い、さらに丁家へ謝罪に行くよう命じられた。

 その夜、蕭恩は、戒刀を忍ばせた贈り物を娘に持たせ、丁家に向かった。そして仇敵である丁子燮を亡き者にした。(2006年4月号より) 

 
   
   
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北京の頤和園は、中国清代の離宮である。庭園にある長廊は、全長728メートル、世界でも最長のギャラリーと言われている。その梁の上には人物や山水、花鳥、建築など各種の彩色画が8000以上ある。なかでも人物画は中国の古典文学、歴史物語、神話伝説などから材を取って、描かれている。本誌では今月号から長廊の彩色画を1つずつ取り上げて、絵画に描かれた物語をご紹介していきたい。

 

   
 

 
本社:中国北京西城区車公荘大街3号
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